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きっとずっと会えないけど

(今日は小説ではなく、書き溜めていた謎にセンチメンタルな私の体験談です。ご容赦ください)

夢を見た。

数ヶ月会えていない、ずっと会いたかった人に会った。

夢の中で、私はその人に追い縋って「戻ってきて」と泣いていた。

その人は辛そうに、私の腕を振り払った。


朝起きて、なぜか涙が止まらなかった。

なんで仕事のある日にここまで泣いているのかわからなかったので、

「心が弱っているのかな」

と、そのままにしておいた。

(実際その後にめちゃくちゃ体調を崩したので、メンタルが不調だったことは間違いない)


現実では、私のせいでその人との恋愛は終わった。

私は自分が社会人になるタイミングで、その人に別れを告げた。別れ際は、その人よりも言い出しっぺの私の方が、息できなくなるまで泣いていた。その人は私を慰めながら、少しだけ涙を流した。


その人は、私が人生で初めて

恋愛という意味で、心から好きだと思えた相手だった。


会える日はいつも嬉しくてたまらなかった。目いっぱいおしゃれをしてデートに向かった。「好きだよ」と言ったら「もっと好きだよ」と返してきて、いつも競争のように「もっともっと」と言い合った。家族と大喧嘩をして、夜中の2時に電話をかけた時、寝ていたのに電話に出てくれて、静かに話を聞いて「それを伝えたらいいんじゃないの」と優しく諭してくれた。遠距離なのに、月に1回大きい荷物を背負って会いにきて、1週間をまるまる一緒に過ごした。私の小説を初めて読んで、びっくりするくらい、心からの言葉で褒めてくれた。私の好きなものを一緒に見て、勉強してくれた。就活中は、弱気な私にいつも自信を思い出させてくれた。


あの時の思い出はずっと私の心の中にキラキラと残っているし、日が経つにつれてもっと美化されていくのだろう。その人には、今では感謝することしかない。誠実な気持ちで、広い心で愛してもらえるのはここまで幸せなんだと、初めて知った。


でも、私は覚えている。泥沼のような喧嘩や、悪いところを全てさらけ出すような言い争いも、自分が苦しくなるくらい傷つけてしまった時の嘘も。

心がヒリヒリして頭が痛くなるくらいの怒りや哀しみは、もう一生味わえないんじゃないかと思う。「愛憎」が裏表の感情だと学んだ。


こうやっていろんな感情を学ばせてくれたその人には、きっともう会えないだろう。

だって、こういう、恐ろしいほど好きにさせる、誠実で愛に溢れた人は、一回逃したらもう帰ってこないから。

相手をできる限り最高の愛で包んで、別れのあとは決して会えない。これって、簡単なようで一番難しくて、相手に一番強い思いを残すんじゃないだろうか。常に相手の気持ちを思いやっていて、純粋であるが故に、すごく強いパワーがある。


だから私はきっとずっとあなたに会えないし、ずっとあの時の幸せと切なさを思い出しながら、たまに夢で泣きながら生きていくんだろう。


あなたがしてくれたように誰かを愛することができたら、会えない寂しさは和らぐような気もする。

でもその時には、私はその相手に夢中で、あなたと会おうとは思わなくなっているのだろう。だってあなたはそうやって、他の誰も目に入らないくらいに私を愛してくれたから。

私は本当に、あなたみたいになりたいよ。

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