SS【ルート88】♯毎週ショートショートnote
お題「惰性のエッヘン開放」
※このお話は、4/9表お題「グリム童話ATM」で書いた作品【まだまだ】からの続きの4/11裏お題「無理無理童話88」で書いた作品【呪い】 からのさらに続きですが、このまま読んでもそんなに困るほどの話じゃないです…
【ルート88】(410文字)
タケオとアニキはルート88を延々と走り続けていた。
アクセルもブレーキもきかず、等速で車は動いている。二人は盗みをしくじった上に、呪いのせいで道を抜けられずにいるのだ。
「アニキ、こいつは惰性の法則っスよ」
「学のある自慢かよ」
「この道を開放して抜けるには『力』が必要なんスよ」
「タケオ、おめぇ高校出てやがんのか」
「この法則は中三で習いやす」
「…ゴホッゴホッ。で、それでどうしようってんだよ」
アニキが咳払いしてごまかそうとした時、車のスピードが落ちた。
「あっ、もう一度咳払いしてくださいよ!さすがアニキ!」
「なんだよ」
「『力』っスよ。それがアニキの咳なんだ!」
褒められたアニキは、少しエラそうにもう一度咳払いした。
「エッヘン!」
その瞬間、『惰性のエッヘン開放』が起こった。
ついに呪いが破られ、ルート88が一般道に開いたのである。
「よかったっスねー、アニキ!」
しかし、抜けた先には警察が待機していることを二人はまだ知らなかった。
おわり
(2023/5/25 作)
※解説。『惰性の法則』はもちろん間違いで『慣性の法則』のことです。
タケオくんはおバカさんなので…。
そもそもは外から力が加わらなければ物体は等速運動を続けるという法則ですが、作者の使い方もテキトーです(;・∀・) だって文系だもの…。
『たらはかに』様の5/21~5/27のイベントに参加させていただきました☆
今回は裏お題ですー。
とりあえず書けただけでも自分をほめようと思えるお題でした。エッヘン。