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CLASS Pool by CLASS-CCCA13UNI "RETRO BORDER" - 憧れの作りかた
「あのデザイナーのあのインタビューの写真が忘れられないんだよね」
とか
「セルジュ・ゲンズブールがバーキンと居る時のあの一枚が強烈にカッコよくてさ」
みたいな、
「憧れの瞬間」
を切り取って脳内で保管していることが、僕はよくある。
何も有名人やデザイナーの写真でなくても、なんでもない知人や先輩がタバコに火をつけた一瞬が脳裏に焼き付いて、どうしてもその時のコーディネートや立ち振る舞いや、果ては言葉遣いまで真似てしまうことが今でもある。最近はないな…もっと外に出て色々見ないとね…
ただ、そういう"衝撃"を覚える対象は、大なり小なり(少なくとも僕目線からみて)とても「ファッションしている」ことは共通して言える。
「ファッションしている」「楽しんでいる」あるいは「生業としている」人の利点というか、特徴は、そういった衝撃を人に与えてることができるところだろう。
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この、一見なんの変哲もないバスクシャツも、そうした衝撃から生まれた一着なんじゃないかと思う。
展示会で「フィービー・ファイロが着ていたバスクシャツをイメージして作った」と伝えられた一着。
色はアイボリー/ブラックだが、アイボリーは日に焼けた白のようだし、ブラックは褪色した、グレーがかった黒。
確かにレトロな感じがする。生地も12%混ぜられたシルクのネップ感が、着古された一着を想像させる。ついでに着心地も、もう何年も時を共にしているかのように柔らかくて温もりのある肌あたり。
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だが、そのままではただの「古着っぽいバスクシャツ」
無論、CLASSがそんな単純なものを作る訳が無い。
注目されたのは、「歪み」
脇で柄が合わず、生地全体が向かって右上に微妙に斜行している。
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右腕を上げているからではなく、斜行するバスクシャツ。
着てみて自然な姿勢を取ると、肩線の位置もずれ、右袖が左袖より少し短く見える。
当時の、量産が間に合わなかったせいで生地を寝かせる工程を怠り、その結果、織り上げた後に生地が歪んだバスクシャツをイメージしたこの一着。
「おそらく、彼女はわざとそれを着ていたんじゃないかと思うんですよね。その目の付け所がかっこいいなと思って」
逆にそれを着ている写真を見て、そこに目をつける方がすごいって。
膨大な知識量に裏打ちされた視点かもしれないし、
ファッションに真摯で、純粋に楽しんでいるからこその視点かもしれない。
兎角、そんな着想で作られたこの一着が、カッコよくならないわけがないのである。
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CLASSの今シーズンのテーマは
「FASHION IS FAHION」
明確な文章は提示されず、ついでに言うなら商品名もつけられていない。
伝える側、受け取る側、その双方に
「いかにファッションするか」
が委ねられている。
憧れというものは、形作られるのは偶然で突然のように思えるが、
その実、自分の経験や知識からやってきて、ヴィジュアルを通して結実するものなんじゃなかろうか。
何よりも、自分がファッションを楽しんで、自分よりファッションを楽しんでいる人に出会うこと。
知らない感覚を知ること。
それが多分、憧れの作りかた。
菊池健斗
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