映像制作×社会課題の実現へ真正面からぶつかっていく、クラファンへの挑戦
こんにちは。Kiriです。
現在、難病を抱える女性を追った映像ドキュメンタリー制作のクラウドファンディング(以下クラファン)に力を入れています。今回は僕がクラファンを行うことになった理由や社会的意義をメインに、最後にはおまけ程度に走ることの近況も少しお話していきます。
また、今回で取材形式のnoteはひと区切りを迎えるため、約1年間運用してきたまとめも最後に書いていきます。
特に僕のクラファンへの想いが溢れて、いつもより長編となっていますが、ぜひ最後までご覧ください!
自分が取るべきポジションを取る|2期に向けて
Kiri:KIRIN Inc.は8月で2期目を迎えました。
1期まではそこまで売上を追わなかったのですが、2期目以降は数字にもこだわっていきたいです。
ーこれまであまり営業はしてこなかったと聞きました。
Kiri:はい、2期目はよりアグレッシブに、いろいろな人にコンタクトを取っています。
ただ、闇雲に営業をかけるのではなく、他のクリエイターさんのポジションを見つつ、かつKIRIN Inc.の存在意義を発揮していける領域で「これは自分がやるべき」ものを深掘りしています。だから仕事は、社会課題やソーシャルグッドの文脈が多いですね。常に、種を蒔きつつ刈りつつの状況です。
子育てもランニングもあって時間が足りない中ですけど、絶対に両立できると思っているので、より時間を無駄にしないように過ごしています。
あとは、グループ会社の株式会社ZOU・株式会社PANDAと毎月月次報告をすることになりました。人って自分だけの環境だとどうしても甘えちゃうので、こうして発表の場があることはいいことですね。より数字を意識しながら、メリハリつけて仕事ができるようになりました。
ーグループ会社の報告も勉強になりそうですね。
Kiri:加えて8月から業務委託で、同じく山梨で活動するフリーの映像クリエイター・かずやくんに常に仕事を振るようになったので、自分の手が開けられるようになりました。余裕ができたことで、今回クラファンに着手できましたね。
難病を抱える女性が、人前で生きる大切さを伝えるまでのドキュメンタリー
ー初めてのクラファンへの挑戦ですが、具体的にはどのような内容なのでしょうか?
Kiri:紫斑病性腎炎という腎臓の指定難病を抱えたJuriさんという女性が、自ら音楽を作ってライブで歌うまでを追いかける映像ドキュメンタリー作品を制作して、2025年1月には上映会を開催するといったものです。
彼女は4歳の頃からその難病を発症して、17歳で腎不全になりお父さんの腎臓を移植しています。発症から23年経った現在でも通院、透析を続けています。
「腎移植したとはいえ完治とはならず、今も常に病気と戦う日々を過ごしていて、元気なうちにしかできないことがある」と、見えないタイムリミットが刻一刻と迫ってきていることをJuriさんは話していました。
その中で彼女はヒップホップが好きで、自分でリリック(歌詞)をずっと書いていたんです。
ヒップホップって、生まれた環境が恵まれない人が社会や環境に訴えかける文化があるそうなのですが、彼女も自分の経験を元に、生きることや命の大切さを書いていて。
その歌詞で代表曲をひとつ作って、それを早ければ今年中にライブで発表する、その挑戦に迫ったストーリーを描きます。
彼女自身、何回も自殺を考えたことがあり、うつ病を発症したこともある。そして20歳の時にはお母さんを亡くしている。壮絶な人生を送っているんです。
そんな彼女が挑戦する姿を、同じく難病や障がいと戦っている人や、生きる希望を失いそうな人に向けて、今回制作するドキュメンタリー作品を通して伝えていきたいです。
ー壮絶な経験を送った彼女ですが、お写真を拝見する限りは元気に見えます。今回の取り組みは彼女からの働きかけで始まったのでしょうか?
Kiri:いえ、僕が元々、自主制作でドキュメンタリーを作りたいと思っていて、そのことをたまたま同級生に話したら、その友達からJuriさんを紹介してもらいました。
彼女に将来やりたいことを伺ったら、リリックを書き溜めていることを聞いたので、「それは曲にする前提ですよね?」と訊いたら「そうですけど、私は音楽なんか作れない」とおっしゃるんです。
いやいや、Juriさんの知人で音楽やっている人もいたこともあり、協力してもらえれば絶対に作れるという話をして。実際に音楽制作をしているJuriさんの知人に相談したら快く協力してもらえたんです。
その曲を作ってライブして、人前で想いを伝えるところまでを撮影させてもらいたいと思い、今回のドキュメンタリー制作に至りました。
ーそのような流れがあったんですね。
Kiri:ただ、今回の制作がきっかけで彼女の夢を叶える動きが始まったんですけど、それだとドキュメンタリーの制作上あまりよくなくて。
ドキュメンタリーは必然的に彼女が「やりたい」という気持ちがあって、それを追いかけさせてもらうスタンスが絶対正解だと思うんです。「撮影するから曲作って」だとやらされになってしまうので、あくまで本当にあなたがやりたいのであれば僕は追いかける、というスタンスでやるように気をつけています。
ここがドキュメンタリー演出の奥深さを感じるところでもあり、難しく、それでいて魅力的なところですよね。
映像制作×社会課題を実現するためのクラファン挑戦
ードキュメンタリー制作は、はじめは自主制作で行おうとされていましたが、どのようなきっかけでクラファンに挑戦することになったのでしょうか?
Kiri:彼女が歌う音楽作成の段階で、どうしても依頼者側に金銭的なメリットが必要ということになったんです。もちろんKIRIN Inc.から出すこともできますが、そうすると内輪の発表で終わってしまう。広く社会に影響を与えられないと思ったんです。
そもそも彼女が歌うとなって、誰が聞きに来てくれるんだろうと考えたときに、より多くの人に応援してもらいやすく、「支援者=作品の視聴者」となるような仕組みを取りたいと考えました。
クラファンのリターンには、映像の上映会参加券や都内のトークショーへ招待、法人向けだと講演会を開催できる、つまり僕らを誘致できる権利を持つものや、エンドロールにスポンサーとして大きく社名が載るものも用意する予定です。
ーより広い範囲への影響を考えたんですね。
Kiri:これはもはや、ひとつの仕事として捉えています。
彼女は難病を抱えているため、継続して企業に勤めること、いわゆる一般的な社会生活を送ることが難しい状況です。だからこそ講演会やトークショーなど、彼女の体験を必要とする人に向けて語ることが仕事になればと思っています。
彼女のように、働きたくても働けない人が社会で活躍できる場を作る、そのきっかけにもつながるプロジェクトにしたいですね。
また、これをKIRIN Inc.がやる意義のひとつとして、ソーシャルグッドや社会課題の文脈の仕事はお金が発生しづらいことがあります。
単体のクライアントからマネタイズすることは実際のところ難しいですが、多くの方からの支援を集められるクラファンを利用すればそれが可能であることを実現したいです。
ー個人の社会活動の機会創出から、社会課題をマネタイズするまで、このクラファンには様々な目的があるんですね。
Kiri:クラファンのスタート日には、関係者全員に連絡かけようと思っています。
「支援してください」ってつまり、「お金ください」って言っているようなものじゃないですか。でも、それでいいと思っていて。
自分や会社の利益のためだけにやっているわけではないので、これは絶対成功させると決めています。
クラファンでより応援されやすい仕掛け作り
Kiri:今回のクラファンは『for Good』というプラットフォームを使います。
運営しているのは『株式会社ボーダーレス・ジャパン』という日本のサステナビリティ企業では様々な業績をあげてきた会社さんなので、より社会課題に関心のある人が集まっているんですよね。利用者の母数は他のクラファンサイトに比べると少ないかもしれませんが、ひとりひとりのプライオリティが高い印象です。
ー社会課題に対する感度が高い人に見つかりやすいプラットフォームなんですね。
Kiri:今はクラファンページに載る応援メッセージを集めている最中です。クラファンは最初と最後に支援が集中すると言われていて、最初の1週間以内に目標の30%以上達成するのがベストなんです。
プロジェクトが始まる前にこのメッセージが多く集まっていると、それだけ応援されているプロジェクトだと見せることができるので、ここは協力してくれそうな方に声をかけています。
ーページの作成だけでなく支援者の声掛けまで、大変な作業だと思います。でもこれを仕事として生み出せれば、また次の仕事にも展開できそうですよね。
Kiri:そうですね。できた作品は大事に扱って、届けるべき人たちへ届いてほしいと思っています。
たとえばYahoo!クリエイターズという、Yahoo!が認めたドキュメンタリー監督さんしか作品を公開できないプラットフォームがあるのですが、意義やプライオリティがある程度の基準を超えると、どうやらその承認が得られるそうです。それは狙っていきたいですね。
あとはテーマに沿った映画祭があれば出展したいです。
ドキュメンタリー界の巨匠の、後継者候補
ードキュメンタリーつながりですと、先日Xのスペースで高島太士さんと話されていましたよね。
Kiri:そうなんです、高島さんから突然「Xのスペースで話そうや」と連絡が来まして。映像ディレクターの大石健弘さんと3人でお話しさせていただきました。
おふたりは広告映像界ではレジェンド的存在なのですが、高島さんは後継者をつくりたいみたいなんです。そこで「もうKiriさんしかおらんですわみたいな」と言っていただいて。
どうしてそう言っていただいたかっていうのは、高島さんの言葉を借りると、僕も社会課題に対して映像ひとつの力で人の人生を変えられると信じて疑わない人なので、その部分では高島さんに共感いただけるところが多かったのだそうです。
あとは高島さんが主催するイベントは、都内だろうが全て行っているので、その動きも含めての関係性なのかなとは思います。
だからある意味、そういう方々にも今回のクラファンには期待していただいます。
来年年明けにクラファンで制作する作品の上映会を都内でやる予定ですが、そこにぜひ高島さんらにも来ていただきたいですね。
僕自身の、クリエイターの次なるステップを踏んでいきたい挑戦でもあるので、今回のクラファンは意義のあるものにしたいです。みなさんからどんな反応がもらえるかわかりませんが、楽しみですね。
走ること|今年はひとつのマラソンに集中して取り組む
ー前回u-Fitさんからマッサージガンを提供いただいたと伺いました。その後使ってみていかがでしたか?
Kiri:すごくいいですよ。はしるきりチャンネルで紹介もしました。
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Kiri:今は11月のつくばマラソンに向けて、ポイント練習といって心拍数180超えるくらいまで追い込むような練習をしているんですね。それが結構足に来るんですよ。
そのときこれを走る前と後にやると、血流を促進して次の日の回復が早まるので、これ無くしてフルマラソン3時間半ぎりの練習は多分続かないですね。身体壊して怪我につながってしまうので。
走ることでいうと、9月15日に行われる富士山クライムランに出場します。
僕、地元なんですけど富士山に登ったことがないんですよね。だからいいなと思って。
ーそうだったんですね!
Kiri:昨年ホノルルマラソンに出場したこととも似ているんですけど、行ったことのない場所に行く時にマラソンとなにかしらの口実をつけたいっていうのはありました。「ハワイに行ったことがないからホノルルマラソンに出る」と同じですね。
ー普段のマラソンとは異なり、今回のクライムランは走りながら登るじゃないですか。それ用のトレーニングとかされているんですか?
Kiri:いつも走る公園から少し外れると700mくらいの激坂があるので、そこを走っています。昨年はいろいろなマラソン大会に出ましたが、今年はひとつのマラソンに集中して取り組むようにしています。
あとは先日『Runtrip』が主催する『ルーズに過ごすRUN合宿in軽井沢』に行ったとき、代表の方に映像の仕事をしていることを伝えたのですが、その後DMいただきました。実際まだ何が起きているわけではないですが、一緒に仕事ができたら大変大変嬉しいですね。
ランニングはもう、ライフワークとしてこれからも続けていくんでしょうね。
「言語化できたのがよかった」約1年間、noteを運用してきて
ー昨年10月からスタートした取材形式のnoteは、一度これで区切りを迎えます。ほぼ1年間お世話になりましたが、やってみていかがでしたか?
Kiri:特に初めて会う人には「noteやってますよね!」とかなりお声がけいただきました。それが売上や事業にどう影響したかは図れませんが、でもこうして言語化できたのはよかったですね。
ーたしかに、実際に話すことで気づくこともあったと思います。
Kiri:KIRIN Inc.でnote活用サービスを始めてもいいかもしれないと思いました。文字に起こすことで経営者の人となりがわかりますし、たかが月に一度、されど月に一度。少ない更新頻度でも定期化すれば会社の動きやストーリーもわかる。それがひいては仕事や採用につながると思うんですよね。実際僕も学生さんに「noteいいですね!」と言われたので。
ーnote活用まで手が届いている会社さんは、少ないかもしれませんね。
Kiri:経営者が自分でnoteを書く時間も作れないと思いますし、僕のこれまでのnoteみたいに、1時間話した中でも記事にしてもらえるのは、効率がいいと思います。
いずれにせよnoteを活用するメリットはありそうなので今後も探っていきたいですね。
ー私も1年間、KIRIN Inc.の変遷が聞けて楽しかったです。
Kiri:KIRIN Inc.はこの2期目が頑張りどきだと思っています。クラファンなどを活用したオンラインも、ワークショップ系のオフラインも、どちらも引き続き仕掛けていきたいです。
株式会社KIRIN
代表取締役 桐原侑希
取材・執筆・編集
ライター Mika Endo
取材日
2024年9月3日