追い窮鼠。
ネタバレあります。
追い窮鼠してきました。
⇒追い窮鼠……映画「窮鼠はチーズの夢を見る」の2回目以降鑑賞の略。
★1回目のレビューはこちら。
9/12舞台挨拶ライブビュー回を鑑賞後、余韻が冷めらやず観に行って来ました。その間に原作を読み、監督さんのインタビューも拝見しました。
前回は今ヶ瀬目線で観ていましたが、今回は原作ふまえて大伴目線で映画を観て来ました。正直、初回は濡れ場シーンに入るたび頭があっぷあっぷになって、全く憶えてないくらい脳がショートしていたんですが、今回は冷静にじっくりと鑑賞することが出来ました。
原作を読んだ第一印象は「こんなに台詞が多かったんだ!」。
行定監督じゃないですけど、私もこの作品が名作だったことを知らなかった不束者です!
とにかく台詞の威力が半端ない。実はあんまり好きな絵じゃなかったんですが内容が素晴らしすぎて関係なくなった。パワーワードがいくつも出てくる。寝る前に読もうとしたら情報量が多すぎて一晩じゃ読めなかった。それくらいの台詞の重さ。軽くない。プロセスチーズでなくハードタイプ。そして、詩的な美しさもあって。
映画で感じ取った解釈の答え合わせをしましたが、ほとんど解釈ミスはありませんでした。
もちろん時間枠のある映画で省略されている部分は多くあり、「あー。こんないいシーンがあったんだな」「ここは尺の関係で省いたんだな」と思うところも沢山ありました。でも、そのシーンが省かれたからといって内容が変わったわけでもなく、そのぶん視覚で魅せているところがそれ以上に良かった。
原作のたまきが実は物凄く良く出来た子で、だからこそ余計に今ヶ瀬を選んだでかさが伝わるわけですが、とくに、あのセリフを言わせるために原作者がたまきに複雑な家庭環境を用意したことを知って、絶妙な、かつ機密な筋書にまたしても脱帽しました。本当に素晴らしい作品です。
ただ、実写と漫画での表現に違いがあるのは当然で原作と同じようにセリフにしてしまったら、ただの会話劇になってしまう。そしたら会話に集中してしまい、他の情報が入って来なくなってしまう。答えを出し過ぎてしまう。
吐息、視線、映像に映り込んでいる風景、小物。
それらがなければ、ここまで余韻は残せなかったと思う。映画ってやっぱり鑑賞者に考えさせるものだと思うから。大伴の心に残った残像を同じように鑑賞者にも残させる作り方はさすが行定監督だと思いました。
それと、ひとつ気付いたこと。
ゲイバーに行くシーン。原作を知らなかった時は今ヶ瀬を探しに行ったのかと思っていましたが、原作にある大伴のモノローグから生まれたシーンであるのが分かりました。
あと、監督のインタビューで原作者の方が「この物語はLGBTに訴えかける作品ではなく、個人の恋愛としての作品だ」とおっしゃっておられた話がとても良かったです。こちらのインタビュー動画がとても興味深い内容ばかりでとても楽しかったので、窮鼠の余韻が抜けない方はぜひ。少し長いですが。
二度見て、さらにどっぷりハマりました。DVD買います!
以上、追い窮鼠レポートでした。