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【馬券データ分析】「前走の脚質」を深掘りするパート1 2025

こんにちは。キラリです。

今回は、「前走の脚質」について回収率の観点で深掘りしていきたいと思います。

なお「脚質」というテーマは扱いが難しく、一気に深掘りしすぎると長文になってしまうためパート1としております。


結論

この記事の結論は次のとおりです。

・芝レースでは前走先行だった馬の回収率が最も高く、前走後方だった馬の回収率が最も低い

・ダートレースでは前走差しだった馬の回収率が最も高く、前走後方だった馬の回収率が最も低い

前提

「脚質」を扱いづらい理由

まずは「脚質」というテーマを扱いづらい理由から説明します。

理由は大きく分けて2つあります。

【理由1】
脚質には世界共通の定義というものはなく、情報の提供元によって定義が異なる

そのため、まずはこの記事内で脚質をどのように定義しているかを説明していくのですが、見ている情報元によっては必ずしも同じ分類にならない可能性があります。

【理由2】
「道中のポジション」のことを言っているのか「決め手」のことを言っているのかで呼び方が異なる

「道中のポジション」だけを分類する場合は

逃げ/先行/中団/後方/マクリ

の5種類に分かれるケースが多いのですが、「決め手」まで見て分類する場合は

逃げ/先行/中団/差し/後方/追込/マクリ

という7種類に分類されます。

例えば「差し」というのは、道中は「中団」に位置していた馬がレース終盤に加速して上位入線した場合に、「差し」という決め手(ワザ)を使ったものと判定され、差し馬に分類されます。

これは、実際にこの記事内での脚質の定義を見ていただいたほうが話が早いと思います。

脚質の定義

この記事内では、おおむね以下のように脚質(決め手)が判定されていると考えていただければと思います。

ややこしい話で申し訳ありません。ただ、「脚質」というファクターを予想に組み込む場合は「道中のポジション」だけでなく、見れる方は「決め手」まで見ていただいたほうがより正確に競走馬を評価できると思います。

今回の記事では「決め手」まで考慮した7種類の脚質を使って分析していきます。


分析の観点

次に、何かしらの仮説を立てることで分析の観点を明確にしていきます。

そうしないと「データをどのように分割またはグルーピングして分析を進めていくのか」という方向性や「結果の評価基準」が分からなくなるためです。

今回はパート1なので、ペースなどの条件は考慮せず、以下のシンプルな仮説が正しいかを確認していきます。

【仮説】
道中を中団や後方ポジションで進んだ馬は、最終直線で他馬にブロックされて抜け出せない可能性が高まるため、逃げ/先行馬より不利である。
特にダート戦では、中団以降にいる馬は前方にいる馬の蹴り上げた砂をかぶってしまうためさらに不利になる。

これを「競走馬は前走と今走で同じような脚質をつかうであろう」という前提のもと回収率の観点でどのくらい差が出るのか見ていきたいと思います。


傾向分析

分析対象データ

今回使うデータは、2015年以降の中央競馬で障害レースと新馬戦を除いた全レースを対象に分析をおこなっていきます。(約10年分)

(データ詳細)
期間:2015/1/1~2024/12/22
今走または前走が障害競走のデータ:除く
新馬戦:除く
デビュー戦:除く
今走 出走取消/競走除外:除く
前走 出走取消/競走除外/競走中止:除く

約10年分のデータ確認

下の表は、上記の約10年分のデータを芝とダートに分けて前走脚質ごとに単複回収率を集計したものです。

ここですぐに気になるのが、「マクリ」のデータ数が他と比べて非常に少ないことです。(赤枠)

このような状態ですと、脚質によって集計結果の数字の信頼度にバラツキが出てしまうため、最も脚質が似ている「追込」と同じグループに含めて分析を進めます。

芝の結果確認

まずは芝の結果から確認していきます。

結果の回収率を見ますと、前走「先行」の馬が単勝回収率でも複勝回収率でも最も高く、「後方」の馬が最も回収率が低い結果となっており、それ以外の脚質の馬はおおむね同じくらいの回収率になっていると解釈できます。

上で立てた「仮説」と比較すると、先行馬の回収率が高いのは想定通りで、逃げ馬の回収率が想定より低くなっています。

この理由としては、前走逃げた馬というのは頭数が少ないため、今走でスローペース展開になると予想する競馬ファンから極端に人気を集めやすいためだと考えられます。

また、前走「後方」だった馬の回収率が低い理由としては、「後方」に分類される馬というのは、スタートからゴールまでずっと最後方を追走してきた馬で、「ペースについていくだけで精いっぱいだった弱い馬」だからだと考えられます。

グルーピングを進めて再集計

上記の結果をさらに、「先行」「先行/後方以外」「後方」の3つのグループに分割しなおして再集計した結果が下の表です。

芝レースの場合は前走「先行」だった馬の回収率が最も高く、「後方」だった馬の回収率が最も低い結果となっています。

5年分の年別集計結果の確認

次に、同じ条件で年別に回収率を集計した結果が下の表になります。

結果を見ますと、確率収束の早い複勝回収率で、ほぼ毎年同じような傾向が出ているため、「芝レースでは、前走先行だった馬が最も回収率が高く、前走後方だった馬が最も回収率が低い」という傾向は信頼できる傾向だと判断します。(赤枠)

単勝回収率は確率収束が遅く、3分割したデータを年別で見るとブレが大きくなりますので補助的に見ていただければと思います。

ダートの結果確認

次にダートの結果を確認していきます。

最初に立てた仮説(ダートは芝以上に逃げ/先行馬が有利)と比較しながら結果を見ますと、私は以下のように解釈していきます。

①前走「逃げ/先行」だった馬は想定より回収率が低い

 →理由としては、「ダートは芝以上に逃げ/先行馬が有利」という情報はあまりにも有名なので、優位性がすでにオッズに反映されてしまっている(人気になりすぎている)ためだと考えられます。

②前走「差し」だった馬の回収率が単複1位で想定より高い

 →理由としては、「ダートは芝以上に逃げ/先行馬が有利」だと多くの人が考えており、逃げ/先行馬に人気が集まりやすいため、逆に、中団以降の馬のオッズが高くなり、上位入線する実力を持っている「差し/追込」の回収率が押し上げられたためだと考えられます。

③前走「後方」だった馬の回収率が複勝最下位で低い

 →理由としては、「後方」に分類される馬というのは、スタートからゴールまでずっと最後方を追走してきた馬で、「ペースについていくだけで精いっぱいだった弱い馬」だからだと考えられます。(芝と同じ)


グルーピングを進めて再集計

上記の結果から、ダートでは前走「差し」「差し/後方以外」「後方」の3つのグループに分割しなおして再集計した結果が下の表です。

ダートレースの場合は前走「差し」だった馬の回収率が最も高く、「後方」だった馬の回収率が最も低い結果となっています。

5年分の年別集計結果の確認

次に、同じ条件で年別に回収率を集計した結果が下の表になります。

結果を見ますと、確率収束の早い複勝回収率で、毎年同じ傾向が出ているため、「ダートレースでは、前走差しだった馬が最も回収率が高く、前走後方だった馬が最も回収率が低い」という傾向は信頼できる傾向だと判断します。(赤枠)

結論

結論をまとめますと、

・芝レースでは前走先行だった馬の回収率が最も高く、前走後方だった馬の回収率が最も低い

・ダートレースでは前走差しだった馬の回収率が最も高く、前走後方だった馬の回収率が最も低い

となります。

最後に

今回の結論は、昨年書いた記事【馬券データ分析】「前走の脚質」を深掘りするパート1とは結果が異なります。

実際に私も、今回の分析によって競走馬の評価基準を変更しています。

毎年データを見ていると、今回のように分析結果も変わるので、環境(=馬券を買う人の考え方)の変化に合わせて評価基準も修正するようにしています。

以上となります。
読んでいただいた方ありがとうございました。

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