【教師・支援者の心得】5つの「みる」とは【見る観る視る診る看るの違い】
教師になりたてのころ、上司から言われて印象に残っている言葉があります。
「この仕事はね、『5つの“みる”』が大切だよ。一つも欠けちゃいけないからね」
恐らく、教師や支援業されている方であれば、一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。
【5つの“みる”とは】
5つの“みる”とは、以下のものを指します。
①見る:視覚でモノを捉えること
②観る:じっくり見ること。観察、観賞、観光など
③視る:じっと見る。調べるためにみる。調査や視察など。
④診る:病状や健康状態を調べて判断すること。診断。
⑤看る:世話をすること。看病、看護。
①見る:言葉どおり目で見ることです。まずここから始まります。見ているつもりで見ていないことがあるので注意が必要です。
②観る:①の見るで「ん?」と気になった言動をする子どもをじっくり観察します。どういった時に困った様子になるのか、どんな言動をするのかを客観的に観察します。①をしていないと、そもそもこの②の違和感に気づけません。
③視る:②の観るで気になった場合、なぜそのような言動をする(した)のかを調査するように周囲も含めて「視」ます。その子の困り感は何か、どういった問題を抱えているのかを調べます。②で気づいても調べなければ本当の原因、困り感、問題が何かを見抜くことができません。
④診る:①~③までの「みる」を経て、なぜそのような言動をしたのか、その子どもの困り感や問題点、原因や課題を診断=判断します。③までをしっかりと行わないと、ここで正しい判断が出来ず誤診をします。
⑤看る:④で判明した問題、困り感を解決するために手立てを行います。その子に合った適切な対応、支援を入れます。④が正しく行われて初めてこの⑤が可能となります。④の判断が間違っていれば、ここでの支援は誤った方向に向いてしまいます。
この5つはそれぞれに役目があり、どれが抜けても良い支援になりません。
【支援現場で感じる教師力】
支援現場にいると、③までの「みる」を行っていないがために、その子の特性や課題に気づかず、④で誤診をしている先生や学校を見かけます。
教師という職業はこの最後の2つ④「診る」と⑤「看る」に注力しがちですが、それを正しく行うためには①~③「みる」が必須です。正しくその子どもの現状を理解していなければなりません。でないと、その「診る」は誤診ですし、「看る」は的外れなものになってしまいます。
よくあるのが、診断せずに思い込みで世話をしているパターンと、本人の身体的問題や特性ゆえの行動を「さぼっている」「やる気がない」「勉強が苦手な子」「運動神経が悪い子」など誤診しているパターンです。
原因が身体的機能の問題(視力や聴力に問題があるなど)や発達障害「学習障害(LD)・ADHD(注意欠如多動症)・ASD(自閉スペクトラム症)・DCD(発達性協調運動障害:今後別記事にします)・軽度知的障害」からきているにも関わらず、それに気づかず誤った対応や支援、もしくは無支援をしてしまうのです。
過去に、ものすごく視力の悪い子どもがきたことがあり、それが原因で学習が入りづらいのではないかと学校側にお伝えしたところ、「知らなかった。気づかなかったです」と感謝されたことがあります。また、バセドウ病など、病気がわかったケースもあります。
子どもの家庭がネグレクト傾向だったり、保護者の知識や理解が及ばない場合、こういった身体機能の問題が見落とされがちなので注意が必要です。
また、若い先生や経験が浅い先生だと①~③までは出来ていても、具体的な④や⑤がわからない、出来ないために悩まれている方もいらっしゃいます。
「なんとなく、この子には課題があるような気がするが、それが何なのかわからない」
「勉強が出来ない原因がわからない」
「どういった支援を入れたらいいのかわからない」
といったパターンです。本来はどんどん周囲の先輩に相談するのがベストです。
が、それが難しい場合は、外部を利用しましょう。
上記のお悩みのような場合、私の事業所では全力でサポートをします。学校へ赴きケース会議を開き、今後の対応策を提案したり、場合によっては地域も巻き込んで支援を入れていきます。外部組織と連携が取れている学校であれば、それをじゃんじゃか利用しましょう。
しかしながら、外部の支援組織につながっていない学校もあります。その場合は教師が主体的に日々情報をインプットしないと、子どもたちに適切な学びの場を提供することが難しくなります。
今はネットですぐ情報も入ります。まずは同県他校、その後、全国同等校の情報をどんどん仕入れましょう。
【まとめ】
教員になってすぐ、この言葉を知れた私はラッキーだったなと思います。
支援業をしていると、たくさんの学校と関わるため、「この学校、丁寧だなー」「この先生、素晴らしいなー」と思うこともあれば、「この学校ヤ(自主規制)」と、そうではない場合もあり(言葉を濁す)、どうしても比較してしまいます。
正直、同じ学年の子どもでも、学校や先生によって対応が全く異なっています。
本来、公立学校はどこも等しく、同じ教育を子どもたちに提供するべきなのですが、それが出来ていないのが現状です。
教師や支援に携わっている人たち全員に、この5つの“みる”が届けばいいなと思い記事にしました。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。