あの、しし座流星群の日
有名な流星群はいくつもあるけれど、2001年の大出現で記憶に残っている人も多いのではないかしら。
しし座流星群。
(最近を生きる人たちは「え、生まれてない」「記憶がない」という人たちも多いのでしょうね! 時!)
その大出現の日の話。
あれは2001年11月18日。
その日は、昼過ぎから渋谷にいた。
数年前から好きだったポップグループのBackstreetboysが来日し、スペイン坂でラジオの公開収録を行うからだ。
生で! 見られるかも!
というワクワクなテンションで向かった渋谷、スペイン坂近辺はすでに超超長蛇の列で、それを見た瞬間に秒で諦めた。
なぜなら、このあと実家がある静岡に向かい、深夜に「しし座流星群」をウォッチしたいと思っていたからだ。
移動、備えて眠る、山に向かう、観測する、戻ってくる・・・
このあとの予定を考えると列に並ぶのは現実的ではなかった。
だって時間が読めなくなるし、めちゃめちゃ体力削られそうだし・・・
とはいえせっかく渋谷まで出て、BSBもきっとその辺まで来ているであろう状況に、すぐには帰れず、ぐずぐずしながらウロウロしていた。
ぶらぶらといくつかの店を覗き、Three Minutes Happiness(コムサ系列の雑貨屋)の前で立ち止まる。
ああ、雑貨でも買って実家に向かおう。
そうだ、今日は雑貨を買いに渋谷まで来たんだ。スリーミニッツで!
店の前にまで続く「スペイン坂列」を横目に、そう言い聞かせて店内へ入った。
1階をぐるりとまわり、なんとなく目についた雑貨を手に2階へ上がる。
気になっていた「折りたためるスピーカー」の現物を確認しながら買おうかどうかを悩みつつ、通りに面した窓に手をつき、ふと外を見た。
瞬間、列から悲鳴が上がった。
車道を走っていた一台の車の窓が開き、
中から人が顔を出し、
手を振ったのが真下に見えた。
あ、ブライアン
それはスローモーションのようだった。
今でも再生できる。まるでビデオみたいに。(時代)
ああ、タイミングなんだと思った。
この時間に私がここいたこと、
この時間にBSBのメンバー(ブライアン)が、ここで窓を開けて顔を見せてくれたこと。
計り様がない、タイミングというやつなんだと思った。
私の時が数秒止まったあと、手にしていた雑貨をゆっくりと棚に戻してまわった。
かわりに、あの瞬間、手にしていたスピーカーだけを購入し、店を後にした。
私は今日、雑貨を買いにきたんじゃないから。
BSBを見に来たのだから。
そのまま実家に向かい、久々に家族と夕飯を食べ、少し眠った。
夜遅く、弟たちと一緒に父を起こし、朝霧の山奥まで車を走らせてもらう。
その後、極寒の中、ずっと夜空を見ていた。
事前の噂で聞いていたような「流星雨」、雨のように星が降り注ぐ光景には出会えなかったけれど、普段は運でしかない流れ星をいくつもいくつも見ることができて、なんてすごい夜なんだろうと感動した。
「必ずくるのだから、信じて待っていればいい」
流星群の日というのはそういう日なのだと、実感としてわかった気がした。
そして今でもそう思っている。それを知っている。
あまりにも寒かったため弟と父は早々に車内へ退避し、缶コーヒーと肉まんで暖をとっていた。
私の分の肉まんも、ちゃんとあった。
途中で数えるのを止めてしまえるほどの流星を見た夜明け前、我々は山から引き返した。
(私以外は)みんな仕事や学校がある。
そんななかつきあってくれて、感謝しかなかった。
本当にありがたい日だ。
私の目が覚めたときには当然のように全員が寝坊していて、半休、欠勤の連絡でしばらく実家の電話が塞がった。
そんなしし座流星群、今年は明日、明後日あたりです。
見るとすれば、11月18日の深夜あたりがいいのかな。
晴れていたなら、遅い時間に夜空を眺めてみてください。月明かりが邪魔するので、いい環境ではないと思うけど。
(そして今のところ天気は悪そう!)
雲の切れ間でも、あればいいな。
いただいたサポートは、現在ですとシルバニアの赤ちゃんかマウントレーニアのクリーミーラテになり、私がそうとう幸せになります♥