「燃料切れ」
寂しいか寂しくないかで聞かれたから
私は寂しい人間なのかもしれない。
私には本気で好きになった人がいた。
その人とはもちろん身体の関係もあったし
沢山出掛けたり、旅行も行ったりした。
もちろん、彼は私の気持ちに気づいていた。
しかし、彼は私の気持ちには答えてはくれなかった。
私はそれでも良かった。
彼が傍にいてくれるだけで幸せだった。
お金の切れ目が縁の切れ目。
それを教えてくれたのも彼だった。
彼はだんだん私の事を抱くことすら無くなった。
身体すら求めてくれない彼。
私は幾度の夜を涙流しながら彼の隣で寝た事だろう。
それでも私は良かった。
私はそんな事よりも彼を失う方が何倍も怖かったのだ。
お金がかかろうが彼が求めてくれなくなろうが
私は彼を失うよりも全然怖くなかった。
彼との別れは突然だった。
しかし心のどこかでお互いがそれを気づいていた。
3年もの月日が経ったある日。
さよならは私からだった。
私の燃料切れだった。
彼と居たい気持ちと彼と居ると辛い気持ち。
最初は彼と居たい気持ちの方が大きかった。
いつの間にか気持ちが逆転してしまっていた。
とても私にとっては不思議な感情だった。
これ以上彼と居たら自分が壊れてしまう。
そう感じたのだった。
彼もきっとそれを気づいていた。
私の燃料は彼を燃やし尽くす程備えていなかった。
それからと言うもの1年が過ぎた。
彼とは連絡も取らなくなった。
噂に過ぎないが彼女が居るらしい。
私は燃料をまた溜めて新しい恋へと出発出来そうな気がしている。
おわり。
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