【小1の壁⑦/漢字】語彙力と漢字力は呼応する
↓は小1で勉強する国語の内容です。
【ピラミッドの構成】
①読み聞かせ(音→文字)
②音読(文字→音)
③ひらがな(の書き)
④カタカナ(の書き)
⑤小1の言葉の意味(語彙)←今回はココと
⑥ひらがな・カタカナ混じりの文の読み
⑦小1の漢字←ココと
⑧小1の漢字・ひらがな・カタカナ混じりの文の読み←ココ
前回記事でひらがなとカタカナの読み書きについて書きましたが、小1の後半になると漢字学習が始まります。
小1で習う漢字は80字です。
教科書の本文も内容が深まってきます。
今回は、この辺りでつまずきやすい子たちの傾向と対策について触れていきます。
【語彙力の重要性】
突然ですが、「海松色」とは何と読むでしょう。
答えは「みるいろ」です。
漢字や色に興味がある方以外は、正しく答えられなかったかと思います。
ではなぜ読めないのか。
その色を知らないからです。
「海松色(みるいろ)」がどんな色かわからない、今まで聞いたことも見たこともないから読めないのです。
ちなみに、「海松色(みるいろ)」は下のような色です↓
なにが言いたいのかというと、
人間はその言葉の意味を理解していないと覚えないし、定着しないのです。
例えば、下の色は何という色で、どのような漢字を書くでしょう。
答えは「赤」と書いて「あか」と読みます。簡単ですね。
でも、これは「赤」が色の名前で、かつどんな色が理解しているから覚えているんです。
これを小1の子ども目線で考えると、「赤」を色の名前で、それがどんな色か知らなければ覚えられません。
なので、その言葉の意味を理解していないと、なかなか漢字は覚えられません。
また、無理やり機械的に「あか」と覚えさせ、読めるようになったとしても、その意味を理解していないと文章内で出てきた時に読解が出来ないんです。
つまり、漢字学習にはそれ以前の「語彙力」が必要なのです。
「上」とは何か「川」とは何かなど、小1レベルの単語の意味を理解していないと、漢字の定着が難しいです。
【語彙力をつける方法】
この語彙力をつけるには前回までの記事でも書きましたが「読み聞かせ」をし文字と音を一致させたあと、自分で簡単な絵本を読む、お出かけをしたさいに「あれは〇〇だね」といったように、実物と単語を結び付ける活動を行うなどがあります。
その後、その覚えた単語を利用してカードゲームなどで思い出させる遊びを行うことで、記憶に定着させる方法をとります。
私のところでは、ひらがなやカタカナのカードを使用してゲームをしたりします。
↓50音のカードの中から「を」を取ります。次に1枚親カードを抜き取り、それを真ん中に置きます(「ん」だった場合は抜きなおし)。残りの全てのカードをそれぞれに配り、5枚だけ並べます。
親カード「せ」でゲームスタート。頭が「せ」で始まり、自分の手札にある言葉が最後にくる単語を考え、思いついたらその単語を言いながら手札カードを重ねます。
手前が自分だとして、自分の手札は「み・あ・く・お・や」です。
この5文字の中から「せ」で始まり、「み・あ・く・お・や」のいずれかで終わる単語を考えます。
小学校低学年であれば2文字の単語で十分です。
この場合、「せみ」と思いつき、「み」を親カードの上に重ねます↓
なので、今度は「み」で始まる単語を考えます。
相手側が「みぎて(右手)」と言って「て」のカードを出すとこのようになります↓
これを繰り返し、手札が先になくなった方が勝ちというゲームで、意外と盛り上がります。
私の場合、このゲームに入る少し前に「〇分後にこのゲームをするから、それまでは記憶タイム!」と言って読書の時間を設けます。
そこで辞書なり絵本なり、その子に合った活字媒体から単語を吸収させるのですが、意外とみんな必死に言葉を覚えようとするのでオススメです。
【漢字の覚え方】
ある程度、語彙力がついてきたら、いよいよ漢字学習です。
小1漢字でつまずく子の特徴の一つに、「線がどこから始まり、どこで終わるのかがわからない」「この線が途中で切れるのか繋がっているのかわからない」という点があります。
例えば、「水」だと、左側のカタカナの「フ」みたいなところは1画で書くのか2画で書くのかわからない、といった具合です。
そこで、小1漢字でつまずいている子の場合、私はひらがなやカタカナの時同様、下のような書き順が色分けされているものを使用します。
↓こんなやつ。これは原本
これを拡大カラーコピーしラミネートしてカード状にします↓
で、この漢字をまずは指でなぞらせ、線の始まりと終わり、繋がりを体感させたあと、実際の書き取り練習に入らせます。
LD傾向がある子でも、この方法ですと覚えやすいようで前向きに取り組んでくれます。
ちなみにこのドリルはコレです↓
他に漢字の筆順がカラー掲載されている、一般的な書店で入手できる問題集があれば教えていただきたいです。
【漢字の書き方】
漢字の中にある「止め・はね・はらい」などは、文化庁が「字の細部に違いがあっても、その漢字の骨組みが同じであれば、誤っているとはみなされない」と正式に発表しており、
例えば下にあるように、木の2画目がはねていても間違いとは見なされないのです。
(参考:文化庁「常用漢字表の字体・字形に関する指針(報告)について 」)
時々、いまだにこういった細かいところにこだわって採点している学校の先生がおり、そこで漢字学習に自信をなくしている子どもたちがいます。
そういった際は、この内容を伝えて自信を取り戻させ、再び漢字学習に取り組めるような配慮をしましょう。
【漢字力の確かめに】
■漢字カード
漢字と読み仮名が表裏になっているカードを使います。
まずは漢字の方を見せる(ふりがな付き)↓
何枚かまとめて見せたあと、読み仮名面を見せ、漢字を書かせます↓
画像を入れることで記憶のフックを作っておきます。
■漢字の書き取りテスト
ある程度学習が進んできたら、下の「漢字プリント」という冊子でテストをして定着度を測ります↓
この教材のいいところは、その該当学年で勉強する漢字が見開き数ページ(見開き1~4ページ)で網羅されている構成になっているところです。
「このページを全部覚えたら、この学年終了!」というのがわかりやすく、子どもたちも達成感があるようです。
ただ、一つ欠点がありまして。
フォントが恐らく「教科書体」なんですよ。
特性のある子の支援をされたことがある方でしたらご経験があるかと思うのですが、特性のある子は教科書体や明朝体を読むことが難しいんですよ。
また、この問題集の文字間は詰まっているので(恐らく見開きに収めるためだと思うのですが)、特性のある子はまずパッと見て嫌がります。
なので、私はUDフォントに打ち直したプリントを作成し、それで解答させています↓
文字間とフォント大事。
【さいごに】
これまで小1の国語の壁について書いてきました。小1の壁にぶつかってつまずいている子を目の前にした時、簡単な内容すぎて逆にどのように支援したらいいのかわかりにくいこともあるかと思い記事にしました。
ここできちんとこのピラミッドを登っておかないと、小3の壁にぶつかった時に越えられなくなります。
コツコツと日々の支援、お互いに頑張りましょー。