見出し画像

スポーツ初心者がギアスポーツと向き合うために - ベイブレードX怪文書部


この文書について

はじめに

TCG界隈からまいりました、非電源ゲーム愛好家のキラと申します。
普段は同タカラトミーさんの「X」と名の付くTCGを遊んでいます。
ことわりとして筆者はスポーツ理論, 理学療法をはじめとした医学分野の知識を体系的に学び、修めた者ではありません。
そのため信ぴょう性の薄い記事にはなりますが、本文書はベイブレードXを遊ぶ上で「どんな身体的リスクがあるか」「その予防や対策はあるか」「体づくりの目標設定や、日々のプレイ上限などをどのように設定するか」といった疑問を解消する役に立てる情報を用意しています。
※まさに怪文書と呼ぶ他ありません。有識者の皆様からのご指摘をお待ちしております。

本文書は2023年7月発売の「ベイブレード」新シリーズ「ベイブレードX」が謳う『心技体すべてが必要な競技であり、自身が楽しむに留まらず観客をも魅了するGEAR SPORTS(ギアスポーツ)』としての側面に着目した際、そのスポーツ理論を記したアクセシブルな文書がWeb・リアル含め存在していないため、その需要を可視化する意図をもって作成するものです。
端的に言えば「ベイブレード 怪我 予防」等の検索ワードでWeb検索した際、目的の情報にアクセスできない現状に対して投じるささやかな一石であります。
願わくは本文書が有識者の目に留まり、より正確で質の良い情報が全ブレーダーからアクセスできる環境が生まれますように。

目的

スポーツと怪我は切っても切れない関係性があることはご存じの通りですが、ギアスポーツであるベイブレードXにおいてもそれは同様です。
ここで言う怪我とは、いわゆる玩具の危険使用からなる事故による怪我ではなく、スポーツ外傷, スポーツ障害の文脈での怪我であります。

危険使用の事例は過去シリーズでの消費者庁喚起がありますが、ベイブレードX公式が出している各種取り扱い説明の動画はそうした内容をふまえたものになっています。

しかしながら、上記取り扱い説明の動画はギアの正しい使用についての範囲に留まり、野球やサッカーなどのポピュラースポーツには当然存在しているいわゆる教則本的観点──怪我の予防や正しいトレーニング──の情報ではありません。玩具製品の取り扱い説明であるため当然であり、そんな情報を公式に求めるというのも妙な話でしょう。

ではなぜ、スポーツ的観点の情報が必要と考えたか。
それは、筆者自身がベイブレードXの競技シーンに参加してからの半年足らずで数多くの怪我を経験したからです。
爆転シリーズ時代からのベイブレード復帰者・ホビー愛好家の30代男性、そういったユーザ層にはこれまでの人生の中で本格的にスポーツに打ち込んだ経験のない人間というのが少なからず存在しているはずで、筆者自身もその一人であります。
そういった層(運動量的バックグラウンドが似た、性別や年齢は限定しない広範な層)が、運動を日常的に行っていないにもかかわらず備えなしにベイブレードXを競技としてプレイし続けると、予期せぬ怪我に繋がるケースがあります。勿論、そういった層以外の運動量の比較的多い生活を送っているプレーヤーにも共通して言えることではありますが、発生頻度や度合いが異なってくるのは明らかでしょう。

また、本文書はベイブレードXの危険性を指摘するものではありません。
ベイブレードXを正しくプレイした上で、事故ではなくスポーツ外傷としての怪我を被った場合、その責は当人にあります。
では何が悪かったのか、そしてその対策はなかったのか。この文書は筆者自身が経験してきた怪我を基にそれらを紐解いてゆくことで、少なからず存在するであろう「日頃の運動が不足している」ブレーダー達の選手生命が怪我によって損なわれる機会を減らすことを目的とします。



ギアスポーツにおける身体リスク

実際の競技スポーツでは往々にして、そのガイドラインや怪我の予防法が広く周知されています。
これらは選手達から採取された無数の実データを基に、スポーツ医学的観点も踏まえ有識者監修の下で作成されているものと考えられるため、プレイヤーのみならずスポーツ初学者にも非常に有益な資料となります。
先に紹介したベイブレードX取り扱い説明の動画では、正しいシュート(製品取り扱いの上で危険がない動作)説明が行われており、ここには医学的観点が含まれていないという点を正しく理解することが重要です。公式が説明する正しいシュートであっても「正しくない頻度や範囲で」行うことにより怪我が起こりえますが、これは公式の説明が不足しているからではありません。スポーツに対する理解度・意識が低いためであるからして、そこにベイブレードと直接的な関係はないのです。
日頃の運動量が不足していない若者であっても、スポーツをしていれば怪我をします。スポーツと縁のない生活を送ってきた人間にとっては見落としがちな事実です。
それを踏まえてここでは、ポピュラースポーツの中でもギアスポーツと運動動作が比較的近い野球を参考として洞察を深めていきましょう。


シュートと故障リスク

ベイブレードXのスポーツとしての動作はただひとつ。シュートのみです。
シュートは足腰背肩腕、全身の筋肉を広く使う運動です。
全身の筋肉を使用してワインダーやストリングを引く動作は、方向こそ違えど動作機序としては「投げる」に近いものがあります。当然、身体が受ける負荷もまた投げ動作に近く、考えなしに数を重ねてよいものではないでしょう。
あるいは全身の力など使わない、腕のみで完結するというケースもあるかもしれませんが、それも負担がないわけではなく、かえって負担がかかる場合もあることに注意が必要です。

投げる動作は、下半身⇒体幹⇒上半身の順に運動が連鎖し、下半身の力を指先に上手に伝えることで、強いボールを投げることができます。 しかし、いわゆる“手投げ”になったり、下半身の筋力や柔軟性が低下している場合は、力の伝達がうまくいかずに、結果として肩関節・肘関節に大きな負担がかかり障害が生じます。

公益財団法人スポーツ安全協会, 野球競技の特徴
https://www.sportsanzen.org/syogai_yobo/baseball/index.html

上記ページに記載がありますが、投球数の目安という概念があります。

現在のガイドラインでは学童(小学校高学年)は全力投球を1日70球以内、週300球以内とすることを規定しています。

公益財団法人スポーツ安全協会, 野球競技の特徴https://www.sportsanzen.org/syogai_yobo/baseball/index.html

これは、日本臨床スポーツ医学会の投球数に関する提言(1995)に基づいて策定された数であるとされています。高校生の場合、1日70, 週500が上限。
これを超えたトレーニングや試合は、故障のリスクを高めるという目安になります。硬式野球ボールを投球する動作とシュート動作、どちらの負担が重いかは人によって意見が分かれるかもしれませんが、全力で行えるシュートの回数としてある程度参考にできる数と考えられます。
そしてこれは「スポーツに取り組む健康な若者が故障するリスクのある回数」であるからして、自身の運動量を客観的に評価した上で、適切な運動量というものを知る必要があるわけです。
特に、小学生ブレーダーにおいては成長期特有の運動障害(野球であれば野球肘など)も存在するため、過度なトレーニングは禁物と言えます。


【実例】シュート回数による故障

筆者は今年正月に友人らと日がなベイブレードに明け暮れていましたが、高いSPを出すために全力のシュートを研究し日/1,000を超えるシュートを連日のように打っていたところ、首・肩炎で全治1週間となりました。
(ワインダーで19,000パワーが出ていたので全力も全力です)
こうなってしまうと何をしても痛い。首が少し曲がるだけで痛いので下を見ることなどできず、しゃがんだりすることすら難しい状態です。

何が悪かったかは明白ですね。回数が多すぎること、長時間やりすぎていること、力を入れすぎていることです。頭も悪い…。

自戒 ベイブレードXに大人も子供もありませんが、良識ある大人は日に20時間も1つのことに打ち込むべきではありません。

シュート回数は先述の、健康な高校球児が一日に投げられる全力投球制限70球をという数を目安にできます。少なくとも30代~であるなら彼らと同じ量やるのはまずいでしょう。打ったシュートの3割が全力だったと感じた日に、バトルパスからシュートデータを取得して200回を超えていたらそれだけで日/60。オーバーワークのラインは意外と低いところにあるのです。

更に言えば、そもそも論としてベイブレードは真に全力でシュートするべきではありません。怪我をします。
全力で打てばSPが出るのは当然ですが、SPを出すために全力を出すことは選手生命を直に縮めます。
SPを出したいのであれば全力を出さないようコントロールした上でSPを出す、という方向でトレーニングをしたほうがよいはずです。
6月からのGP予選に臨む競技ブレーダーは100も承知の内容かもしれませんが、スポーツ, ベイブレード初心者でかつ健康を自負するブレーダーにとってそれは必ずしも常識ではありません。「俺は怪我なんてしないぜ」と根拠不明の自信を持ちながら全力シュートを繰り返し、怪我をするのです。
GP予選から本格的に競技シーンに参入するブレーダーもきっといるでしょう。どうか無理のないトレーニングを心掛けてください。


細かな怪我と対策防具

ストリングやワインダーを持つ指のたこや血豆、いわゆるベイだこと呼ばれるようなものであるとか、
ストリングハンマーが高速で激突することで生まれるグリップ側の手の痣、痣の治癒の繰り返しでの黄色化、血豆、爪の破損は残念ながらベイブレードの日常の一部です。
こうした細かな怪我は日常生活に支障をきたさない故障未満のものでありますが、手先の美容に気を遣う方, 職業的な都合のある方などにおいては許容できないケースも少なからずあるでしょう。そうでなくても、誰しも怪我はしたくないものです。
ここではそれらを防ぐ「防具」を紹介します。
怪我が予想される動作に対して、道具を用いない手はありません。グローブなしで野球ができるかという話です。
なお、本記事にアフィリエイトは含まれていません。単純な参考リンクとして商品URLを掲載しています。
おすすめの商品等があれば是非教えてください。こちらに掲載させていただく場合があります。

【引き手側】
ワインダー、ストリングを持つ手の指に負担がかかり、たこや血豆ができます。テーピングや手袋、過去シリーズで出ていたようなフィンガーバンドである程度の予防ができるものと思われます。


【持ち手側】
グリップ、あるいはランチャーを直接持つ側の手です。
ワインダーランチャーは直接的外傷の危険はありませんが、ストリングランチャーと比較して持ち手側に力がかかりやすく、手首への負担が大きいです。重心の偏ったブレードであったり、強く引けば引くほどその負担は増大します。これに関して道具で防ぐことはできないので、パワーを調整する他ないでしょう。

ストリングランチャーは引いた反動でハンマーが手に激突するケースがあり、直接的な外傷に繋がります。ベイブレード有識者、過去シリーズから競技シーンに参加している上級プレイヤーに数多く質問してきましたが、どうやらこれは技術的な問題、いわゆる「下手だから」起こっていることではないようです。
端的に「ハンマーが痛いので対策を教えてください」といった旨質問をすると100%の上級プレイヤーが以下のように回答しています。(筆者調べ)

  • 我慢してください

  • 対策はありません


助けて


手袋してなお故障するほど(後述)痛いことがあるのに、対処法が確立されていないなんてあり得るのか?
と疑問に思いましたが、過去シリーズを経験してきた熟練者は必ず上記のように答えます。

回答くださった皆様に多大な感謝を。
対処法なし、打ち方が悪いわけではない、というのもWeb上で拾えなかった貴重で重要な情報です。

恐らくですが、幼少期からストリングランチャーを扱ってきた人間はグリップ側の手が堅いのだと思われます。その強さは大人になってから手に入るものではありません。(子供も無理しないでください)
Xから参入した軟弱なヒト族は素直に防具を頼りましょう。これもある種の"ギア"ですね。

狩猟弓(非アーチェリー)の防具。範囲内はかなり安全で、激突しても痣になることがない程度の防御力。親指にハンマーが当たるタイプの打ち方をしているブレーダーには不向き。
涼しいし結構かっこいい。手袋と比較すると装着は手間。

弓道用防具、指押し手。親指に装着して使用する。
親指~根本あたりをカバー。防御力は低めのため、痣の予防には不向き。運動を邪魔しないこと、暑くてもあまり問題がない点は良い。
形状的に薄手の全手袋や指出し手袋と併用できるため、補助防具として向く。

耐衝手袋。これで怪我をするほどハンマーに威力が出るなら、先にランチャーが壊れるはず。まず怪我をしないだけの防御力があるものの、重くて扱いづらいため競技シーンに向かず。数を重ねる練習時に向く。

気になってるやつ。



【実例】伸筋腱炎

左手親指の伸筋腱炎になりました。
通常、腱炎は当該箇所の使いすぎによるものが主であるそうなので、今回の場合は外傷性ということになるのでしょうか。ストリングランチャーのハンマーが激突し続けたことが原因です。

綺麗なおててでなく、お目汚しすみません。
比較用に右手写真を併せて。丸部分が膨れ上がっており、指の可動域が減っています。

2週間ほどこの状況で、治癒の傾向が見られなかったため整形外科にかかったところ「放っておいてもそうそう治らないだろうから」と、経皮吸収型鎮痛・抗炎症材シートと、消炎鎮痛錠剤を処方されました。
いくらスポーツであると言っても、大の大人が玩具で遊んで怪我をして医療リソースを消費してよいはずがありません。反省です。何をするにしても、怪我をせず健康に過ごせる人間が一番素晴らしい。ベイブレードで怪我をするような大人は本当に格好が悪いので、この記事を読んでいる方はどうか、痛みを感じたらプレーを中断することを心掛けてください。

手の甲や平は構造的に頑丈にできていますが、人間の手には関節など、構造的に脆い部分もあります。そうした箇所に負担がかかるシュートフォームを取るプレイヤーは、そもそもフォームを見直すか、外傷を完全に防げる防具を用いるなどして対策を行うことが必須です。



安全なギアスポーツライフのために

怪我や障害の予防に、過度なプレイを避け、自分自身のプレイスタイルに合ったギアを整える。これ以外のアプローチも存在します。
即ち日々のワークアウト、プレイ前のストレッチングやウォーミングアップです。

ワークアウト

最高のシュートを行うためにはより多くの筋肉が必要、ということはありませんが怪我の予防という観点から見ればある程度の筋肉量は必須となります。「日常生活を安全に過ごせる筋肉量」「競技スポーツに参加できる筋肉量」「競技スポーツを安全に行える筋肉量」というそれぞれのステージを定義し、嵩元ら1)はその指標、つまり必要な筋肉量(%MV)と筋出力(WBI)を出しています。
以下がその指標です。

日常生活安全閾値 WBI=80,  %MV=65%
競技スポーツ参加可能 WBI=100, %MV=72%
競技スポーツでの障害安全閾値 WBI=130, %MV=82% 

補足
「筋肉量(% Muscle Volume)」総たんぱく質量(kg)/体重(kg)×100

「競技スポーツでの障害安全閾値」に届くほど理想の身体を持つ必要性は恐らくありませんが、少なくとも「日常生活安全閾値」と「競技スポーツ参加可能」の中間ラインは目指したいところです。ここでの日常生活安全閾値にはレクリエーションスポーツ(アマチュアゴルフなど)が含まれるため、目指すラインとしては丁度良いように感じます。

筋肉量については体組成計で測れるようです。残念ながら我が家にはないのですが、もしおすすめの物があれば紹介いただけると助かります。
WBIについては以下ページが簡潔で分かりやすくまとめられています。

怪我の予防に大事なのは筋肉が備わっていること、そして筋肉を使いこなせていること(筋出力)です。
他にも柔軟性ですとか敏捷性のようなアジリティ的なパラメータも重要になるでしょう。日々のワークアウトにストレッチを取り入れることも検討してみてください。しかし、身体の柔らかさは硬すぎても柔らかすぎてもスポーツにおける怪我に繋がりやすいことが相澤ら2)に述べられています。何事もやりすぎは良くありません。

ベイブレード競技のためのワークアウトであれば、全身どこを鍛えてもよいので個々人に合ったものを実施すればよいでしょう。ただし、脂肪燃焼を主目的としたダイエット効果の高いものではなく、あくまで体づくりを主体としたものが望ましいです。
筆者は正月に肩を故障して以来、リングフィットアドベンチャーをやるようになりました。手軽に全身を動かせるので結構オススメです。

プロスポーツ的観点で見れば正しいからだ作りという概念は存在していて、ベイブレードをシュートするための理想の肉体・筋肉量や付き方という答えはあるのでしょうが、ベイブレードはプロスポーツではありません。
日々のワークアウトで筋肉がついて、それが原因でシュートが弱くなってしまうということは有りうることですが、誰も研究していないのでそんなことを気にする必要はありません。怪我の予防効果を高めることだけを目的とするべきです。



ベイブレードXにおけるWU

まず結論から先に書きますが、ベイブレードXという競技においてウォーミングアップを厳密に実施するのは不可能です。本項ではその前提の上で、ベイブレードXをプレイする際にできるウォーミングアップ的アプローチを解説します。

ウォーミングアップ(スポーツシーンでは「WU」と表記されることが多いようなのでそれに倣います)とは、いわゆる準備運動。本運動時に最適なパフォーマンスを発揮できるように体温を上げ、身体のコンディションを整える行為です。
公式戦でベイを回すのであれば当然、最適なパフォーマンスを発揮したい。しかしながらベイブレードXをスポーツ競技として見た時、WUを適切に行うというのは非常に難しい行為です。なぜか。それはWUの効果時間とベイブレード競技の相性が悪い為です。

WUの持続時間は適切なWUを行った上(WUの実施は夏季であれば15分、冬期であれば30分ほど必要)で30分、そしてその30分の中でも運動をしない時間があれば効果は減衰していきます。サッカーのインターバル10分間休憩でWU効果が減衰することもあるようです。

あくまで関東圏での話にはなってしまいますが、昨今のベイブレード公式大会は参加者100人を超えるものも珍しくありません。そうした大会において、各回戦は20分~1時間ほど間が空くことが常です。
であれば初回戦だけ身体を活性化させ、筋出力を増加させたところで大した意味はありません。むしろ、各回戦で体のコンディションが変わってしまうことで思ったようなシュートができなくなってしまう恐れがあります。

そもそも、ベイブレードXをスポーツ競技として解釈した場合、かなり異質なスポーツであることは認識の通りです。運動行為は一瞬×それを数回行うのみ。肉体も勿論重要ではありますが、メンタル面や思考面、集中力などといった要素にも比重が大きく寄っています。

WUは競技に合わせその内容が変わってきますが、ベイブレードXは以下に述べられているような「短い時間で大きな力を発揮する競技」に近しい性質を持つと言えましょう。

ウォーミングアップの順番としては、始めに身体を温めるためのランニングを行うのがおすすめです。短い時間で大きな力を発揮する競技(例:短距離走)の場合は、軽いランニングを長めに、長時間の運動をする競技(例:自転車競技ロード)の場合は、軽い運動から始めて少しだけ息が上がるまで行いましょう。その後ダイナミックストレッチを行い、ウォーミングアップの終盤には競技の専門的な動作を入れましょう。

パスウェイ科学チーム・ハイパフォーマンススポーツセンター, Athlete Pathway 「自分に合ったウォーミングアップを見つけよう」
https://pathway.jpnsport.go.jp/sports/column03.html

では軽いランニングからか? それもいいかもしれませんが、前述の通り通常のWUの効果がベイブレード競技に影響を与えるのは難しいです。
そこで、ベイブレードXのためのWUを1つ提案します。
「ウォーキング」です。
ウォーキングには脳を活性化させ、思考力をUPさせる効果があることが知られています。
朝 試合会場に着くまでに20分のウォーキングです。一駅前に降りて歩くなど(都市圏なら)、一般的なWUと比較すると簡単に実施できるはずです。
午前中の基礎代謝を引き上げ、思考力を増加させる。本来のWUと違い瞬間的な効果は薄いものの、持続的な効果を得ることができます。そしてそれはいずれも競技に必要な効果であります。是非お試しください。

(怪しげな根拠)
筆者は3位以上入賞した公式/非公式戦は全て会場迄20分以上歩いています。
G1 2023予選に至っては交通機関を利用せず、徒歩で参戦しました。
あんよがムキムキな為、ベイブレードで足腰を壊したことはありません。そういう副次的な恩恵もあります。



終わりに

ベイブレードXをスポーツであると思っている人は少ないと思いますし、ぶっちゃけ僕もスポーツだとはあまり思っていません。それでもスポーツとして解釈できる部分や、実際のスポーツを参考に役立てられる部分というものが少なからず存在していると考えています。それを含めて「GEAR SPORTS」という新概念であると理解します。

当然ながらスポーツはベイブレードより長い歴史を持つわけであるからして、その情報量は膨大なものがあります。参考にできる情報はガンガン取り入れて、発信して、より充実した趣味の時間をおくりたいものです。

ここまで読んでくださった方の役に立つ情報がひとつでもあったのであれば幸いです。
また、各イベントでnote記事読んだとお声がけくださる方が増えています。この場でも感謝申し上げます。
皆様のベイブレードライフがより充実しますように。

ベイブレードの熱い夏を怪我なく、共に駆け抜けましょう。




余談 因習村の風習「魔剣」

玩具の正しくない使用による怪我は本文書で触れませんでしたが、これも経験があるのでここに記します。
EXTREME CUP G1 東京2023予選会場において3人対戦スタジアムの開発版が設置され、参加者はそこで遊ぶ機会を得ることができました。僕も参加しました。
僕にとって友人以外とベイブレードを遊ぶのはそこが初めてで、ガチガチに緊張していました。大会は緊張しなかったのでおかしい話ですね。
3人用スタジアムでグリップ付きワインダーランチャーを使用するとシュートエリアが非常に狭い。他のプレイヤーに配慮して場所を取らないように、取らないようにと細心の注意を払って普段と違う構えでシュートした際、シャークエッジが左手親指を抉りました。(100%自責)
対戦してくださった親子の方、あの時はすみませんでした。
ガチガチに緊張した状態になった時は「正しいシュートができるか」という観点で今一度、自分自身を見つめなおすことが肝要でしょう。

それなりに出血したものの大会開始時までには止血も済み、問題なく競技に参加しています。
今見返すと過去記事で怪我が写った写真を掲載してしまっていましたが、他にいい写真がないのでそのままにしています。あまり目立たないしヨシ。

血を吸ったシャークエッジのエピソードから、村では完成度の高い強力なベイを「魔剣」と呼ぶ風習があります。どうしてもベイの調整に行き詰った時には「血を吸わせるしかないのか?」などと言い始める村人も。
碌な所ではない。

願わくはこれを語りて平地人を戦慄せしめよ。

引用: 柳田国男, 遠野物語, 青空文庫
https://www.aozora.gr.jp/cards/001566/files/52504_49667.html




参考文献一覧

1) 嵩元 敏文, 脇本 幸一 - 文光堂 Spine Dynamics療法 93-102
2) 相澤 杏莉, 齋 綾乃, 長井 幸美・他:身体の柔らかさはスポーツ障害・外傷の発生に どう影響するか? - 理学療法科学 第37巻 第1号, 2022 123–128

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?