こはるとありあの出会い【マイキャラストーリー】
※これはプリマジのマイキャラ「こはる」とそのパートナー「ありあ」の話です。
こはるとありあの出会い
心晴(こはる)には千咲(ちさき)という3つ歳の離れた姉がいる。
3歳差というのは中々厄介で、心晴が幼稚園が入る頃に千咲は小学校に、心晴が中学校に入る頃には千咲は高校に入ることになる。だから入学と卒業が被りがちで一緒の学校に行っていたのは小学校の3年間だけだった、その時千咲は心晴の事を少し疎ましく思っていたらしい。
千咲は常に先生に褒められる生徒だった、率先して学級委員をやったり、テストの間違いを指摘したり所謂優等生だった。それで同級生から嫌われることもなく、むしろクラスでは常に高い地位にいた。これは千咲が意図的にやっていた事で、彼女にはそういう「他人に認められる才能」があったのかもしれない。
そんな彼女が嫌いだったのがマイペースなクラスメイトだった。例えばいじめられそうな子や引っ込み思案な子、そんな子には手を差し伸べてあげ、皆の輪に入れてあげる。しかし自ら輪に入ろうとせず集団行動を乱す者もいる。この手の子供は我が強く協調性に欠ける傾向がある。
そして妹の心晴もそうだった。
2人が幼い時は千咲は「良いお姉ちゃん」として振る舞っていた。周囲の大人もそれを褒めてくれた。しかし心晴は千咲の思う通りに動く子供ではなかった。なんというか変に大人びてるのだ。
千咲は趣味という趣味を持っていなかったが、ある程度のことは網羅していた。勉強だけでなくスポーツも得意だったし、同級生の誰よりも先に逆上がりや竹馬や水泳をマスターした。だからそれが出来ない妹に教えてあげるのも当然のことだと思っていた。
しかし心晴はそれを望まなかった「みんな出来てること」だからといって自分がやりたい事にはならないのだ。そして専らお絵描きや読書のような1人で完結する遊びを好んでいた。千咲にはそれが面白くなかった、まだお姉ちゃんに甘えて、教えを乞うようなら可愛げがあるのに、独りで構わないような素振りをするのだ。
そんな事もあり心晴は千咲に避けられるようになった。同級生と遊ぶ時も妹の話題は口にしない、まるで居ないかのように扱った。
心晴はその事に気づいていたが、特に悲しいとも思わなかった。元々3つも離れてるのだから遊びや会話が合わなくて当然なのだ、と。
しかし、千咲にとってはこれがまた面白くなかったらしい。
自覚があるかは解らないが、結局のところ千咲は他人の目が気になる性格だった。だから常に良い子であろうとしてしまう。対して心晴はそんな事は気にしない、自分が良いと思えばそれで良いという性格だった。
両親も姉妹の性格の不一致には気づいていたが、それを特に咎めたり、仲を良くさせようともしなかった。母親はあまり学業に口を出さなかったが、父親は常に千咲の高成績を褒めてくれた。同居している父方の祖母も千咲が自慢の孫娘だった。
次第に家族の中で千咲の話題がメインになるようになった。
これは決して心晴を仲間外れにしてるわけではない、心晴の話題は長続きしないということを家族全員がそれを理解していたからだ。
こうして同じ屋根の下に暮らしながら扱いの違いを感じて過ごしてきた心晴は次第に空想の世界に没頭し出した。
そこでは心晴の好きなファンシーな風景、お城やお花畑や、お菓子で出来たお家があり、
かわいい動物たちと一緒にお姫様が暮らしている。その名はこはる姫、もちろん自分自身のことだ。この空想は心晴のライフワークとなり、中学生になっても続いていた。
中学生になると周囲の子に溶け込めないのがいよいよ目立ってきた。
一応最低限のコミュニケーションはしてるし、クラスメイトも普通に話しかけてくれる。ただ会話が続かないのだ、これは心晴が周囲に合わせた話題を持ってないせいだった。
だから心晴は周囲がどんな話をしてるか注意深く聞く事にした。
「昨日のプリマジTV見た?」
「見た見た!あの子まじかわいくない?」
プリマジ…若者、特に女の子の間で流行っているエンターテイメント。おしゃれやダンスを楽しみ、それを競い合う舞台。心晴も存在は知っていたが自分と無縁の物だと思っていた。だって他人が輝こうが自分には関係ないのだから。
「だったら自分が輝こうって思わないの?」
空想の中で突然話しかけられる、振り返るとそこにはピンク色のウサギがいた。
「あなたはえっと…」
自分が付けた名前を思い出す、そうだ、この子は「ありあ」でもなぜ話しかけてくる?これは私の空想だから、私が動かしてるはずなのに。
「実は私は魔法使いなの!夢の中から貴女に会いにきたの」
そう言われるとありあの姿がはっきりと目の前に現れる、幻覚ではない、ぬいぐるみのようなウサギがまさにそこに存在している。
「え、なんで…」
困惑し続ける心晴にありあは歩み寄り言った。
「私と、プリマジをやりましょう!」
その日、心晴とありあはプリズムストーンに行き、心晴は無事プリマジスタ「こはる」としてデビューした。この時幼馴染の男の子の統星(すばる)と再開するのだが、それはまた別のお話…