それでも世界は 輝いている 19話

 少し前、ローゼンティーナの地下で魔神機が発見された。その知らせは、遠くダアトにいたヨウとジンオウの元まで届いた。

 破壊された魔神機。核爆弾の直撃でさえ耐えうる装甲を誇る。その破壊された魔神機が世界各地で見つかっている。

「魔神戦争の折、明鏡も二つに分裂しました」

 ヨウはホログラム越しにエドアルドを見る。ちょうど、ヨウが考えていた事の答えを、エドアルドは口にしようとしていた。

「諸説ありますが、明鏡の中にも、明鏡のあり方に疑問を持つ集団がいたようです。科学技術を秘匿し、人類を裏から操ってきたやり方を否定する者達。その者達が、魔神戦争の際、人類側について魔神機と戦った、そういった説があります」

「先生! 魔神機は、どんな兵器で倒されたんですか?」

 後ろの席から質問が飛んだ。

「もしかしたらの話ですが、魔神機を葬り去ったのは、御剱ではないかと言われています」

 僅かに教室がどよめく。

 御剱。あれならば、もしかすると魔神機の装甲すら貫けるかもしれない。

「一説ですが、魔神機の周辺は現行世界とは位相が異なっており、あらゆる攻撃を無効化してしまう可能性があるようです。世界中で破壊された魔神機の研究が進められていますが、どれも全壊しており、修復は不可能だそうです。構成している材質も不明のままで、その破損状況の酷さから予測するに、よほど凄まじい攻撃を受けたと推測できると言うことです」

 修復は不可能。

 エドアルドはそう言っていたが、実際、魔神機には自己修復機能が備わっている。ただ、修復する時期ではないと判断して休眠しているだけだ。魔神機は、分子レベルにまで破壊されなければ復活してしまう。

 もし、学園の地下で発見された魔神機が、何らかの作用で起動してしまったら。ヨウは険しい表情を浮かべながら、エドアルドの授業に聞き入っていた。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?