秘すれば花
「どんなヤツでも一つくらいは人に言えない秘密を持っているのさ…」
ワシの神様の一人、佐野元春の「彼女はデリケート」の歌い出しである。
本当にその通り。多分誰にでもあるのではないだろうか。
墓場まで持って行くつもりのものをワシも持っている。例外なく誰にも言わない。
秘密の共有は人との距離を縮める常套手段である。
ただ「ここだけの話」が実際にここだけに留まる例はおそらく少ない。他人の秘事は蜜の味だからだろう。
本当に墓場まで持っていきたい秘密ならばどんな親しい人や信用できる人でも話さないに限る。もちろん家族も含めて。
何故わざわざ秘密を人に話したがるのか、分からないけど、それは心の持久力の問題なのかなと。
秘密を自身の中に保存しておくのは案外大変ではないか。話したがるのは自身でありそれは心が呼吸をしたいからではないかなと思う。
手っ取り早いのは秘密であることを自身がさっさと忘れてしまうことだろうか。忘れるくらいなら、まずは大した話でもない。
要は「覚悟」の仕方なのだ。
人様に言えないなら、力まずに淡々と黙っていれば、自分だけの花畑の棺桶で最期を迎えられる。