所信表明と、このnoteの取り扱い説明書。
はじめまして、フリーライターの中里キリといいます。主に、アニメ・ゲーム・声優・麻雀といったジャンルで、文章を書くことで生計を立てています。
おそらく、僕の名前を知っている人の8割には、アイドルコンテンツのライターとして認識されています。「アイドルマスター」というコンテンツについてや、「ラブライブ!」のµ'sの前半期、「Wake Up, Girls!」という作品に関する蓄積と愛情では、結構なものだと自負しています。現行作品では「少女☆歌劇 レヴュースタァライト」「バンドリ!」「Tokyo 7th シスターズ」といった作品も好きで、いろいろなお仕事をさせて頂いています。
その仕事には「公式」のものと「企業媒体」のものがあり、自分の仕事の比率は2:8といったところです。しかし、自分は業務委託を受けるフリーランスであり、よく誤解されるような「公式の人」ではありません。僕は「そこそこ近くでコンテンツを観察している、傍観者」です。
ちなみに、残りの2割の人には麻雀の人、MJの人、と認識されていると思います。2004年頃、NTT出版という会社が運営していた「ゲーム情報サイトeg」というゲームサイトが、僕のキャリアの正式な出発点でした。本当は、それ以前からちょこちょこと、仕事を頂いてはいたのですが。その会社で、セガの「ネットワーク対戦 MJ2」というアーケードゲームで、「中里キリのMJ-NET認定雀士への道」というゲームプレイ日記を連載したのが、この名前のスタートでした。
「MJ-NET認定雀士への道」はその後連載名や媒体を変えながら、なんだかんだ100回ぐらいは書いたのではないでしょうか? ですから、今でもたまに、「アイドルマスター」が好きな人の集まりで、「え、MJの中里キリさんですか!」と驚かれて、周りの人に(誰やねんそれ……)という顔をされることがあります。
僕の仕事の仕方は、特殊です。そのルーツには、昭和の時代に大阪の「週刊ファイト」の井上義啓編集長が考案し、後に「週刊プロレス」などに受け継がれた活字プロレスという文化があります。
活字プロレスとは、目の前で繰り広げられる試合をただレポートするのではなく、リングにいるレスラーがどんな人生を歩んできたのか、赤コーナーと青コーナーのレスラーにどんな戦いの物語があるのか、決着の結果、これからプロレス界の未来はどのように変化していくのか……といった膨大な情報と格闘し、文章にして、読者と一緒にその物語を楽しむというライティングスタイルです。
その楽しさに魅せられた僕は、いつしか「アイドルコンテンツ」という世界で、ステージとその向こうにある物語を綴ることを仕事にしてきました。一般的なライティングとはかけ離れているので、それを良しとしてくれる媒体さん、苦笑いしながらも許容してくれるコンテンツホルダーのみなさま、そして何より、楽しんで読んでくれるみなさんのおかげで、僕は業界の隅に存在することを許されています。
自分のテキストは行間を想像力で補完しながら物語に仕上げる作業ですが、それが現実と乖離してしまったらただの「妄想」になってしまいます。ですから、可能な限り全てのイベントに足を運び、時には演者やクリエイター本人にインタビューを行なうことで、自分の中のイメージがズレていないかを確認し、微修正する作業が必要になります。
僕がひんぱんに文章にして、レポートしているコンテンツは「自分のイメージが、現実とそれほどかけ離れていない」と自信を持てるタイトルが多いです。あまり取りあげなくなったコンテンツについて、興味をなくしたわけでは決してありません。最近は絶対に行きたいイベント同士がバッティングして、どうしてもあきらめなければいけないこともあります。それは、みなさんと同じです。
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最近、COVID-19の流行に伴ない、アニメやゲームを取り巻く環境は激変しています。たくさんの人が仕事をうしない、困っています。かくいう自分も取材のために現地入りしていた台北ゲームショウが中止になって帰国してみたら、仕事がひとつもなくなっていました。ひとつも、ですよ。「イベント取材」と「インタビュー」という、対人をテーマとする業界に身を置いている以上、それは仕方がないことです。2月の収入は「0」です。
そのため、たくさんの企画をいくつかの媒体に持ちこみました。そのひとつが「アキバ総研」さんで現在連載中の「中里キリの“2.5次元”アイドルヒストリア」という連載です。おかげさまで一定の好評を頂いていますが、それ以外の提案企画の打率が思ったより良くありません。それはひとえに、単発の仕事ばかりして、書籍などによる体系化を行なってきた僕の努力不足であり、同時に「そんな妙ちきりんな企画は、既存のアニメやゲームの媒体にはなかなかフィットしない」という事実も示していました。
僕の書くテキストの編集、監修には、それなりの知識と(脳の)体力、そして愛情というバックボーンが必要です。たとえば、「2003年の「アイドルマスター」開発中の状況について原稿を書いたぞ、メーカーチェックしてもらおう!」と思っても、当時の状況を詳しく知る人は、広報の現場にはおそらくひとりもいません。開発や、プロデューサークラスにはいるかもしれませんが、そうした人に逐一原稿チェックをしてくれというのは現実的ではありません。
某大手出版社から僕の理解者だった編集さんが退社したことで、このスタイルに対応してくれる人に依存するやり方は、ある日終わりを告げるかもしれないな、という予感がありました。では、どうすればよいのか。
結局のところ、自分の経験と、知識と、想像力と、信念でもって「これは私の目から見た、真実のひとつの形(可能性)です」と胸を張って言うしかないのです。その上で生じる批判や、諸々のリスクは、書き手が背負うべきものだと思います。
だから、自分の文責を明確にするために、noteという場を立ち上げました。いくばくかの対価を頂いて生活の糧の一部にできないかと思っているので、テキストの有料販売や月額会員募集なども行なうかもしれません。
しかし本質的なところでは、自分が死んだら泡となって消えてしまうような事実のかけらや、物語について、少しずつ書き残していきたい、という気持ちが一番大きいです。
せっかく自由な創作の場を作ったのですから、アイドルに限らず、好きなアニメやゲーム、麻雀や将棋といった趣味の話もしたいと思います。
ですが、世の中にある素敵なものや、人の真実に少しでも近づき、それをたくさんの人に物語として伝える語り部でありたいという意志は、変わらないと思います。
とても長かったですよね?
この長さを、まぁいいか、と思える人以外には、僕の文章やこのnoteは勧めません。
【文・中里キリ】
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