男と女2
昔から稲垣潤一の曲が好きだった。今でもジムでクロストレーナーに乗る時には「男と女」シリーズはよく聞いている。
声も良いが、曲のストーリーに登場する男の不器用さに共感してしまうからかもしれない。
そのアルバム曲はほぼ男女のハーモニーだが、上手く構成されている。若き日の自分が憧れた世界観を歌う曲もある。
↑はお勧めの一曲
実際、ワシは色恋沙汰とはかなり縁遠い。幼い頃から女性にどう接すればいいかに疎くて、思春期と言われる時期には相当な苦渋を舐めた。
中学生の時に初めて好きになった子には想いを伝えたはいいけれど、その後に返事さえ聞き出せないままだった。多分討ち死にしていたと思うが、死んだ自覚はなかった最も哀れなパターン。
高校一年生でクラスメイトだった子は、本当に良い子だった。学業は優秀、バスケ部では早くにレギュラー、それでいて自分を誇示することがなかった。彼女は両親が早くに離婚して母子家庭だった。彼女は5人兄妹の真ん中。たぶん苦労はした筈なのに、それ言い訳にした言葉はなかった。
この子には心底惚れた。同じ人に3回も想いを伝えて撃沈したのは後にも先にもこれだけ。彼女は現役で国立大学に進学して、バイト先の学習塾経営者に見初められて早々20歳で結婚したらしい。確か22歳で子どもを授かったと聞いた。もう会うこともないだろうけど、元気に良い人生を歩んでほしいと心から願う人。
「彼女」が欲しくても、気に入った女性と上手く話せない極端なビビリ…こんな時代があった。いやいや過去形ではなく未だに基本的に女性と話すのは苦手である。特に気に入ってしまった女性にはアガってしまって、何をどう話せば良いかが分からなくなる。
結婚して子どもを授かり、家庭を持って20年以上も経つのは今から思えば奇跡に近い。妻が何を思ってワシと結婚したのか未だに分からないが、知っても仕方がないので、良い風に言ってくれそうなワシが死ぬ間際に聞くことにしよう。
歳を重ねていくと、自分の本当の女性の好みが分かってくる…いや正確に言えば、好みが変わってくるのかもしれない。
今の好みは、見た目も美しいけれど、心の立ち振る舞いが見た目以上の方。普段は感情よりも理性が優る方かな。そして自分を生かして一所懸命に生きている人。そういう人は内面から美しさが滲み出る。そして勝手に応援したくなる。
若い頃は下半身の躾が行き届かなかったからか、好きになった女性に、いかに身体を許して貰うかは外せないテーマだった。抱ければ何でもいい…ではないけれど、そこまで純なプラトニック志向だったと言えば嘘になる。
今でも男としては現役なので、僅かながら湧き出る欲はある。でも、そういう行為だけで満たされる訳ではない。上手くは言えないけれど、目で見える裸以上に心の裸を見たい…そういうことだろうか。
ただ、心の裸を見たところで、自分の思い通りになる訳でもない。格好つけた言い方をすれば、その人の心に自分という存在を刻めたという刹那な満足感かもしれない。
カマキリを見れば分かる。交尾をした後にオスは喰われてメスの栄養になる。人だから喰われこそしないが、自然が遺した摂理はそう変わらない。違う形で遺っただけのことだろう。
生き物として生き抜く力は女性が優れていると実感する。平均寿命を見ればすでに明白だけど。
そんなことは分かっている。でも、いつまでもキレイな女性に興味を持てる愚かなジジイでいたいものだ。