スーザン~物語を聞かせてよ 002
○同・外・朝
八讃がドアを少し開け、外を覗き見る。
八讃「やっぱり、いないよな~。ていうか、早く支度して、出かけないと。
(ドアを閉める)」
○高速で
夜になる。
○八讃のアパート・外・夜
八讃が、コンビニの袋を持って帰って来る。
八讃「(立ち止まり)今夜は来てないかぁ。会いたかったなぁ」
そう言って、部屋のドアを開け、入って行く。
と、ドアを少し開け、顔を出し、
八讃「スーザン、おやすみ~。(ドアを閉める)」
○八讃の部屋・ワンルーム・内
八讃が、ベッドに寝ている。
と、スーザンが現れる。
声(スーザン)「ハッサン。ハッサン」
何度か呼ばれ、八讃が目を覚ます。
八讃「(スーザンに気づき起き上がる)あれ、スーザン。来たんだね。(嬉
しそうに笑う)」
と、スーザンがキラキラと輝き出し、美しい人間の女性へと変化す
る。
八讃、驚き、声も出ない。
スーザン「こんばんは、ハッサン」
八讃「ス、ス、スーザンなのかい? ど、どうして?」
スーザン「あなたが、私に会いたがっていたから」
八讃「そうだけど、それは、猫のスーザンになんだけど。まさか、人間にな
るなんて! しかも、こんな美人に!」
スーザン「この姿は、ご不満なの? じゃあ、もう会いに来ない!」
八讃「いや、待てよ! 驚いてるだ! 戸惑ってるんだよ!」
スーザン「ねぇ、私と何がしたいの?」
八讃「え? あ、え~と~、そうだ。話がしたいな」
スーザン「それだけ?」
八讃「これは、夢だよね? だったら、空を飛んで、色々な所へ行きたい
な!」
スーザン「デートってことね」
八讃「まぁ、そうなるのかな…」
スーザン「今、ハッサンが言ったように、これは夢だから、ハッサンが思っ
たとおりのことが出来るのよ」
八讃「そっか、そうだよね。君は、どうして野良になったんだい?」
スーザン「そんなの聞いても無駄よ。あなたの夢の中なんだから、あなたが
思ったことが答えよ。そうでしょ?」
八讃「だよね。ていうか、ちゃんと会話が成立してるよね」
スーザン「そうね」
と、アラームが鳴る。
八讃「あ~、もう朝かぁ。ねぇスーザン、今夜も夢に出て来てくれよな!」
スーザン「それは、あなた次第です」
八讃「だよね。じゃあ、今夜また」
スーザンが消える。
と、八讃が目を開け、急いで玄関へ行き、ドアを開ける。
○同・外・朝
八讃が、少し開けたドアから顔を出す。
八讃「現実の猫のスーザンは、来てないかぁ…」
○同・全景
高速で、夜になる。
八讃が、コンビニの袋を持って帰って来る。
八讃「来てないかぁ…スーザン。よし、早く寝て、夢で会おう。今夜は、会
えるよね」
○同・部屋・内
八讃、ベッドに寝ている。
八讃「(顔の前で手を合わせ)夢で、スーザンに会えますように。おやすみ
なさい。(目を閉じる)」
と、カーテンから日の光が漏れて来る。
八讃「(目を開け)スーザン…夢にも出て来なかった…」
パッと起き上がり、玄関へ行き、ドアを開ける。
○同・外・朝
八讃が、少し開けたドアから顔を出す。
スーザンは、来ていない。
八讃「(ため息をつき)現実でも、また会えないのかぁ…。ていうか、なん
で猫がこんなに気になるんだろう? 変だよなぁ…」