ケヤキ
生まれてからずっと、隣の神社に大きな欅の樹がありました。
小学生の頃はこれに登ったりもしていました。大人はそれを叱ることなく、どの枝にどう足をかけて登るといい・・・など、登り方を教授してくれるお兄さんもいました。そして、必ず、これ以上は登ってはいけない枝や、折れる可能性のある枝の見分け方なども合わせて指導されました。
ケヤキの葉はごせいし(茎の一つの節に1枚ずつ違う方向に付くこと)、全体的な葉の形はいわゆる、葉っぱの絵を描く時に多くの人が描くような形で、縁に鋸のようなギザギザがあるのが特徴です。
雌雄同株しゆうどうしゅ・雌雄異花しゆういかです。花といっても気にしてみたことがある人はあまり多くはないと思いますが、花期は4 ~ 5月頃で、葉が出る前に薄い黄緑色の花が咲きます。
本年枝(一年枝)と呼ばれる若い枝花の下部に雄花が数個、上部の葉腋に1~3個の雌花がつきます。花が終わると長枝が伸びて、本葉が出ます。ケヤキの種蒔きについて書いたきらら舎のノートに写真をはってあるので興味のある方はご覧ください。
https://kirara-sha.com/id3/zelkova-serrata/
ちょうど今頃の季節(最高気温が20度に届かず、最低気温は12~13度といった頃)、葉が色づき、落葉が始まります。イチョウのように、どれも黄色く紅葉する樹木とは異なり、樹によって色が違います。大きくわけると赤色系と黄色系に分かれます。
細かく観察すると、オレンジ色もあります。この色は遺伝的に強く支配されていて、紅葉が赤いケヤキは毎年赤く紅葉し、黄色いケヤキは毎年黄色く紅葉すると「独立行政法人 森林総合研究所 材木育種センター」の情報誌に書かれていました。
しかし、きらら舎の前にある神社のケヤキの紅葉は1色ではないのです。樹の天頂のほうと下の枝で色が異なります。
近い場所にある紅葉の色が異なるケヤキ同士で受粉してできた種はどっちのDNAを持っているのでしょうか・・・・・。本で読んだ情報だけでは解決しないことはたくさんありますね。
話を戻します。
ケヤキの落葉がめだってきたら、種を拾いにでかけます。親樹がはっきりしている場合は紅葉した葉も持ち帰ると、拾った種の紅葉が赤色系なのか黄色系なのかわかります。前述の神社のケヤキのようなものだと難しいし、公園や街路樹など、数本が近くに植えられていることも多いので、紅葉の色は後からのお楽しみということになります。
果実は痩果(そうか:果皮が堅い膜質で、熟すと乾燥し、一室に1個の種子をもつもの)で、小枝についた葉が翼となって、果実がついたまま小枝ごと木から離れ、風に乗って遠く運ばれます。
じっくり探すと、赤や黄色の葉に混じって、完全に枯れてしまった色をした、前述の着果短枝の部分が落ちています。目印は枝が付いていることと、その枝に複数の枯れた葉が付いていることです。
この種を蒔きます。
発芽するためには、一定期間の低温を経験させる必要があります。こういう種類を「低温要求発芽種子」と呼びます。ただし、採取してすぐに取り播きすることで冬の間、寒さに晒せますので、取り播きが楽だと思います。温暖な地域では、春まで冷蔵保存して3月上旬~下旬頃に播種してください。冬の間、水やりが面倒(乾燥させないようにする)という場合も、春に播いてください。
播種する前には一晩水に漬け、沈んだものを播きます。浮いた種は虫が入っていて空洞ができていたり、成熟不良なので播いても発芽は期待できません。
どんぐりは横にして播きますが、ケヤキはあまり気にしなくても大丈夫です。根は先の尖った部分から出ます。ケヤキの気持ちを考えると尖った部分を下にして埋めてあげるとよいと思います。
播種用の土は市販の挿し芽種蒔き用土が楽です。あとは乾燥しないように水やりをします。
発芽したら、盆栽に仕立てます。ケヤキは箒作りが有名です。その方法はまた春に!もちろん、素直に育ててベランダに雑木林を作るのも楽しいです。きらら舎では春から夏頃にミニ盆栽で、生きた植物のあるジオラマを作っています。
2024年12月14日
https://kirara-sha.com/calender/