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網代幸介|STORY|DAY 1
本展のために用意された絵入りのオリジナル・ストーリーは毎日更新(*6/24休)、最終日DAY 6に完結します。既刊『サーベルふじん』で絵本作家としてもご活躍の網代さまの魅力を、ここ「MAUVE CABINET」でも是非ご堪能下さい。
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A HAPPY TEA-PARTY
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頭の上にティカップを乗せたのは一つ目のエダでした。ソーダは目を見開いたまま固まって動けなくなってしまいました。「それじゃ、まるで凍った魚だな。」フィッシュヘッドは、えらでパカパカ笑いました。
その横に座っていたヘンリー(*)は言いました。「そこは、エダの特等席だよ。きみ、そんなことも知らないんだな。この世界はすべて物事が決められていてね、それを破るということはだ、つまり…うーんと、なんだっけ?」。「これじゃせっかくの美味しい紅茶が台無しだわ。」ソーダは会話をさえぎるようにして、二人に背を向けました。
一方、となりの席では芋掘りネズミ科のダニエルが、長い鼻でズルズル音を立てて、黙々と紅茶を飲んでいました。ソーダは思わずため息がでました。しかし、しばらくの間、こうしてみんなと過ごす事がなかったものですから、ソーダにとっては何よりも至福の時間でした。
*捨てられた人形の両足から生まれた妖精
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ミランダさんは街一番のミステリアスな住民でした。彼女はどこで暮らしているのか、だれもまったくわかりませんでしたから。まるで宙をういたみたいにふわふわと通りすぎるので、みんなは「幽霊なのでは?」とか「墓地で暮らしているのをみかけたことがある」などと噂をしました。
スカートの下にはなにやら目を光らせた3匹のおばけが・・・それはどうやらミランダさんが飼ってる愛犬たち(フクロウ説もあり)のようです。ミランダさんのゴシップはいつしか街のひそかな楽しみになっていました。
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作品名|たのしいお茶会
アクリル・板
制作年|2020年(新作)
作品サイズ|14cm ×21cm
額込みサイズ|25.7cm ×32cm
*マット部分は布張りになっています
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作品名|ミランダさん
アクリル・板
制作年|2020年(新作)
作品サイズ|14cm ×21cm
額込みサイズ|25.7cm ×32cm
*マット部分は布張りになっています
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