【小1の壁③/音読】うまく読めない理由を考える【読み書き支援法】
・音読がたどたどしい
・ひらがな、カタカナを書き間違える
・小1の文章読解問題ができない
これらは「音読」の力が弱いかもしれません。
【音読の重要性】
【ピラミッドの構成】
①読み聞かせ(音→文字)
②音読(文字→音)←今回はココ
③ひらがな(の書き)
④カタカナ(の書き)
⑤小1の言葉の意味(語彙)
⑥ひらがな・カタカナ混じりの文の読み
⑦小1の漢字
⑧小1の漢字・ひらがな・カタカナ混じりの文の読み
みなさんが小学校低学年の時、やたらと音読させられた記憶はありませんか。私のころは宿題に出されて、読んだ回数を「正」の字で記入させられた記憶があります。
大人になったら音読なんてしないのに、なんであんなにさせられたんだろうと感じてました。
実は、あの音読はとても重要な力をつける訓練だったんです。そのため、国語力の根底に位置しています。
【黙読できるようになるには音読の力が必要】
大人が読書をする際、音読で読みません。黙読します。なぜなら「頭の中で読む」ことができるからです。この力は小さいときに音読を繰り返すことによって鍛えられます。
何度も何度も音読することによって、文字を見ると頭の中に音が出て黙っていても読めるようになるのです。
この「頭の中で読む」ことができないと、読むのが遅くなったり、文章理解が難しくなってきますので、小さい時に出来るようになることが理想です。
そのため、小学校低学年の時に音読の宿題が出されるのです。
【音読を聞く際の注意点・着眼点】
音読を聞く際に注意していただきたいのは、読めない字をゴニョゴニョと「ごまかして」読んだり、「でんわ」を「れんわ」など、誤った音で発音していないかどうかという点です。
正しい音読をするには、以下の項目を理解していることが前提となります。
①音を正しく聞き取る
②その音の文字を正しく読める
③その文字を正しく発音できる
④その単語の意味を知っている
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①音を正しく聞き取る
そもそも「りんご」を「にんご」と聞こえている場合、音読させるともちろん「にんご」と発音します。その場合①に課題があるため、いくら努力をしても正しい発音ができません。発音に問題がある場合は一度耳鼻科で診てもらいましょう。音を聞き取る力は、読みの習得にも必要な力なのです。
②その音の文字を正しく読める
正しく聞こえているのに読み間違える場合、何度も練習をすれば改善されることの方が多いので根気強く音読をさせるのですが、まれにディスレクシアの子がいます。文字が正しく見えない、読めないのです。その場合は眼科や小児科で確認をしたあと、お近くの専門医を尋ねることをおすすめします。
③その文字を正しく発音できる
次に、正しく見えている、正しく読めているにも関わらず、口腔内の問題で正しく発音できない場合があります。その場合は言語聴覚士さんの指導が必要になります。これも言語聴覚士さんの指導の下、訓練でよくなることが多いので、早めに確認することが大切です。
④その単語の意味を知っている
そして単語の意味です。「りんご」が何かを知っていないと「り・んご」など変なところで区切って読んでしまいます。「りんご」が一つの単語であることを理解できているかどうかが正しく音読できることにつながります。
このように、実は音読にはさまざまな力が必要であり、何か問題がある場合はそれが何なのかを正しく知ることが必要なのです。
【音読に必要な力】
スムーズな音読、理解できている音読をするためには、3つの力が必要です。
①音の違いを聞き分ける力
②単語の意味を理解する力
③文の意味を理解する力
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①音の違いを聞き分ける力
聞く力が弱い子の場合、「さんりんしゃ」を「しゃんりんしゃ」と聞き間違えた時、
「“しゃんりんしゃ”じゃないよ、“さんりんしゃ”だよ」
と教えたところで、本人からすると
「“しゃんりんしゃ”じゃないよ、“しゃんりんしゃ”だよ」
と聞こえるので、何が違うのかわからず混乱してしまいます。
そういった場合は
「“さんりんしゃ”は3つタイヤがついているから“さんりんしゃ”って言うんだよ」
と、意味を含めて教えてあげると言葉が入りやすいです。
また、文字が読める子の場合は、「さんりんしゃ」と書いて教えてあげることも有効になるので、文字の習得が早い方が有利です。
②単語の意味を理解する力
この場合、語彙力に問題があるので、どんどん単語を教えることが重要です。出来ればお出かけしたり、体験をさせ物語=エピソードとして記憶させるのが定着率が高いのですが、それが難しいものなどはタブレットで映像を見せたり、一緒に写真が掲載されている本を読んで語彙力をつけさせます。
↓例:「こどものなまえ絵じてん」三省堂
地域の図書館に行けば、たくさんの本があるかと思いますので、一度確認してみてくださいね。
③文の意味を理解する力
文の意味というのは、主語と述語が何か、助詞や動詞の形によって文章の意味が変わることを理解することです。
例:Aちゃんが色鉛筆で紙に絵を描く
主語は「Aちゃん」述語が「描く」です。もちろん、主語や述語という言葉や概念は知らなくて大丈夫です。“誰のこと”か、“(その子が)何をしたのか”を理解しているかどうか、がポイントです。
「色鉛筆で」の「で」は道具を示します。しかし、この「で」は違う文では「公園“で”」というように場所を示す場合もあります。なので、文章の中でどういった意味を示しているのかを読み取らないといけないのです。
また、「紙に」の「に」は対象を示しています。何に書いているのかを表現しているので、ここも読み取らないといけません。
例:ジェリーがトムに追いかけられる
逃げているのはどちらでしょう? ジェリーですね。
しかし「ジェリーがトムを追いかける」になると、逃げているのはトムになります。
語順は変わっていないのに動詞の形(語尾)が「られる」と「る」では意味が変わることを理解する力が必要なのです。
【まとめ】
今回は音読の重要性を書きました。ついついめんどくさくって子どもの音読を適当に聞いたりしがちですが(私だけ?)、実は音読にはとても重要な力が必要で、それゆえあれだけ音読をさせられるということが伝われば幸いです。
この音読の力が弱いと、あとあと文章読解でついていけなくなったり、小3あたりで国語力に大きな差がついてしまいます。
お忙しいかと思いますが、根気強く音読に付き合ってあげましょう。
また、支援者の方にもヒントになることがあればと思って書きました。子どもたちの未来のために頑張りましょー。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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