高田怜央|菫色の呼び覚まし -Resurrection(s) in Violet-
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魔女たちの香り
小さい頃、よく魔女に出会った。髪や衣から古く湿ったいい匂いがするからすぐにわかった。ときに街角の市場で、ときに博物館や図書館で、ときに遊びに行った誰かの家で、魔女たちはまちまちの格好をしながら、ゆったりと時間に溶け込んでいた。
スコットランドでは、どの街にも魔女がいる。北の険しい山間の方の小さな町や村では、箒に乗ってとんがり帽子をかぶった絵姿の看板を吊るしたお店をたまに見かけた。たいてい、薬草や香料の瓶が棚に並べられていて、虹の端から端までの色をそ