"SADE(シャーデー)" - VE-05 - 誰かにはきっとベストなベスト


SADE

ここ数シーズン、
「ベストを着たいなぁ」
と思いながらも、個人的に余計な重ね着をしたがらないタチでなかなか食指が動かない。
動いたとしても、みんなも気持ちは同じようで、「いいな」と思ったものは大体すぐになくなってしまって満足に試着もできてない。
それは自分のお店でもそう。

そんな空前のベストブーム(?)
いや、そこまでではないんだろうけど、世の中がベストに目をやっている最中、そんなことは露知らずに自由気ままなSADEから新しいベストが到着。

なんなんでしょうねこれは。

喋り出しそうですね。

16色くらい入った奇妙な色味の生地を用いたフリンジつきのベスト。
ずっと見ていたら、まるでH・P・ラヴクラフトのクトゥルフ神話の邪神みたいに見えてきた。
裾で留められているため、これ以上ほどけてくることはないんだろうが、絶妙に奇妙な丸まり方をしているフリンジ。

そして何より奇妙なのは、奇妙な生地のベストの下に、見慣れたデニムがくっつけられている。

よくよく見ると、どうやらLevi's 501デニムパンツの股上部分のようである。
「USA製にこだわりました!」
というデザイナーは置いておいて、一体何でこんなことになってしまったのかは聞くのもおかしな気がしたので口には出さずにおいた。

ていうか、ベストの着丈に対してデニムがはみ出る形でくっついているので、後ろから見てポケットの袋布が丸見えである。
え、ていうか、ポケット使えんの?

もちろん(?)使える


裏地はコットン100%のハリのあるドライなタッチ。
表地と裏地で器用にデニムのウェスト部分を固定してあり、境目はシームレスな見た目になっている。いや、視覚的には全然シームレスじゃないせいで、縫製上はものすごくシームレスに見える作りになっているのがなんのための努力かもはやわからない。
なんなら、控えた裏地の分量が多いためか、ベスト全体に妙なボリューム感がある。

共地のパンツと合わせてカッコつけてきても、やはり違和感まみれである。

ていうか、ウェストのボタンも使えるんだね、キミ。

ただ、こうして着てみるとデニムショーツを合わせてる人にも見えてこないでもないし、生地と生地の間に全く別の生地が挟まるせいで一度印象がリセットされるというか、上下が分断されたような感じがして面白い。
というか、奇妙だけれど案外合わせやすい不思議な色味のウール地と、くっついたデニムの相性は抜群にいいし、そもそもデニム自体は馴染み深い素材なせいか案外と合わせる服に困らない気がしてきた。

広めのアームホール、広い身幅、
奇妙な生地、珍妙な仕様。

何の上から着てもいいし、意外と合わせやすい色味のせいでお手軽に化学反応を引き起こせる一着なのかもしれない。

というか、うん、だんだん、かっこいいな、これ。
フリンジとか、切り取られたデニムのランダムな色味とか。

難しく考えないで、一度でいいから、着てみてください。


SADE



菊池健斗



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