【馬券データ分析】「前走の脚質」を深掘りするパート2 2025
こんにちは。キラリです。
今回は「脚質」と「ペース」を使って回収率の高い馬を見つける方法をご紹介します。
脚質とペースの考え方
ペース予想は難しい
まずはじめに「脚質」と「ペース」を利用した一般的な競馬予想方法は以下のような考え方かと思います。
【一般的な予想方法】
出走メンバーとコース形状などから今走のペースを予想して、スローペースであれば終盤までスタミナが温存できるため「逃げ/先行」が有利。逆にハイペースであれば前に行った馬がバテる可能性が高いため「差し/追込」が有利。
実は、私はこの考え方を自分の予想ロジックに組み込もうとして、さんざん試行錯誤したのですが、結局、長期的に安定して回収率を上げられる条件を得ることができなかったという苦い思い出があります😅
その原因としては、
①今走で競走馬がどの脚質を使うかを予想する そこから
②今走のペースを予想する
という2段階の予想を行っているためです。
例えば、明確な逃げ馬がいるレースなどであれば、まだペースを予想しやすいと思うのですが
明確な逃げ馬がいないレースなども含めて、全てのレースを予想していくスタイルの場合、ペース予想を高確率で的中させるのは非常に難しいと考えています。
今走のペースを予想する場合、例えば出走メンバーの中に逃げそうな馬が何頭いるかを考えると思うのですが、前走逃げた馬が今走も逃げるとは限りません。
具体的にいいますと、前走や前々走の脚質から今走の脚質を予想すると以下のような確率になってきます。
例えば、前走と前々走で逃げた馬が今走逃げる確率ですら42.5%しかなく、競走馬が今走でどの脚質を使うのかを予想するだけでもかなり難しいといえます。
16頭立のレースであれば、そのような不確定な要素16個を使って今走のペースを予想することになり、予想を高確率で的中させるのはかなり困難であると考えています。
仮説を立てる
ここから思考を逆回転させて、今走の予想をするのではなく、前走の結果から強い馬を探せないか考えていきます。
考え方としてはシンプルで、上の【一般的な予想方法】をひっくり返して次のような仮説をたてていきます。
【仮説】
「前走ハイペースという不利な環境で逃げ/先行脚質を使った馬」や「前走スローペースという不利な環境で差し/追込脚質を使った馬」は過小評価されている(=回収率が高い)のではないか。
今回はこの仮説について、データ分析を行って確認していきます。
前提
分析対象データ
今回使うデータは、2015年以降の中央競馬で障害競走と新馬戦を除いた全レースを対象に分析をおこなっていきます。(約10年分)
(データ詳細)
期間:2015/1/1~2024/12/22
今走または前走が障害競走のデータ:除く
新馬戦:除く
デビュー戦:除く
今走 出走取消/競走除外:除く
前走 出走取消/競走除外/競走中止:除く
脚質の定義
この記事内では、以下のような7種類に脚質が分類されていると考えていただければと思います。
※ただし、「マクリ」はデータ数が少ないため、最も脚質が似ている「追込」と同じグループに含めて分析していきます。
ペースの定義
私の場合、レース全体のペースを見るときは、主に逃げ馬の「上がり3ハロン地点までのタイム」と「上がり3ハロンタイム」を比較して算出した数値を使っています。
50を中央値として、スローペースであるほど大きな値になり、逆にハイペースであるほど小さな値になります。
(※必ずしもこの指標を見る必要はなく、通過タイムなど別のペース指標を参照してもまったく問題ないと思います。)
今回は次のようにペースを定義して分析していきます。
約10年分データの分析
ハイペース
前走ハイペースのデータに絞って、前走脚質ごとの単複回収率を集計した結果が下の表です。
ここで、前走マクリのデータ数が少なく、このような状態だと前走脚質によって結果の信頼度にバラツキが出てしまうため、「マクリ」のデータは最も脚質が似ている「追込」と同じグループに含めて再集計を行います。
結果を確認しますと、逃げ/先行馬については、仮説通り非常に強い数字が出ています。(赤枠)
また、私は複勝回収率のほうを重視するのですが、前走「後方」だった馬が非常に弱い数値となっていることが目につきます。(青枠)
これは、「後方」に分類される馬というのはスタートからゴールまでずっと最後方を追走していた馬であり、「ハイペースという有利な環境ですらペースについていくだけで精一杯だった非常に弱い馬」だからだと考えられます。
こういった馬の評価を下げることも、トータルの回収率を上げるためには有効だと思います。
スローペース
前走スローペースのデータに絞って、前走脚質ごとの単複回収率を集計した結果が下の表です。
こちらも同様に、「マクリ」のデータは最も脚質が似ている「追込」と同じグループに含めて再集計を行います。
こちらの結果も、仮説通り前走「差し」「追込/マクリ」だった馬が非常に強い数値を示しています。(赤枠)
また、「中団」や「後方」の馬というのは上位入線できなかった馬ですので、「差し」や「追込」に比べると1段弱い数値が出ていることにも納得できます。(青枠)
ミドルペース
ミドルペースの結果については、今回の仮説の確認には適さないため、結果の掲載のみとさせていただきます。
5年分の年別データ分析
次に、年別に単複回収率を集計することで仮説の信頼度をさらに確認していきます。
前走ハイペースで逃げ/先行
「前走ハイペースで逃げ/先行脚質だった馬」と「上記以外」にグループ分けして年別に単複回収率を集計した結果が下の表です。
結果を見ますと、2020年と2022年の単勝回収率では傾向が逆転しています。(赤枠)
ただし、単勝回収率は比較的確率収束が遅いため、私はこの程度のブレであれば一時的な下振れだと考えて、「前走ハイペースで逃げ/先行の馬は回収率が高い」という傾向は、長期的に信頼できる傾向だと判断します。
上で立てた仮説に対して数字的にも一定の裏付けがとれたと言えます。
前走スローペースで差し/追込/マクリ
「前走スローペースで差し/追込/マクリ脚質だった馬」と「上記以外」にグループ分けして年別に単複回収率を集計した結果が下の表です。
結果を見ますと、2020年の単勝回収率と複勝回収率だけ結果が逆転しています。(赤枠)
ただしこれについても、年別で見ると「前走スローペースで差し/追込/マクリ」のデータ数はそれほど多くないため、一時的に下振れしただけだと判断して、やはり仮説の信頼度はかなり高いと判断します。
結論
結論をまとめますと
・前走「ハイペース」という不利な環境で逃げ/先行脚質を使った馬は回収率が高い
・前走「スローペース」という不利な環境で差し/追込/マクリ脚質を使った馬は回収率が高い
となります。分析は以上です。
競馬予想への適用
今回は私が使っている競走馬の評価条件をもとにペースの定義を行いましたが、どこからどこまでをスローペースとするかハイペースとするかについては、特に明確な基準はありません。
目安として、今回使用したペース基準を全体の割合で見てみますと下の表ようになります。
赤枠の割合を目安に、使用されているペース指標をもとに「前走ハイペースで逃げ/先行だった馬」と「前走スローペースで差し/追込/マクリだった馬」を探して、それらの馬の評価を上げていただくことで数%程度の回収率改善が期待できると考えています。
雑談
最期にもう一つ私の抱えている課題をご紹介します。
「脚質」を使用した一般的な予想方法は他にもありまして
【一般的な予想方法2】
開幕週の馬場は荒れていないため、芝のレースでは前に行った馬が止まりにくく、逃げ/先行決着となりやすい。
逆に馬場が荒れてくると、外差しが決まりやすい。
という考え方です。
実際にレース映像を見ると、確かに上記のような傾向が目の前で発生するため、これを何とか自分の予想ロジックに組み込めないかと試行錯誤したのですが
馬場の荒れ具合を数値的に判断する基準が開催日数くらいしかなく
しかも競馬場の芝というのは開催場所によって種類が異なっていて、芝の固さが異なりますし、芝が伸びきっている夏と伸びきっていない冬とでは荒れやすさも異なります。
さらには、エアレーションが・・・みたいな話まで出てくると
開催日数だけで馬場の荒れ具合を判断するのはやはり現実的ではないと考えて、最終的には上記の考え方を組み込むのを取りやめました😅
私は客観的な数字で裏付けがとれないファクターを使用しないようにしているためです。
目で見れば明らかに分かるようなことが予想に組み込めないというのは非常に残念なところだと思います。
馬場の荒れ具合を数値的に判断する方法を目下開発しているところです😆
以上です。
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