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少女の聖域vol.3〜魔法大全

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オンライン開催 霧とリボン企画 高柳カヨ子プロデュース《少女の聖域vol.3〜魔法大全》|2022.9.2〜9.9|魔法少女に変身しなくても、少女は既に魔法を内包しています。幾多…
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少女の聖域vol.3|展覧会のご案内

オンライン開催 at MAUVE CABINET 【9/4〜9/6は配信お休み】 ★ 霧とリボン実店舗は休業中のため ご入場頂くことはできません  9月より、霧とリボン オータム・シーズンがスタート。  シーズンの幕開けを飾るのは、精神科医 / 少女批評家の高柳カヨ子先生プロデュースによる恒例のシリーズ企画展《少女の聖域》。  15組の多彩なアーティストが魅惑のテーマ「魔法大全」に取り組みます。  本展では、15組の作家作品を高柳カヨ子先生のエッセイと共にご紹介。個性豊か

少女の聖域vol.3|山口友里|魔法の粉をふりかけて

 山口友里ほど魔法という言葉が似合う作家はいないだろう。  美術デザインとスタイリングを担当したマジョリカマジョルカで、彼女の魔法にかかった少女は数知れず。その幻想的な世界観と卓越した美意識は、ドールの制作に於いても遺憾無く発揮されている。  マンドレイクまたの名をマンドラゴラといえば、魔法使いにとっては欠かせないアイテムである。  引き抜くと悲鳴をあげ、それを聞いた人間は狂って死んでしまうという伝説をもつマンドレイクは、実際に古くから薬草として用いられた植物だ。地面に埋

少女の聖域vol.3|高橋邑木|流転する様相

 古来ギリシアの時代から信じられてきた世界観に、全てのものは四大元素(エレメント)に司られているという概念がある。それは魔法や錬金術にも受け継がれ、土、水、火、風という4つのエレメントの割合や強さによって、事象は確定されているとされた。  高橋邑木が制作する陶磁器。  この陶芸という分野こそ、4つのエレメント全てが含まれたまさに魔法のような芸術である。  素材となるのは、土。原土となる良質な粘土を手に入れたら、水簸という水を用いる精製が欠かせない。この水簸の加減で完成した時

少女の聖域vol.3|atori|遠き国より来たりしもの

 水面に映る光のように、透明に煌めく幻の国の記憶。  atoriが生み出す装身具には、どこか懐かしい優しさが漂っている。  少女はすべからく魔法使いである。  生き辛い社会を生き抜くために、美しい魔法道具を身に付けて戦う。  遠い国から受け継がれた品々を、淡い菫色や真珠色に染めて、atoriは少女をそっと守る。  魔法に使われる不思議なアイテムを繋げた首飾り。  ひとつひとつに込められた魔法を解き放てば、少女は最強の魔法使いになれる。  薬品棚に並んだ魔法の薬は、少女が

少女の聖域vol.3|DAY 3

本記事はオンライン展覧会《少女の聖域vol.3〜魔法大全》DAY 3の配信記録です。 Text霧とリボン  秋の曇り空から、キラキラ降り注ぐ雨。まるで、少女たちの魔法世界を祝福しているかのよう。  三日間のお休みをはさみ、高柳カヨ子プロデュース展は、本日より会期後半がスタートしました。DAY 3の本日、お好きな時間、お好きな場所から、オンライン展覧会をお楽しみ下さいました皆様に深く感謝申し上げます。  プロデューサーの高柳カヨ子先生のnote連載《少女主義宣言》を毎週楽

少女の聖域vol.3|APOLIA|前衛と過剰

 恋に落ちるのは、魔法にかかるようなものだ。  相手は人間だけではない。夢中になれる対象と出会った時に、少女は恋に落ちる。  手の込んだレースや刺繍、幾重にも重なる布のボリュームに彩られたバッスルのロングドレス。ヴィクトリア朝の過剰なまでの装飾は、保守的で窮屈な価値観と進歩的で自由な価値観のせめぎ合いの上に成り立っている。  ヴィクトリア朝ファッションは、産業革命という時代の節目に生まれている。10代の頃APOLIAは美しく過激なその魔法の虜になった。  異国情緒という

少女の聖域vol.3|Du Vert au Violet|誇り高き花園

 世に在る全ての少女たちが安心して少女たり得るように、少女薔薇十字団は暗躍する。  少女に降りかかる押し付けがましい理想や冷笑的なもてはやしを薙ぎ払い、少女の概念をもっと自由闊達に取り戻すべく、いばらの道を切り開く。  彼女たちの象徴である薔薇は、薔薇であって薔薇ではない。  薔薇は「そうび」とも読む。そう、それは少女が戦うための装備なのだ。  Du Vert au Violet(ドゥ・ヴェール・オ・ヴィオレ)が提唱する、プライヴェート・ポプリ。  これまでポプリといえば、