社会はなぜ子どもを望むのか?#05コンテンツ編〜2つの人生が教えてくれること〜
社会はなぜ子どもを望むのか?今日は映画「2つの人生が教えてくれること」から考察してみます。
※まだ映画を見ていない方は、ネタバレがありますのでご注意ください。
2つの人生が教えてくれること
個人的には、リバーデイルのリリ・ラインハートが母親役かぁと感慨深かったです。あの頃は高校生役だったのにな(笑)そして、NYガールズ・ダイアリー(The Bold Typeっていうタイトルのほうがいいと思うな…)のアイシャ・ディーが出ているのも嬉しいです。
出産かキャリアか
研究のインタビューで印象的だったのが、「子供を望む女性は出産かキャリアかを一旦選ばなければいけない。子供を望む男性はどちらも選べる」という言葉です。
転職をする際に、子どもかキャリアか考えるという声を聞くこともあります。確かに、転職をした直後に出産となると何だか罪悪感を私自身も感じてしまいます。
映画の中で妊娠したナタリーは、予定していた就職を諦めて実家のテキサスに帰ります。私もナタリーと同じ状況なら、同じように就職を諦めるでしょう。
日本の法律においては、本人が希望する場合産前6週間、本人の希望に関わらず産後8週間は就業させてはならないことになっています。そのため、内定者の妊娠が判明した場合でも、産前産後休暇は認められており、入社日を遅らせることは内定者の不利益となるため好ましくありません。
法律上はこのように認められていますが、実際の生活を考えると周囲の多大なサポートがない限り、就職を諦める方が多いのではないでしょうか。
産休中に給与支払される会社は、ほとんどないように思います。代わりに、給与の一部に相当する手当や給金を、雇用保険・健康保険から受け取れることになっています。
東京都在住・28歳の平均月収は、額面で28~29万のようです。これをもとに産休の手当てを計算すると、約100万円(出産育児一時金、出産手当金)が支給されます。また、1年間育児休暇を取った場合、約170万円の育児休業給付金が支給されます。合計で、約270万円となります。
赤ちゃんが生まれてから1年間にかかる費用は平均100万円と言われています。2021年度の家庭調査報告では単身世帯の生活費は、平均約13万円とされており、一年間に156万円かかります。そしてこの生活費には住宅費が含まれていません。
赤ちゃんと自分にかかる費用だけで、256万円。残りの14万円で、1年間の住居を探すのは不可能でしょう。(特に東京都では)あくまでも平均から算出しているのでここまでお金がかからない人もいれば、逆にもっとお金がかかる人もいるはずです。また、月収や生活費も人それぞれです。
パートナーがいる方であれば暮らせるかもしれませんが、映画のシチュエーションのように一人で育てることを決めた場合、周囲のサポートがない限り子どもを育てていくことは相当難しいでしょう。
この後映画では、子どもを産んだ方のナタリーは夢だった仕事に向かって努力します。キャリアに向けて再び走りだすのです。でも、そこには事実として一旦キャリアを諦めたり、ストップしたことは否めないのではないでしょうか。
説明できないけど、これが私の運命
妊娠したナタリーが、親友に子どもを産もうと思うと報告するシーンの言葉です。このナタリーの言葉はまさに私も同じような気持ちで、なぜか説明できないのに子どもを将来持ちたいと考えているのです。
やはり子どもを望むのが、人間の本能なのでしょうか?キャリアを一旦ストップさせてでも、子どもを持ちたいと思う気持ちはどこからやってくるのでしょう。
この本能を説明するために、心理学の「同調行動」を扱ってみたいと思います。
同調行動と本能
同調行動とは、集団規範、慣習、他者の反応に一致するような行動様式であり、広く人間が行う適応の一形態です。社会が安定していればいるほど同調行動が一般的となるとされています。(コトバンクより)
ここからは私の解釈ですが、人間は集団行動をして身を守ってきたため、本能的に同調行動をとるのではないでしょうか。
まず、人間の祖先であるサルも群れで暮らします。群れを作ると、食料の確保、繁殖、外的からの攻撃に耐えやすくなります。一方で、群れで暮らしていくためには、孤立しないように周囲とうまく付き合い、同じ行動をとることが必要です。急に群れの行動から外れて、毒キノコをつかんで食べてしまっては、生存率が下がってしまうからです。
だから、その集団の行動に同調して、真似をするというのが生存していくための本能だったと私は解釈します。
映画のナタリーや私が属している集団が、子どもを持つ人が多いから、それに本能的に同調している可能性はあるのです。
ただ、この論の問題点として、人間という思考し、理性をもつ者がなぜ「本能的に子供が欲しい」のか説明ができていないです。
まとめ
出産は、人生の分岐点になる大きな出来事である
それにも関わらず、説明はできないが子どもを持とうとする
同調行動の結果、我々が子どもを持とうとしている可能性がある
しかし、「本能」であると結論付けるには、人間の特徴である思考や理性を無視しており結論を急ぎすぎている
このnoteを執筆しながら、子どもを求める理由はない気がしてきました。口から出た理由はあくまでも理由の一部かもしれないし、すべてを説明することは不可能なのかもしれません。そして、地球上のすべての事象を説明することに限界があるので、理由など実は存在しないような気もしてきました。
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