ノートルダムの鐘 de 劇団四季
こんにちは。
劇団四季のノートルダムの鐘を観てきました。
劇団四季は小学生の頃見たライオンキングぶりです。家族で福岡まで観に行った思い出…。
ディズニー映画のノートルダムの鐘の曲が大好きなのでいつか観たいなあとぼんやり思っていたのですが、たまたま調べたら2023年の夏に劇団四季でやると知って即チケットを買いました!(奮発のS席)
わーいわーい!
この感動を忘れないうちに残しておこうと思います。
劇団四季の『ノートルダムの鐘』
浜松町から徒歩6分のところにあるJR東日本劇団四季劇場(秋)
別の階でアナ雪をやっていたので子ども連れの人がたくさんそちらに流れていっていました。ノートルダムの鐘は年齢層が少し高めだったように思います。
ディズニー映画のノートルダムの鐘を観たのも随分前ですが、劇団四季のポスターのキャッチコピーがちょっと重たい。
あれれ、そんな話だっけな??
とディズニー映画しか知らない私は思っていましたが、幕が上がるとディズニー映画のそれとは全く違う話でした!そもそもディズニー映画のノートルダムの鐘も原作があるんですね。
文豪ヴィクトル・ユゴーの代表作《Notre-Dame de Paris》に着想を得た作品だったそうで、舞台は原作の方に沿ってたみたいです。原作読んでみたいな。
ディズニー映画のラストもなかなかびっくりでしたが、舞台のラストはもう衝撃で3日経っても引きずってしまっています。
始まりは一緒、
パリの朝 鐘が鳴り響くよ ノートルダム
荘厳なノートルダムから始まります。
時に強く轟き
時には囁いて パリの街の魂を歌う鐘の音
同じ部分の歌詞の重たさも全く変わってきます。そもそも歌詞も違っていました。
こんなにフレーズで物語の捉え方が変わるものなのかという言葉の面白さ…
ディズニー映画と異なる結末!!!
情緒が追いつかなくてよくわからないところで涙が出ちゃいました。
何より、映画ではただの嫌なやつでヴィランの印象しかなかったフロロー大助祭が主人公ではないか?と思えるほどクローズアップされていてびっくりしました。簡単な勧善懲悪ではない、重たく締め付けられる物語でした。
出来損ないの生まれながらに怪物と言われる醜い容姿、ノートルダムの鐘つき男のカジモドは怪物なのか、人間なのか。本当の怪物は誰だ(フロローだ)、というような話だったと思うのですが、劇団四季のノートルダムの鐘はそんな単純なお話ではありませんでした。(ディズニー映画ももちろん大好き)
カジモドとフロローのダブル主人公で、歌詞の中に出てくるように「怪物と人間の違いは何か」「何が人間を怪物たらしめるのか」を観客が持ち帰るような物語だったと思います。明確な答えを提示してくれるわけではありません。
カジモドも大きな鐘の音の影響で耳はあまり聞こえず、骨も曲がってしまっている。言葉もうまく話せない。教会の部屋に閉じ込められて育った男が本当に哀れで、勇気を出して自分でやろうと思ったことは全部裏目に出てしまって無茶苦茶に壊してしまう感じが本当に可哀想でした。もっと賢い人に利用されてしまうんですね。
勇気を出したのにうまくいかない、それならもう何もやりたくないってなる感じに感情移入して辛かったです。
宗教的な禁欲の中で芽生えてしまった愛、その愛ゆえに女を殺した男と、愛する女を殺されたがゆえに愛する親を殺した男。どちらが怪物でしょうか。醜い男にトマトをぶつけて縄で縛って罵った民衆は人間でしょうか。民衆に紛れて盗みをするジプシーはどうなのかしら。
答えてほしい謎がある。
人間と怪物、どこに違いがあるだろう。
映画では語られることがなかった、フロロー大助祭は「真面目で賢い優しい兄」だった。カジモドに愛を知らないと言われた時に答えた「弟を愛していた」弟をたぶらかした憎むべきジプシー。そんなジプシーの「女を愛することさえできた」。「怪物」と呼んだ弟の子どもも育てることができた。
全てを包むように石像は、神は見つめる。
鳴り響け鐘よ ノートルダム
人間の欲望が根底にあって、小学生のぼくちゃんたちにはちょっと早くないか?と心配してしまうほど情熱的な愛の物語でした。エスメラルダがストレートに色っぽいし。
ぼくちゃんたちには早かったと思う。最近の子はませてるのかな。(鬼滅も幼稚園児が見るくらいしだし。びっくりだよ。)
物語の締めくくりは始まりと同じ、あるパリの朝。
地獄の炎のような苛烈な時間が嘘のように、スンとした空気の中、囁くように歌が聞こえます。
パリの朝 1日の始まり告げる 鐘の音
ええ、もう響いてますよ。がんがんに情緒に影響ありまくりですよ。最高だぜ
幕が降りてからみんなが手をとって挨拶をしているのをみて、こんな未来が来ればよかったのに、と大号泣でした。
どうか明るい未来がこの先にいつか…
何より曲がいい!作曲家アラン・メンケン
ディズニー音楽の要、作曲家のアラン・メンケンさんの曲がいい!
数々の舞台音楽、映画音楽を手掛けております。名前は知らなくても聞いたことがある名曲ばかりのはずです。
そんなアラン・メンケンさんの曲の中でも大好きなのは、ノートルダムの鐘を象徴する曲『The bells of Notre Dome』邦題は『ノートルダムの鐘』です。
聖歌隊の歌や演奏ももちろん素敵なのですが、歌詞が好きです。何度も出てくる印象的なフレーズ。
原曲の歌詞はこちら。
和訳素敵すぎやしないか。
英語の曲の押し寄せるような荘厳さを日本語で美しく訳していて感動でした。翻訳する人って本当にすごいですね。鳥肌。鳥肌。鳥肌。
7月8日 公演
観ていたのは7月8日の公演でした。
Apple musicの劇団四季のアルバムの曲の中にはない、ジョアンの「兄さん誕生日おめでとう!」みたいなセリフがあったのでアレレと思って調べてみると、なんと、観劇した日はフロロー役の芝 清道さんのお誕生日でした!
お誕生日だったのでもしかして特別バージョンだったのでしょうか?
これぞナマモノの舞台、と思ってとても嬉しかったです。一度たりとも同じ舞台はないんですな。
芝さんの一声目の「アーアーアー」から声に圧倒されて鳥肌が立ったことを覚えています。一気に世界に引き込まれてしまいました!
わー!お誕生日おめでとうございます!
聖歌隊の人の歌、石たち、同じセットなのに場面で情景が変わっていく魔法のようでした。人間の声帯からあの声が出てるんですなあ、もう神秘でした。
本当に本当に素敵な時間でした!また観たい。
途中休憩とかあるのか心配していたんですが、ちゃんと途中20分休憩ありました。
(前半終わりの曲もたまらなく良かった)
トイレは不安になるほどの大渋滞でしたが、休憩時間内に全ての列を裁き切る劇団四季の素晴らしいオペレーションでした。
ずっと体に力が入っていたのかとても体が疲れておりました。休憩中におにぎり食べてる人の気持ちがわかる。エネルギー摂らないと倒れかねない。
パリのノートルダム大聖堂が再建したらぜひもこの音楽と感動とともに訪れたいです。
精進します。
切り絵作家 ひら子