ディケンジング・ロンドン|TOUR DAY 3|デイヴィッド・コパフィールド《1》
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『デイヴィッド・コパフィールド』あらすじ
母と乳母ペゴティと幸せに暮らしていたデイヴィッドは義父となったマードストンから過酷な仕打ちを受け、寄宿学校に送られる。個性あふれる人物たちと出会いながら、デイヴィッドは自分の人生の物語を描いていく。
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骨董屋を出て次に向かうのは、『デイヴィッド・コパフィールド』ゆかりのノーウッド。
ゼラニウム咲き乱れる温室で、ある少年と少女に出会いました。温室いっぱいに広がる横井まい子さまの馨しく美しい描線を堪能しましょう。
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横井まい子 | 画家 →HP
少年や少女の姿を通して自然や物語を絵に表したいと思い描いています。2005年より個展やグループ展での作品発表をしております。2018年マリアの心臓(銀座)、アサヒギャラリー(甲府)にて個展。
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温室のドーラ
デイヴィッドは、見習いとして働く法律事務所の代表であるスペンロウ氏に誘われ、ノーウッドにある彼の邸宅を訪れる。花の咲く季節ではなかったが、美しい庭のある家だった。その場所でデイヴィッドを待っていたのは、スペンロウの娘ドーラとの運命の出会いであった。
デイヴィッドは可愛らしく魅力あふれるドーラに一目ぼれして恋の虜となってしまう。デイヴィッドの滞在中に偶然会った二人は、散歩をしながらゼラニウムが咲く温室へと出かけていく。温室の中での輝くようなドーラの姿に、デイヴィッドは盲目的な恋を募らせる。ドーラの魅力は、無邪気でどこか無責任な、子供っぽさが抜けないものであったが、ゼラニウムの花に囲まれたドーラの愛らしい姿は、デイヴィッドの記憶に永遠に焼き付くことになった。それは、とびきり愛らしいドーラが、一番彼女らしくいられた頃の、美しくも儚い、淡い記憶である。
熊谷めぐみ | 立教大学大学院博士後期課程在籍・ヴィクトリア朝文学 →Blog
子供の頃『名探偵コナン』に夢中になり、その影響でシャーロック・ホームズ作品にたどり着く。そこからヴィクトリア朝に興味を持ち、大学の授業でディケンズの『互いの友』と運命的な出会い。会社員時代を経て、現在大学院でディケンズを研究する傍ら、その魅力を伝えるべく布教活動に励む。
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作家名|横井まい子
作品名|温室にて
作品の題材|デイヴィッド・コパフィールド
透明水彩・
鉛筆・アイボリーケント
作品サイズ|31cm×21.5cm
額込みサイズ|44.5cm×23.7cm
制作年|2020年(新作)
一年中花が咲き乱れる温室は、現実世界から少し遊離して存在する場所。ましてやひとりの少女に一目惚れした少年にとっては、夢が咲き乱れる世界に見えていたはず。
ドーラの美しさとデイヴィッドの溢れる想いとを植物に託し、調香師の絵筆でもって温室の風景を生き生きと描ききった画家・横井まい子さまの一作。
横井さまの絵の中では、植物と少年少女たちは同等の存在。その領域も曖昧で、未分化な存在性を繊細を極める筆致で描く作風は他の追随を許しません。鉛筆の上に重ねられた鮮やかな色彩は、紙の上に描かれていることを忘れてしまうほどの透明感。ガラス壜に封印されてた香水が一滴、紙の上で香りを散らした瑞々しい瞬間をとらえたかのよう。
温室を出た後も、今見た光景の余韻と共にディケンズの愛したゼラニウムの香りが残っています。『デイヴィッド・コパフィールド』のツアーは続きます。
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★横井まい子さまの他の作品★
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★作品販売★
通販期間が当初の告知より変更になりました
12月7日(月)23時〜販売スタート
★オンライン・ショップにて5%OFFクーポンが利用できます★
本展のオンライン開催方法と作品販売については
以下をご高覧ください
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