ただなんとなく。
たまにでいいからさ空がぐるりと回転してくれたらいいのに
ん?それって、私達も一緒に逆さまになるってこと?
ちがうちがう。空が地に来て、地が空になる。
えっ?!頭の上に地?
そうそう。足元に雲と青空。
うわー、それってなんか頭の上が重そう
私の言葉にふふって笑いながら
いつ空が落っこちて来るかわからない感覚の中で生きてるって良くない?
毎日、1ミリづつ首がめり込んで行きそうだよ
ため息をつきながらそう言うと、今度はカラカラと笑い声をあげて
だから好き。
落ちて来そうな感覚が好きなのか、私のことが好きなのかわからない言い方をして歩き始める。
私は、あわてて後について歩く。
いつも思う。
こんなやりとりが一生続けばいい。
同じ景色を見ていても、同じものを食べても、同じ速度で歩いても、彼女の頭の中は私とはちがう。
同じ時間の中で、ちがう何かを感じてちがうものを思い描いてすすんでく。
今、足元に青空と雲があったら、私はきっと落ちないように必死で雲にしがみついて雲の流れに身を委ねているのだろうな。
彼女は、そんな私を見ながらクスクスと笑って雲も空も関係なくまるで水の上を歩けるかのようにスイスイとすすんでいく。
その後ろ姿を見てただなんとなく思う。
一生続けばいい。
そんな気持ちと一緒になみだの線が心の中にできていく。
一生続けばいい。