半年ぶりの「ごんぎつね」朗読解釈記事です。
(1)では全4回に分けて解説してきましたが、今回は共通ワードが含まれているので単発で解釈していきたいと思います。
【朗読音声】
【記事マガジン】
(2)は、兵十に起きた出来事がごんにとって衝撃的な内容であることが描かれています。
自分には関係なくとも、道端に霊柩車を見かけたりするとなんともいえない気持ちになるのと似ているような気がするのは私だけでしょうか。どちらにせよ、ごんの心情は複雑窮まりないものであることは確かです。
注目キーワード:「思いました」「考えました」
先日TBSを退社された堀井美香さんの著書「音読教室」のごんぎつね解説では、以下の文章が記されています。
(2)のごんの台詞を全て抜き出してみましょう。
堀井さんが仰る「呼応」とは一体何か?
それは、ごんが一連の状況を理解していく過程なのではないかと私は考えます。
今度は抜き出した台詞の隣にメモを付け加えてみましょう。
※<>…メモ。私なりの印象を書いています。
メモの内容を図式化するとこんな感じです。
こんなところでしょうか。
台詞の前後の地の文を見てみますと、あるキーワードが共通して記されています。
①の前後文を例に見てみましょう。
①~⑥までの前後文を見てみますと、ほぼ全てに「思いました」や「考えました」が記されているのが分かります。
④に至っては「思いました」が③の台詞とサンドイッチされているので、ごんの理解過程がベルトコンベアのように変化していっているのが如実に表れているようにも見えます。
(1)の朗読では、悲しさ感に引っ張られないようにできるだけマイナスな要素を取っ払うように読むことを心がけました。
地の文の語りを意識しながら文中の情景を実況し、ごんと人間社会の結びつきを推理してみることでオリジナリティ溢れるごんぎつねに仕上げるコツであるとまとめています。
しかし(2)では一変して、悲しさと後悔が入り交じる展開が広がっています。少し離れたところで人間生活を観察することで兵十に起きた出来事に同情し後悔し、ごんの感情が忙しくなったのでしょう。それはまるで、Twitterでテレビドラマを実況しているドラマクラスタのようでもありますね。
当然、読みの部分においても「思いました」「考えました」の読み方にも変化を付けなければいけません。
朗読音声では、キーワードの読み方に変化を付けてみましたが…どう変わっているかまでは分からなかったらすいません。修行不足ですw
その他気をつけたいこと
文中では彼岸花が踏まれている描写があります。その彼岸花はとても綺麗な咲きっぷりで、誰が見ても息を飲む光景です。
しかし人間は非情なもので、目の前にあった同族の命が失われると他のことは蔑ろにしてしまうという皮肉を表しているようにも感じます。
「墓地には、ひがん花が、赤い布きれのようにさきつづいていました」は情感たっぷりに、「人々が通ったあとには、ひがん花が、ふみおられていました。」は悲しさ100%超で「実況」してみてください。
鐘の音(カーン、カーン)の読み方…SE表記と捉えて無機質に読んでみましょう。できることならその描写だけ鐘になったつもりで読んでみるとなおOKです。
ごんぎつね世界におけるあの鐘を鳴らすのはあなただけです。
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次回は「ごんぎつね(3)」です。
兵十の人物像メインで描かれています。今までいたずらばっかりしていたごんが映画版ジャイアンみたいになります。