男子プリキュア、キュアウィング(夕凪ツバサ)は"男の娘"なのか問題について
突然ですが
ツバサくん、かわいいですよね(上は僕が描いた絵)
真理、これに尽きます。
この圧倒的事実を前にすれば彼がどんな設定だとか、物語でどんな役割を持つべきかだとかは些末事なんです。
かわいい女の子=正義なら
かわいい男の子=正義も成り立つんです。
ただそこから僕個人が思ってることを少し掘り下げて書き記しておきます。
この話は「ひろがるスカイ!プリキュア」の「キュアウィング」についてある程度知識がある方を前提としていますので、知らない方向けの説明等は一切省きますのでご了承ください。
・「男の娘」という言葉が持つ意味
偉そうなことを言うとようやく世間が追いついたかという気持ちです。
漫画、アニメにおいて美少女コンテンツは圧倒的です。とりあえず美少女を出すのが前提になってるところすらあります。
だからこそかわいいキャラ=美少女という図式が世の中には定着してるんだと思います。そして、それを例外的に男子にも許す言葉として「男の娘(おとこのこ)」という言葉が産まれたと僕は思ってます。
男の娘というのはオタクによるネットスラングあり、主に「少女のような外見をした少年」を指します。つまり女装をしたり中性的な見た目だったりで、本人の性自認は問わず美少女に容姿を寄せた男性キャラということです。
僕はそこまで男の娘界隈に詳しいわけではありませんが、一般に流通してる漫画アニメで「僕は男の娘です」と自称してるキャラは滅多にいないと思います。大抵は性自認は男子のままで、LGBTQと言ったマイノリティ的な描かれ方はしてないように思います。(昨今ではギルティギアシリーズのブリジットが公式で性自認が女性のキャラになり大きく話題になりました)
つまり男の娘というのは作り手・読み手の立場から与えるレッテルであり、
男性向け作品において「美少女と同じように、性的に見て良い男子ですよ」というラベリングであると自分は解釈しています。
・キュアウィングは女性的なのか?
そう考えると今回のひろプリのキュアウィングはどうでしょうか?
彼はプニバード族という特殊な設定ではありますが、担当声優は成人男性の村瀬歩さんであり、人間体の見た目もごく一般的な12歳の男子です
(性自認については明言されてませんが、今後も言及される物ではないと思うので除外します)
私服姿もプリキュア姿も女装というわけではなく、パンツスタイルでボーイッシュです。プリキュア時はピアスや脚のリボンなどかわいい要素もありますが、これは男性でも付けてておかしくない物なので、女性的と断言できる物ではないと思います。
つまり公式で描かれている彼は男子要素バリバリの男子であり、決して女性的に描かれているわけではないのです。
ただここは個々人で見え方の違いはあると思います、その人の中で男子はあんな恰好しない!と思っているのなら、中性的に見えるでしょうし、
その人の中で男の娘判定すれば男の娘なんでしょう、そこは否定しません。
しかし僕はあくまで彼は男子プリキュアであるという事実を推します。
確かに一般的な男子よりも中性的に描かれてる部分はありますが、それはやはり男子の枠の中での話なんです、12歳の男子の中にああいう子がいても何らおかしくありません。
・「かわいい男子=男の娘」というわけではない
僕が一番主張したいのはここです。
別に男子がかわいさを求める=女子の真似事をする、ではないと思うんです。男女共に「可愛さ」を求めると自然に似た路線に近づくというだけで、本質的に女性的にしようとしてるわけではないと思います。
よく男子キャラがいっぱい出てくる漫画アニメだと、必ずと言って良いほど中性的な美少年キャラ、それこそ男の娘と言われそうなキャラが出ますが、
あれは作者の趣味とか多様性への配慮とかそういうのではなく、
・男子キャラでバリエーションを付けた結果
・男子キャラをファッショナブルに描いた結果
なんだと思います、全く関係ない作品になりますが「ジョジョの奇妙な冒険」で4部辺りから急激にスリム体型になっていったのも、あれは時代に合わせたファッションを突き詰めた結果だと原作者も話しています。
たしかに一昔前は男子がかわいくあろうとするのはおかしいことだったのかもしれません。男子とはかっこよくあるべきであり、かわいいなんてナヨナヨした物に憧れるべきではない、そういう教育で育ってきた人も沢山いると思います。
しかし時代が変われば常識も変わっていきます。
エンタメは時代を映す鏡であり、人気コンテンツはそれを如実に表します。
プリキュアが20周年を迎えた結果辿り着いたのは「男子が男子のままかわいくなってもいい」ことなんだと思います。
別に男子だからといって女子より力持ちである必要はない、
それは女子だからといって男子より家庭的である必要がないのと同じなんです。
そしてこれは決して女子がかわいくあることを阻害する物ではない、ということも、ちゃんと作中で主張していると思います。
・余談
昨今の女児向けアニメにおいてキュアウィング(夕凪ツバサ)と比較対象になるのは、
・プリパラシリーズのレオナ・ウェスト
・ミュークルドリーミーの南川朝陽
だと思います。前者は男子禁制だったプリパラというアイドル施設に唯一入れる男子キャラであり、アイドル姿は女装をする物の、普段の生活では男子制服を着ているという「ありのままの自分」でいるのが特徴のキャラです(このキャラは男の娘カテゴリに入りやすいと思います)
後者はメインキャラ5人中唯一の男子キャラであり、
EDダンスでは他の女性と同じようにモデリングして踊っており、
2期の「ミュークルドリーミーみっくす!」からは他の女子と同じように変身するキャラです。
こちらはレオナとは違い一切中性的な要素はないのに女子と同じことをやれているのがすごいです(数回女装する回はあります主軸ではないです)
正直女児向けアニメでの男子の扱い方はこれが一番の理想形だなあと僕は思います。