セラピーでは家族の歴史調査をする
個人の心の変化を目的としたセラピーにおいて、実は個人の心の話ばかりをするわけではありません。
個人が育った家族について、親世代その兄弟、祖父母世代とその兄弟、可能であればその上の世代。と、家族の歴史をセラピー開始前、または開始初期に丁寧にうかがっていきます。
なぜなら、個人の心は環境の中で作られてきている面も大きいからです。
個人が生まれ持った性格や気質ももちろんありますが、それと環境の相互作用で、今の個人の心があると考えます。
家族のメンバーについて、メンバー同士の関係性、家族に起きた出来事などの事実を可能な限り、押さえていきます。(そして事実が分からないということも大切な事実です)
「事実」を押さえていくのがポイントです。この段階では、気持ち、感情は二の次です。
まさに歴史調査研究のようになります。
クライエントとセラピストがチームとなり、家族の歴史を徹底調査するプロジェクトのようなものです。
実はこの作業をしっかりやるだけでも、生きづらさがかなり変化する方も多くいらっしゃいます。
当室の主な対象の情緒的なネグレクトのテーマの場合は特にです。
そもそも家族の歴史をほとんど知らない、あまり知らない、偏った情報しかない、というケースがネグレクトの場合には多いからです。
自分の歴史が分かっていくことだけで、心の安定につながっていきます。
当然、一つの家族の歴史の周りにある、地域、国家や世界の歴史も同時に確認していくことにもなります。
例えば日本人の家族の場合、第二次世界大戦については外せないと思います。
この時間は、あたかもピラミッド調査隊のようです。(昔テレビで、早稲田の吉村教授の特番が時々やっていました。引き込まれるように見ていた記憶があります)
ワクワク感と、でも何があるか分からない恐怖感とが同居したような時間となります。
知りたいけど、知りたくないような、怖いけど覗いてみたいような、分からないことだらけの中で、一つの事実が見つかる意味の重要さとか・・・。
セラピストはピラミッドへの入り方を日々鍛錬しています。
安全に入って、出てこられるようガイドします。
何事も、事実を押さえることは大切です。
義務教育の中で、歴史の授業が必修なのもそのためです。
歴史を知ることで、今が地に足が着いた状態になります。そして未来へとつなげていくことが出来ると考えます。
この作業への好奇心がおありの方にお越しいただけると、お役に立てる可能性が高まるように感じております。
どうぞよろしくお願いいたします。