ディーセレ プレ環境についての記録(INTERRUDE)

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柳田國男です。

貧しい神道学者、即ち亡き父を念頭に置いて2020/12/5から新フォーマットになった『WIXOSS』の話をさせてもらいます。

WIXOSSっちゅうのはウィッシュ・アクロス、つまり願いの交錯のことやね。

「ラッシュデュエルは最初から楽しいんだ!」「シャドバは最後までわかんねえ!」けどもWIXOSSは最初から最後までわかんねえ。そういうカードゲームっちゅうことです。

今日話すのはそんなカードゲームWIXOSSの、1/8から発令された緊急事態宣言の影響で実質1ヵ月で幕を閉じた、プレ環境の話ですわ。

”願わくは之を語りて平地人を戦慄せしめよ。" 柳田國男             ──遠野物語


デッキタイプとその分布

首都圏 PARTY11件・CEREMONY1件・大型ショップイベント1件にお邪魔したわけやけど、概ね以下の通りやったね。

・アンジュ 30%
・タウィル 30%
・アト 15%
・とこ 15%
・他 10%
 (リゼ/ハンデス/リペアー)

こんな場末の記事を読んではる敬虔なカードゲーマー諸氏には語るまでもないことなんやけど、一応各デッキタイプのメタまわりと特徴についてさらさらと書かせてもらいます。


アンジュ

さんばかチームデッキで最も目にする機会の多いデッキタイプやね。

白黒を扱うデッキタイプの中では質の高いバーストを採用しやすく、バースト同数試合では強く出られる安定したデッキです。……が、タウィルに不利(後述)、とこにやや不利、ハンデスに有利とメタまわりの面で見るとシェアの高さに反して隠し切れない脆さを抱えてるとも言えます。

単体+4,000の起動効果はバーストケア、アシスト防御避けと色々器用な効果ではあるもののアルス自動効果条件のため以上に生かせる構築になっていないケースが多く、さんばかの中では一番不器用ですね。

アシストは基本的にとこ・リゼのレベル1~2いずれも「´(ダッシュ)」です。ピースはスーパーヘルエスタセイバー+祝福の鍵の音 or サンバ・カーニバルやね。前者と後者でどう違うかというと

■祝福の鍵の音
・メリット
 サーバント初手率の向上  サーバントLB初段受け時にちょっとうれしい  赤に対して強い(メリッサの兼ね合い)   ・デメリット  リゼで+2ハンドされるため、後攻1ターン目にハンドオーバーになり前述のメリットを生かしづらい   =先手/後手で有効度に違いが出る  初手に使われる事が多いため、ピース面での駆け引きに少しだけ弱い  (カウンターアルケミーが採用される環境ではないので誤差の範囲)
■サンバ・カーニバル
・メリット
 赤・ハンデスに対して強い行動を得れる
 ピース面での駆け引きに少し強い
 DiRが存在するのでデッキがかっこよくなる 

・デメリット
 対さんばかで有効に働く局面が少ない=腐りやすい

こんな感じやね。前者は下振れ率を下げ、後者は上振れる試合を作る。──実際にそれぞれの使用者を見ると、バーストやサーバント運に恵まれないセレクターとその逆を行くセレクターで二分されとるよ。上手くできとるね。

アンジュデッキというのはさんばかチームのデッキタイプの中で最も対赤を組み込みやすいデッキなんやけど、12~1月環境では見んかったね。

具体的にはメリッサに加えちひろの投入、竜胆だけでなくドーラの投入、レベル2帯は魔使と文野。これで対タウィルは有利(1~2バースト差まで勝利を狙える)なんやけど、流行りのアンジュデッキは対赤を完全に捨てた対さんばかといった体やね。

前述の枠には童田・クレア・れなが主に入ってきて、葉加瀬もペアで投入されることしばしば。これはつまり何に対する回答かっちゅーと、ハンデスに強いんやね。にじさんじの特徴であるハンデスに対して強いという特性を伸ばす方向性っちゅうことです。

タウィルとハンデスデッキのシェアを見るとあり得んことなんやけど、1月しかないから環境のメタが回り切っていなかったんやね。前述の対赤構築では竜胆竜胆ちひろ/竜胆竜胆文乃のような 「13・13・12」「13・13・14」みたいにタダカツ,ビュレト等,ドーラあたりのバーストケアもできて器用かつ、分布的に有利なデッキになるのでこれが流行ったらもう一回り環境が進んだんやと思うよ。

すると今度はハンデスに弱くなり、ハンデスが台頭、再び対ハンデス型のさんばかに…… と。よくできとるね。対赤はバーストの都合上パワーラインの高いアトに弱くなるので、より一層ハンデスに弱いっちゅうわけです。



タウィル

現環境トップシェアの一角です。

面取り能力、面防ぎ性能、デッキ回転の高さによるガード成功率どれをとっても素晴らしいデッキですが、バーストの品質が比較的悪いためバースト同数の試合では有利を取られてしまうことしばしば。

ハンデスに非常に弱いものの、赤対策をしていないさんばかに極めて有利であるので勝率は最も高いでしょう。環境に見事にマッチしてしまっているっちゅことやね。絶望的に不利対面である赤対策さんばかを扱うセレクターが環境に存在していないのも追い風です。

少ないカードプールながら様々なバリエーションが作れるという点でも良いデッキなわけです。

カリュドーン採用でハンデスに強く(にじさんじには弱くなる)、複製の採用で赤対策型デッキにロングゲームに持ち込まれた時に有利に……といった具合です。また、赤対策ができている相手との対面では一般的に採用されているアト・チャージよりキラーが有効なのでルリグデッキも若干のバリエーションが生じます。

今環境のメタの中心を担う役割を持っているため、実戦で使わない人でも研究用に持っておくといいデッキです。何より安いので。

(わしは15BOX剥いてようやくシュブニグラが4枚揃いましたが、普通はもっと引けているはずでしょう)



アト

オープン時点で試合展開を想像しづらい問題児です。大体のプレイヤーはアト対面になると身構えるでしょう。空模様が怪しくなる。早々に田植えをしたくなるような……そういうデッキやね。

もっともよく見た構成とデッキタイプ的には次のようなものです。

■ルリグデッキ​
ウムル   ドロー + ダウン
タウィル ハウリング + バースト
ピース  フューチャーコード, アンシエントサプライズ

■メインデッキの傾向レベル3帯はノーバースト アザトース, アタランテ。(たまにマルス)バーストはクラス散らしもかねた強バーストを少ない枚数で各種投入2帯はマルチカラーが主で、スローロリスなども採用
1帯はカメロパル, スカンダなど

パワーラインが高く、赤に対して強く出ることができるうえ、ランサーによるにじさんじ対策も組み込まれています。バーストケアも自然にできるのがグッド。

しかしながら面明け能力には難があり、10,000以上バニッシュが主力である関係上マルス・スカンダなどのフィニッシャーが必要となる場面が多いのも事実。デッキ構築勘が求められるわけやね。

ピースでの駆け引きが強いデッキでもあるのは評価できる点です。ハーモニーコールのダブクラ警戒で防御札を残させ択を相手の減らせるのはアンシエント・サプライズならではでしょう。

また、そうした読み合いの面で上級者になればなるほど苦悩が増えるデッキタイプです。ピースの読み合いだけでなく、アシストも幅広い選択肢があるためです。ウムル・クリアーのケアを怠ったことはありませんか? わしはあります。そのヘルエスタセイバーの後に打たれたら? 次のドローまではリフ入らないから鈴原は次ターンにしようという選択の裏目は? ──そう、これは恐ろしいデッキです。

あと1ヵ月あったら数が増えたデッキでしょう。

未来人がいてはりましたら、結果を教えてください。事と次第によっては、そのときは私は自説を修正せねばならないでしょう。



とこ

茶店のケルベロスですね。赤毛布で設えた半纏を着て、赤い頭巾を被り、町中で踊りながら家に帰ったりはしません。

そもそもアンジュととこで何が違うのかという話をしたほうがよいでしょう。

アシストと登場効果を見ると、トラッシュ回収 or バウンス/ドローのトレード。点数的にはさほど変わらないので、そうなると起動効果の差と見るべきでしょう。にじさんじデッキにおいてセンタールリグの色は大した問題にならない程度の差ですから。

とこは起動効果により実質リムーブ権+1のようなものなので、シグニ効果でバリバリ面を開けていくことになります。激しい手札消費をバーストや手札補充効果で補う形やね。ぶっちゃけ、今環境にあるアンジュデッキとは対してシグニ構成は大して変わらんでしょう。

バーストの質とパワーラインが落ちやすいため、点を取りやすいが取られやすくもある。そう、タウィルと性質の近いデッキです。デッキ回転によりサーバントを引き込むか、ルリグデッキサポートでサーバントを回収するか。どちらで安定させるかで選ぶのもよいでしょう。



まとめ

上記デッキタイプのベーシックな以下相性のもとで、それを超越した構築の一部セレクターが比較的高い勝率を出すもやはり最後には祈りの力で決まる……そういった環境でした。
(バースト&ガード3三枚差を捲れる対面になる構築は見られませんでした)

■ベーシックな構図
タウィル > アンジュアンジュ > アトとこ > アンジュアト > タウィル

■超越したセレクターを含む構図アンジュ > ハンデス対赤アンジュ > タウィル
対赤アンジュ = アンジュタウィル > アンジュ, とこコントロールタウィル = 対赤アンジュ, 対赤とことこ > アンジュとこ = ハンデス対赤とこ > タウィルハンデス > タウィル全般, 対赤アンジュ, 対赤とこアト = アンジュ, とこアト > タウィル

折口君ら、友人を集めてプロキシ刷って一か月前から研究を続けてきたわしが見たディーヴァセレクションのプレ環境の話をさせてもらいました。メタが回り切っていない未成熟な環境の記録という点で、ある一地域での歴史的資料として残れば幸いです。

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