『生きてるだけで、愛。』感想

菅田将暉くんが気になっていて彼の作品を少しずつ見ている。

"生きてるだけで、愛。"
良い映画だった。
花束みたいな恋をしたもそうだけど見終わった後にタイトルにじーんとしてしまう。

私は精神的な病気で大変な人たちを実際に知っているから寧子みたいな人結構いるんだろうなって思う。でもそうじゃない人からみたらこんな人いないでしょって思うらしい。この映画みんなどっかしら共感できるんじゃないかと思うけどそうでもないのかなあ。

頑張りたいのにできない、無理してやっても途中で爆発しちゃう、その教訓からもう何もやりたくない。この繰り返し。
こういう病気が長いと"病気によって失ったもの"よりも"病気によって得られなかったもの"の大きさに愕然とする。私の人生空っぽだ。
でも寧子は自暴自棄にはなっていなくて自分を愛していられていて大事なものは失っていないように思う。

カフェのみんなのすごく優しさが身に染みる。でもやっぱり当たり前だけど他人事だから。他人事ではなく自分のために必死になってくれる家族がいたらそういった優しさに感謝してうまく付き合っていけるだろうけど。難しい。

津奈木はなんで寧子と一緒にいれたんだろうってやっぱり考えてしまう。でも津奈木が脱いだ服を拾いながら寧子を追いかけるシーンには私自身、津奈木に救われた気がした。なぜ津奈木と寧子は一緒にいたのか、それがこの映画の主題のような気がする。
寧子はなんで津奈木に強く出れるんだろう、一緒にいてくれることに対して悪いなとか、感謝とかないんだろうかって思ってしまう。でもそんな自分にハッとした。彼は自分で選んでここにいる。寧子は彼にしがみついて手放さないようにとは接していない。そうしかできないだけかもしれないけど。そこが津奈木が寧子と一緒にいる理由なのかなとも思った。「その場しのぎの返事や欲しい言葉を言うのは優しさじゃない」寧子の言葉が刺さる。

見てるときは津奈木の存在感薄いなと思っていた。最後までそのキャラを掴めなかった気がした。でも終わって余韻に浸るほどに津奈木の存在感が増した。寧子との繋がりにとても温かいものが流れているのを感じた。存在感がないようでしっかりと物語の軸になっていた。

寧子は我儘で甘えているとレビューで言っている人もいたけれど私には彼女は必死で生きようとしているようにしか見えなかった。そんな自分も甘えているのだろうか。そう見える人はしんどい時期がなかったのかな、なんて思ったけど寧子を許せないと思うほど、しんどい時期を自分で乗り越えた人なのかな。

「いいね、津奈木は。私と別れられて。私は私と別れられない。」
この言葉がとても心に残る。この言葉のための2時間と捉えても意味がある映画だと思う。



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