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明治神宮の森にて100年先、1000年先を思う

初詣では日本一の参拝者を誇る明治神宮。
境内は広大な森の中にあります。

実はこの明治神宮の森、わずか100年ほど前まではただの荒地です。
つまり人工的に作られた森なのです。

明治天皇が崩御された後、神宮を建設しようという機運が高まりを受けて造営が決まり、現在の場所が選ばれたのですが、荒地だったため鎮守の森を作る必要があったわけです。

はるか昔、ここは広葉樹の原生林が広がっていました。鎮守の森には杉が合っているという意見もあったようですが、この事業を任された林学博士の本多静六、本郷高徳、上原敬二らはかつての広葉樹の森を目指しました。

そこには、この先数百年、数千年と循環を繰り返して続いていく永遠の森を作るべきという強い信念がありました。そのためにはかつての広葉樹の森でなくてはならなかったのです。

1915年、全国から10万本もの原木が集められ植林が始まりました。

初めに針葉樹と広葉樹を半分づつ。大きな針葉樹の間に小さな広葉樹を植えています。
やせた荒地に針葉樹で森の基礎を作り、あとは放っておく。
そして50年、100年と経つにつれ、広葉樹が大きくなり、針葉樹が消えて、150年後に広葉樹の森が出来上がるという計画でした。

今年はちょうど100年目です。明治神宮の森を訪れると、ここが人工の森だとは思えないほど、自然豊かな森です。

本多先生たちは完成を見ることはありませんでしたが、長い年月をかけて完成に至ったこの事業。自然の力はもちろん、本多先生たちの後を引き継いだ多くの方達の取り組みの結果です。

私たちが今こうして生きていられるのも、本多先生たちのように後の世の人の役にたつ仕事がしたいという思いをもった先人達のおかげです。

現代は結果がすぐに求められる時代です。ビジネスのおいても、どうしても目先のこと、早く結果を出すことに意識が行きがちですが、このように100年後、1000年後の先を考えることも大切なことではないか、明治神宮を訪れてそう思いました。

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