玉田優花子|Hommage au boudoir violet
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本年9月の松下さちこ様個展《惑星の花びら》に私も一部日程在廊させていただきまして、お目文字が叶いました皆さま、またコラボコフレ『植物書翰集 第一巻 アイリスと菫』をお求めくださいました皆さま、本当にありがとう存じました。サロン風完全予約制ならではの、ゆったりとした心とこころの交流を愉しめましたことに、この場をお借りして、改めて深くお礼申し上げます。SNSやブログ等に丁寧に綴ってくださいましたご感想も、とても嬉しく拝見致しました。身体と精神が健やかであるための、「私だけのブドゥワール」を「ネセセール」として携帯するための「秘匿の処方箋」を、この世の美と文藝の守護神であられるノール様より、あなたとわたくしとお揃いで処方されましたこと、大変に幸せです。
霧とリボン様とは折に触れて、2019年よりお仕事をご一緒させていただいておりました。これまでお会いできました皆さま、活動や作品へご関心くださいましたすべての皆さまへ、心よりお礼を申し上げます。菫色の小部屋に集う方々は、荻野弘巳『ヨーロッパ万華鏡』における記述を借りるならば、「非常に意識的な、人工的な、完成を目指して努力緊張したあげくの、"緊張緩和" であり余裕であって、初めから打ち解けた自然体でないことは、強調してもしすぎることはない」。陰翳や複雑さ、洗練や気取りを着こなした皆さま。先鋭な美学が頭をもたげた、穏やかで華やかな会話(に沈黙や小声や俯きが当然のごとく許容される)──ほんとうに稀有な時間と空間をご一緒できましたこと、一生の宝物となりました。
「小さくとも志高く」をモットーとされ、「神は細部に宿る」お仕事ぶりで、これまで吉祥寺でのギャラリー運営に尽力されてこられたカリスマ店員ミストレス・ノール様ならびに霧とリボン様へ、既存の「最上級」の文法規則を逸脱した、かたちにならぬ最上級の敬意を捧げます。店先の鉢植えのお花たち(独自の花言葉で書翰を交わしているところの)、室内のストライプの壁面と美術作品、シャンデリア、そこここのリボン、蓄音機の音楽、調度品、香り、ファッション・プレートや書物。あの「菫色の小部屋」の光景の思ひ出はわたくしたちの裡で生き存え、思ひ出の処方箋に有効期限はなく、苦しいときはいつでも自分で自分に「秘匿の処方」をすることができますでしょう。霧とリボン様、そして皆さまとの再びのご縁を楽しみに、それまでどうかお互いに健やかに過ごせますよう願って、筆を擱きます。
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