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遺産承継手続きの基礎知識:40代から始める相続開始後の対策

東京都江戸川区船堀、相続・企業法務専門の司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirigayajun)です。


はじめに

相続の手続きは、突然始まるものです。

しかし、多くの人にとって、何をどう進めればいいのか全く分からないことも多いでしょう。

特に40歳前後で親の相続が始まると、初めての経験で戸惑う方も多いです。

今回は、相続が始まった後の遺産承継手続きについて、全く相続手続きを知らない方向けに、分かりやすく解説していきます。

以前の投稿とかなり重なるところもありますが、大事なことなので繰り返し紹介します。

相続が始まるタイミングとは?

相続は、被相続人、つまり財産を持っていた方が亡くなった時点でスタートします。

亡くなった瞬間から、その財産や権利が相続人に移る準備が始まります。

しかし、ここで重要なのは、遺産承継が自動的に行われるわけではなく、きちんとした手続きが必要になるということです。

例えば、不動産を相続する場合、その名義を亡くなった方から相続人に変更する「相続登記」が必要になります。

この登記を怠ると、後々トラブルの原因になりかねません。

遺産承継手続きの最初のステップ:相続人の確定

相続手続きを進めるためには、まず相続人が誰かを確定しなければなりません。

法律で定められた「法定相続人」には、配偶者、子ども、兄弟姉妹、直系尊属(親や祖父母)などが含まれます。

この相続人の確定には、戸籍謄本を揃える作業が必要です。

被相続人が出生してから亡くなるまでの戸籍を全て集めることで、法定相続人を確認できます。

この手続きがスムーズに進むと、その後の遺産分割協議なども滞りなく進められます。

まずは被相続人の本籍を知るために、住民票の除票を取得します。

本籍が分かりましたら、被相続人の出生から亡くなるまでの戸籍を取得します。

戸籍の取得方法については、過去のnote記事を御覧ください。

次のステップ:遺産分割協議

相続人が確定した後、次に行うべきは「遺産分割協議」です。これは、相続人全員で財産をどう分けるかを話し合う場です。

例えば、不動産や預貯金、有価証券など、財産にはさまざまな種類がありますが、誰が何をどのくらい受け取るかは、相続人全員の合意が必要です。

もし、この協議がまとまらない場合、家庭裁判所に調停や裁判を申し立てることもありますが、できるだけ話し合いで解決するのが望ましいです。

私がこれまで相談を受けた方でも、遺産分割協議がうまくいかずに時間がかかってしまったケースがいくつかありました。

特に、遠方に住んでいる相続人がいる場合や、相続財産の評価に差がある場合は注意が必要です。

また、相続人間で感情のもつれがある場合も手続きが難しくなるので、その場合は、弁護士に入ってもらうことをおすすめします。

遺言がない場合は遺産分割協議が必要で場合によっては時間がかかってしまうということを知っておきましょう。

遺産分割協議がまとまったら:相続登記や名義変更

遺産分割協議が無事にまとまったら、次に行うのは不動産の「相続登記」や銀行口座の「名義変更」です。

不動産の場合、相続登記を法務局に申請し、被相続人の名義から相続人の名義に変更します。

これを怠ると、不動産の売却や抵当権の抹消ができなくなるため、早めに手続きを進めることが大切です。

また、銀行口座も相続人の一人が銀行に申請し、口座の凍結を解除した上で、相続財産を分配します。凍結された口座の扱いには時間がかかることがあるため、相続が始まったら早めに動くことがポイントです。

遺産承継業務を依頼している司法書士がいれば、これらの人に頼むのも一考です。

相続税の申告と支払い

相続税の問題も重要です。

すべての相続に相続税がかかるわけではありませんが、一定額を超える場合には相続税の申告が必要になります。

具体的には、相続財産の評価額が基礎控除額を超えた場合、相続税の申告をしなければなりません。

基礎控除額は、「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算されます。例えば、法定相続人が2人なら、4,200万円までは相続税がかからないということです。

もし相続税が発生する場合は、相続開始から10か月以内に申告を行い、納税を済ませる必要があります。

申告や納税を怠ると、延滞税やペナルティが課される可能性があります。

銀行の残高証明書や不動産をお持ちになって、相続税が発生しそうだと相続開始の地点でわかっていたら、税理士に相談しながら進めると安心です。

司法書士に相談するメリット

相続手続きは、手間がかかり複雑な部分も多いです。

特に、不動産の相続登記や遺産分割協議書の作成には専門的な知識が求められることが多いため、司法書士に相談することでスムーズに進めることができます。

私の事務所でも、多くの相続手続きの相談を受けていますが、初めての方は特に「どこから手を付ければいいのか分からない」という不安を抱えていることが多いです。

そんな時こそ、早めに専門家に相談することをおすすめします。

まとめ

相続手続きは初めて経験する方にとって、非常に複雑で戸惑うことも多いでしょう。

しかし、相続に必要な書類を事前に用意しておくことで、手続きがスムーズに進むようになります。

特に戸籍謄本や固定資産税納税通知書など、重要な書類は早めに準備することをお勧めします。

もし、書類が揃っていなくても、まずはお気軽にご相談ください。相続手続きを安心して進めるためのサポートをいたします。

この内容が少しでも参考になれば幸いです。

詳細やお問い合わせは、当事務所のウェブサイトまでどうぞ。

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