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大房岬自然公園の戦争遺跡をInsta360とGaussian Splattingで3D化してみる

大房(たいぶさ)岬自然公園は千葉県南房総市富浦町多田良にある、美しい海と森の両方を楽しむことができる魅力あふれる公園です。
また、江戸時代から軍事的に重要な防衛拠点となっていたそうで、砲台や旧日本軍の構築した要塞の跡など歴史的な建造物の痕跡が多く残されています。

今回、主に戦争遺跡を3D化するという目的で大房岬自然公園を訪問し、360度カメラで撮影を行ってきました。


第一探照灯掩灯所

ビジターセンターのすぐ横に倉庫のような建物があります。しっかりとした作りですが、かなり年季が入ってそうです。マップには載っていないのですが、こちらは防衛拠点で使用していたサーチライトを格納するための「第一探照灯掩灯所」という要塞の設備だったようです。
 かつて存在してたであろう扉の枠や何かを吊るためのフックが残されています。
また、今ではアスファルトで舗装されていますが、当時はレールが敷かれていて、格納しているサーチライトを台車のようなものに載せて、サーチライトを設置する照座(しょうざ)までレールを使って運ぶことができるようになっていたそうです。

第二探照灯掩灯所

ビジターセンターから東へ第一キャンプ情報方面に歩いていくと同じようなコンクリートの建物の入り口があります。これは第一探照灯掩灯所と同様にサーチライトを格納するための倉庫で「第二探照灯掩灯所」という施設とのことです。第一探照灯掩灯所よりも建物が大きく、中に入ってみることができます。床も壁もしっかりとした作りで状態も良く、丁寧に管理されているのがわかります。
第二探照灯掩灯所の前には中庭のようなものがあって、中庭を挟んでトンネルの入り口のようなものがあります。このトンネルの奥にサーチライトを設置するための探照灯照座があり、倉庫から照座までまっすぐ運べるようになっているそうです。

第二探照灯照座

 トンネルの奥に明るい空間が見えます。そこまで歩いてみると、明るい空間は地上まで四角い穴が開いていて、外の光が差し込んでいることがわかります。床の高さも変わっていて1.5mくらい高さの穴のようになっており、水が溜まっています。穴を挟んで反対側にくぼみのようなスペースがあって、そこは床の高さが通路側と同じになっています。
 一見すると軍事施設だったとは全くわかりません。まるで神聖な古代遺跡のような不思議な空間になっています。反対側のスペースにあるコンクリートの台のようなもの何かの祭壇のようにも見えます。
 実はこの探照灯照座はエレベーターのような装置を使用して、地下から地上にサーチライトを引き上げるような仕組みになっていたそうです。床の穴や壁にある溝のようなものはエレベーターのような装置や配線を設置するための構造なのでしょうか。このように、防衛拠点の設備は徹底して上空から見ても発見しづらいようになっていました。

大房岬第二展望台

 第二探照灯掩灯所から北へ第一キャンプ場方面へ歩くと大房岬第二展望台があります。ここは特に戦跡というわけではないのですが、青い海が眼下に広がり本当に景色のいい場所です。右手には増間島が見えます。そんな絶景も、完璧にとはいきませんがGaussian Splattingで再現できます。

洞穴近くの海岸の倒木(流木?)

 第二展望台から海岸へ降りれる道があります。この道は階段になっているのですが、かなり急なので気を付けながら進まなければなりません。海岸に出ると岩場になっていて、昔は石を岸壁から削り出す「石切場」という場所だったのだそうです。海岸に降りて改めて海を見るととてもきれいで、今まで見た海の中でも透明度がとても高いように感じます(波も穏やかで天気も良かったせいでしょうか)。歩き回ってみると、大きな流木(倒木?)がありました。長い時間海水に洗われて白くなった流木はまるで大きな獣の骨のようです。思わず撮影してしまいました。

大房岬第一展望台

 元来た道を引き返して再び第二展望台まで戻ります。勾配が急で高さがあるので、そんなに急いで歩いたわけではないのにものすごい量の汗をかいてかなり息が切れました(スマートウォッチによると心拍数は130まであがっていました。)。
 第一展望台は第二展望台から北東にある運動園地という芝生のフィールドの中にあります。運動園地は芝がきれいに刈られていて、手入れが行き届いている印象でした。犬を連れた親子や、レクリエーションを行っている子供会か何かの団体がいて、平和で穏やかな土曜日の昼下がりの時間がゆっくりと流れていました。都会のような混雑や喧騒が一切入り込まない自然の中の公園というのはこんなに気持ちの良い空間だったのだという事を改めて実感しました。
 第二展望台は幸いにも人がいなかったので、しばらくInsta360で撮影することができました。

終わりに

 今回公園内の6か所をGaussian Splattingでデータ化しました。大房岬自然公園にはほかにもたくさんの戦争遺跡や見どころとなる施設があります。首都高の渋滞で公園への到着が遅れてしまったのと園内のイベントで撮影できない箇所があり、すべては撮りきれませんでした。特攻兵器「回天」の発射基地の海岸や、弁財天洞窟、弾薬庫跡など、データ化してみたいものがまだまだありますので、また機会があればキャンプをしながらじっくりと撮影してみたいと思います。子供から大人まで美しい自然と歴史を楽しめる素晴らしい公園でした。皆さんも是非訪れてみてください。

弁財天洞窟付近の海岸。奥の島が増間島?

謝辞

撮影およびデータ公開については大房岬自然公園(指定管理者: NPO法人 千葉自然学校 様)へ事前に連絡し、許可をいただきました。快諾していただき、ありがとうございました。

また、大房岬自然公園の戦争遺跡について、以下のウェブサイトの情報を参考にさせていただきました。感謝申し上げます。


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