最近の私。④
ン、ンン…。
!!!…ココは、あぁ戻って来れたのか。
そうだ!!セリアの便箋!!
あぁ、よかった…ちゃんとある。
あの寂しがりの王様の溜め込んだ感想文は何とか無事に綴れた。
このセリアの便箋には3つの映画の感想文が綴られている。
ギルバート・グレイプ
マイライフ・アズ・ア・ドッグ
そして八月の鯨
この三作は昔、アタシが世話になった人から教えてもらった映画だった。
帰ろう………そして、この感想文をあの人に送ろう。
さようなら、王様。
アタシは誰も居ない城を後にした。
帰って来た…。
流石にくたびれちまったよ…。
おい!帰って来たぜ!塗り薬のあんちゃんよォ!!
えっ……!?
ヨッ!お姫様のご帰還だよ!
桐枝ッ!!!無事だったかい!?ああ!お帰り!!
読書感想文はどうなったンだい!?
ち、チョット落ち着きなって!!
読書感想文はココにいるよ。
!!!
セリアの便箋!!という事は……
ブイッ!!
ちゃぁんと綴ったよ!!
そうか!そうか!……はぁ〜良かった、本当に良かったぁ!!
って、ベピオ、アンタ大丈夫かい?
チョット!!なんでこんなに生温いンだい!?
は、はは…
実は冷蔵庫に入って居られなくって。
戦っている君の事を想うとさ……。
バッカじゃないかい!?
アンタは冷蔵保存が絶対なンだよ!?
死にたいのかい!?
桐枝……。
すまない、疲れている君を心配までさせてしまって。
本当だよ、まったく!
サァサァ!とっとと冷蔵庫に入りな!
ったく世話の焼けるヤツだねェ!
お、押さないでくれよ…
!!!桐枝!?その右手はどうしたんだい!?
右手…?ありゃ、ペンだこができてら。
よく見せて!!
あ、ああ…!!なんてペンだこだ…!!!
すぐにお医者様に診て頂こう!!!
ンな大袈裟な…ただのペンだこだよ?
このくらいツバつけときゃ治るサ。
馬鹿!!
いいから行くんだ!!
い、い、い、医者は嫌だぁぁあああ!!!
うるさい!!いいから行くよ!
ううう…わかったヨ。行かなきゃアンタは冷蔵庫に、入ってくれないだろうしね。
当たり前だろ!!!
どうですか?桐枝の指は。
ふーむ、かなり酷い。何を書いたらこんな指になるのか教えていただけますかな?
まぁ、チョット長い感想文を書きマシタ。ハイ。
ちょっと?ちょっとで済むようなペンだこじゃないよ、コレは。
で、桐枝の指は治るんでしょうか!?
ここまできちゃうとねぇ、もう書けないよ。
えっ…?か、書けないってどういう意味ですか?
言った通り。もうペンを持って文章は書けない、という意味だよ。書き手にしては辛い事かもしれないが、私にはそれしか言う事はできないよ。
気の毒だと思うけれどね……。
そ、そんな…先生!他に、他に何か解決策とかないのですか!?
利き手を変えるしかないね?桐枝さん、あなたはソレができますかな?
エッ…わる、いや。すみません…。
チョット、ボーッとしてて、ハハハ…。
えっと、アタシは左手で書く事はでき…出来ないと思い…マス。ずっと右手で生きて来たし、そんな今さら利き手を変えるだなんて、ブキッチョなアタシには無理だと思いマス。
ベピオくん。彼女はこう言っているが、無理矢理にでも利き手を変える練習を強いますか?
っ……何で僕は人間じゃなかったんだ。
そしたら君の代わりに感想文を綴れたのにっ!!!
ベピオ…泣くンじゃないよ、みっともないじゃないか。それにあの感想文を綴れたのはアタシにしか出来なかったと思う……。
それに、アタシは後悔してないよ…だから泣くな。
!!!
何で君は…!!すまない、一番辛いのは君なのに。
…ベピオくん、桐枝さん。
紙にペンで文章を書く事は難しいですが、親指でも文字を書く事ができる世界があるらしいのですが、この話をどう思いますか?
先生…?親指でどうやって文字を書くと言うのですか?それに世界って正直意味が解りません。
………この世界とは違う世界。ソコにある端末…旅をしている時に聞いた事がある。ただの御伽話かと思っていたケド…そう言う事かい!?センセー!?
そうです!私も古文書で読んだだけですが、利き手を変えずに文章を書きたいと思うのであれば試してみる価値はあると思いませんか!?
ああ!ああ!アタシはまだまだ書きたい!!!
ベピオ!!ついて来てくれるかい!?
桐枝……わかったよ。僕は君のその輝きに満ちた顔が好きだ!!!
エッ……好き?
あ、いや、違う!いや、違わない!
桐枝!!君の事をが!!
あ、あぁ〜ごほん!病院内では静かにしてはもらえないかな?ベピオくん。
入院されている患者の中には心臓が悪い方も居る。
それに、こんな所で言う台詞じゃないと私は思うがね?(ウィンク、ばちこーん)
あ、あ、大変失礼いたしました!!!
申し訳ありません!!!
ハハハ!バッカだねェ!!
まぁ、これから長い旅になるンだ。落ち着いたらその続きを聞かせておくれよ、ベピオ。
さて、もういいかね?こんな小さな病院でも毎日忙しくってね。
はい!ありがとうございました!
世話ンなったね、センセー。
いやいや、私は本当に何もしてはいないよ。
それじゃあ、お大事に。…あぁ、ベピオくん。
はい?
(彼女は手強いゾ。若い頃の妻にそっくりだ。そして今も私は尻に敷かれている)
(は、はぁ…大変ですね…)
(でも、いつまで経ってもイイ女なんだ。君も若い頃の私にそっくりだ。せいぜい頑張ることだね)
(は、はぁ…が、頑張り、ます?)
チョット、ベピオまだかい!?
早く感想文を送りたいし、アタシ何日も飲み食いしてないンだけどー!?
そら!彼女が呼んでるぞ!ははは!
あ、あなたが引き留め…
ベピオーッ!!
イイ加減にしないとゲンゴツ喰らわすよーッ!?
まったく!今行くったらー!それじゃあ、失礼しますよ、先生。
あぁ、頑張りたまえよー。(手の平ヒラヒラ)
さて……お次の方、どうぞ。遅くなってしまい申し訳ありません、いやね、今の患者さんが色んな意味で重症で………。
遅いッ!!いったい何を話してたンだい!?
エッ…えーっと、秘密、かな。
(イラッ)
ゲシッ(回し蹴り)
どぅえッ!!!
続くッ!!!
完全に自己満足創作に移りましたので、この記事を最後にタグをエッセイにします。