ちゃんと居場所があることと、いつでも切れることから生まれる安心感
この安心感を自分の中に育てることが、開業カウンセリングを受ける意味の一つかもしれません。
心の悩みを「居場所がない」と「居場所に縛られる」の視点から見てみたいと思います。
「居場所がない」は、会社になじめない、家族から疎外されているなど、所属感が持ちにくい状態です。
「居場所に縛られる」は、家を出たいのに出られないなど、所属感が負担になる状態です。
「居場所がない」からは、さみしさ、孤独感、空虚感などが生まれます。
「居場所に縛られる」と息苦しさ、閉塞感、怒りなどが生まれます。
「どちらも同時にある」からは混乱、無力感、絶望などが生まれます。
これらの気持ちが長期化することが、心が病むということのように思います。
心が病むと、病みながら生き抜く術を人は生み出していくことになります。
例えば、仕事、買い物、ギャンブル、アルコール、ネット、ゲーム、セックス、そして子育て、対人援助などへの依存・依存症、自傷行為、引きこもり、セルフネグレクト・・・など。
このようなことの背景にあるのが「安心できる居場所がない」という不安だと思います。
精神医学的な診断を受けていなくても、これらの悩みを持つ方は大変多く、居場所問題は現代人の多くが抱えている問題かもしれません。
開業カウンセリングでは、これらの状態からの回復を目指し、地道な取り組みを行います。
方法はいたってシンプルです。
定期的に〇曜日の〇時から自分の居場所(カウンセリングルーム)を持つ権利をお金で買います。
居ることの権利を購入した居場所で、カウンセラーと「あなたの心の中の思いや考えについて」話をします。
と同時に、いつでも関係を切れる権利も得ることになります。
話すことに気が乗らないときには、カウンセリングに行かなくていいということです。
「いつ切ってもかまわないんだ」ということで得られる安心感があるように思います。
「今日は気持ちが乗らないな」そんな時は権利を行使できます。
また「ここのカウンセリングルームは違うな」そう思ったら、権利を行使できます。もう行かないと決め、黙って終わりにすることもできます。
居場所を得る権利は、塾や習い事にも似ています。イメージしやすいと思います。
しかし、嫌ならいつでも切れる権利は、あったとしても日常ではなかなか意識されないかもしれません。
開業カウンセリングならではの特徴でしょう。
カウンセリングでは、最初に交わした契約(キャンセル料を払うなど)に違反さえしていなければ、いつ切ってもまったく問題ありません。
(塾や習い事も契約としては途中退会できると思いますが、先生やお友達などに気を遣ったり、いざ辞める時にもいろいろとめんどくさい関係性が発生しやすいでしょう)
病院や公的機関のカウンセリングも同じく「カウンセリング」ですが、「いつ切ってもいい」とはっきり宣言されないかもしれません。
それらの場でのカウンセリングも、いつでも切る権利はあります。
ただ「主治医に何と言おうか」「学校の先生に説明しなきゃ」など、切ろうとしても現実的な誰かの顔色が浮かび、葛藤が生じ、切る選択肢を選びにくい場合もあると思います。
開業カウンセリングは、個人契約です。カウンセラーに対しての気持ちを気にすることはあると思いますが、カウンセラーは日常生活で顔を合わせる人ではありません。
カウンセリングに行かなければそれで終わりにできます。
お金を支払っていることも、クライエントさんが関係を切りやすくなるのを助けると思います。
さらに言えば、1000円のカウンセリングより10000円の方が、より切りやすいでしょう。
「この金額を払っていることと、このクオリティは釣り合わない」など、シビアに評価し、はっきり断りやすくなります。
相応の料金を支払うことで、ちゃんと切れる安心感につながるのだと思います。
(反対に、相応の料金を支払うので、居場所を大事にしようという意欲、意志ももちろん強くなります)
この居場所の権利を、来る日も来る日も使い続けていきます。自分の気持ちに正直に、カウンセリングに行ったり、行かなかったりを繰り返します。
すると不思議なことに、徐々に徐々に「自分の居場所がある」感覚が「心や体の中に」芽生えてくる感覚が出てくるように思います。
心や体の中に。がポイントだと思います。
「あれ?なんかいま自然体でいられるな」「自分の体と心の主は自分なんだな」という、ほのかに心地よい感覚です。
体感なのでなかなか言語化が難しいのですが、一人でいても落ち着いていられる感覚、一人でいられる感覚とも言えます。
もともとこの感覚をお持ちの方には、当たり前過ぎて、分かりにくいかもしれません。
しかし、しっくりくる居場所が見つからない問題に長くお悩みの方にとっては、新鮮な感覚だと思います。
カウンセリングの中で語ることを通して、自分なりの手応えが得られると思います。
居場所がある安心感、いつでも切れる安心感を来る日も来る日も、自分に与え続けることが大事なポイントです。
植物の成長のようにゆっくりですが、一人でいられる感覚が確かに感じられるようになる可能性があります。
可能性がある。と書いているのは、変わらない可能性もあるからです。
植物の種と一緒です。発芽しない場合も残念ですが、無いとは言えません。(正直に書いておきます)
変わる可能性があるかどうかを最初によくアセスメントし、可能性がある場合にカウンセリングを開始するように努めます。しかし100パーセント成功するとは限りません。
うまくカウンセリングが進んで、安心感が出てくると、生き抜くために用いていた対処法を過度に使用しなくても平気になっていくことが多いように思います。
そして現実生活の人間関係に、好ましい変化が訪れる可能性が高まると思います。
ちゃんと居場所があるけど、縛られない、ちょうどよい、心地いい関係性を持てる人や場との出会いの確率が高まるように思います。
このように、契約関係の中で、「ちゃんと自分の居場所であり、かつ、いつ切ってもよい居場所を持つことで生まれる安心感を自分に与えていく取り組み」は、開業カウンセリングならではと言えると思います。
開業カウンセリングから、利益を得られる方は少なくないのではないかと感じております。