【小1の壁④】小1算数の「いくつといくつ」は超重要【序数性と基数性とは】
以前支援していた子(仮にAちゃんとします)で実際いたのが、ゲームのUNOはできるのに大富豪ができない子がいました。
UNOは同じ色か同じ数字を出すゲームです。
大富豪は出されているカードの数字より大きい、もしくは小さいカードを出すゲームです。
UNOをしている時は、Aちゃんは間違えずにカードを出せます。つまり視力や数字の認知に問題はないということです。
が、大富豪ではAちゃんは場に「10」のカードが出ている時に、「5」を出したりします。つまり、10と5のどちらが大きいかを理解していないのです。
これは数の概念である「基数性」を理解していないということになります。
【数の序数性・基数性って何?】
【小1~小3で学ぶ計算の単元】
①数処理(数の三項関係)
②数概念(序数性と基数性)←今回はココと
③1桁の足し算 ←ココと
④1桁の引き算 ←ココ
⑤2桁+1桁の足し算
⑥2桁ー1桁の引き算
⑦繰り上がりの足し算
⑧繰り下がりの引き算
⑨足し算の筆算(ここから小2)
⑩引き算の筆算
⑪九九
数概念とは、「序数性」と「基数性」から成り立っています。
▼序数性:何番目?何個目?という概念。順序。
継次処理能力を元に発達します。一般的に、数詞を覚えたあとに序数性を獲得するとされています。
例)〇 〇 △ 〇 〇 三角は左から何番目?3番目。
▼基数性:だいたいこれくらい、という概念。数量。
同時処理能力を元に発達する量の感覚です。
↓上が5だったら、下はその倍ぐらいだから10だね、という概念。
↓継次処理能力、同時処理能力についての関連記事↓
例えば、下の写真を見て
通常はパッと見て「3人」と答えられますが、「1、2、3・・・3人!」とひとつずつ数える場合は、基数性が育ってないということです。
基数性が育ってくると、モノを数える時に「2、4、6、8」とまず2刻みで数えられるようになります。
そして基数性がもっと身につくと「5、10、15、20」と5刻みで数えられるようになるので、数の把握が早くなりますし、計算も正確になります。
【序数性と基数性が育っていないとどうなるの?】
小1の単元で「10までの数」の次に「いくつといくつ」があります。5は2と3からできているっていうヤツです。
序数性と基数性が育っていないと、順序と数量の区別が不十分なため、「いくつといくつ」の単元の理解が難しくなります。
が、この「いくつといくつ」の単元って、あっという間に終わるんですよ。なので、理解していない子は次の単元である一桁の足し算・引き算でも指を使わないと計算できなくなるんです。
繰り上がりや繰り下がりのない計算でも指を使っている子は、この序数性と基数性、すなわち順序と数量の概念が弱いので、ご家庭であればお菓子など家にあるもので練習するのが一番です。
↓3と3で6だね、的な。
事業所で学習支援をなさっている方は、実物で学習させるのが難しいかと思うので、下のような「いくつといくつ」の問題プリントを繰り返し行うのがベターです。
私は、〇で表記している問題の見開きに、同じ個数の数字の問題を記載し、全部解答したあとに確認させたり、数字だと理解しにくい場合は左の〇の問題を見せて理解させたりしています。
10になると桁が2桁になりますが、この桁数の理解が追いつかない子がたまにいます。
そういう子の場合は、位取りの概念がまだ入っていない可能性があるので、前回おすすめした百玉そろばんや数字盤などを使って、位取りの感覚をつかませましょう。
↓くもん:百玉そろばん
↓くもん:数字盤
この位取りの力が十分でないと、次の2桁の計算が正しくできなくなります。
【一桁の足し算と引き算】
前項までの
・10までの数の順番(1<2<3<4・・・<10)
・10の構成(足したら10になる組み合わせ。2と8、4と6など)
を理解しないと、一桁の足し算引き算の解答が遅くなります。
ポイントはここです。「遅い」んです。「出来ない」のではないんです。遅いけど、解けるからいっか、になりがちなんです。
そこで見過ごしてしまうと、次の単元である2桁の計算のところで思いっきり遅れてしまいますので、「いくつといくつ」の練習をします。
一桁の足し算引き算が「暗算」でできるようになったら、二桁の足し算引き算に入るのがベストなのですが、
一桁の暗算が出来ない子は、一定数存在します。
限局性学習症/SLD(学習障害/LD)もしくは知的能力障害/ID(軽度知的/MR)の可能性が高いので、可能であれば専門医に診てもらうことをおすすめします。
以前、支援していた子でIQ88ですが一桁の計算で指を使う子がいました。その子は小1後半から不登校でした。計算だけが非常に困難な子でした。早くに発見できていれば支援が入ったのでしょうが、不登校だったため見過ごされてきたパターンでした。
具体的な支援方法は、プリント類ではなく、まずモノを見せて足し算引き算の概念を実体験させ、理解させることです。
私はいつも、上記の百玉そろばんや、下のようなパーツを使って見せます。
計算は繰り返し行う訓練によって、早く正しくできるようになります。一桁の足し算引き算がスムーズに計算できるようになるまで、根気強く支援していきましょう。
【まとめ】
今回は小1算数の「序数性と基数性」と「一桁の足し算引き算」についてまとめました。繰り上がり繰り下がりの計算でつまづいている子どもたちも、元をたどればココでつまづいている子が多かったです。
算数の根底になるところなので、しっかり身につくまで根気強くサポートしていきましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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