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私のビエネッタ
箱に入ったビエネッタ。最近スーパーでよく見かける。
どんな季節でも、ばあちゃんの冷凍庫にはいつも
大きな青い箱のビエネッタが入っていて
私が良い行いをしたり、成績がいいと台所に呼び出して大きなビエネッタに私の為だけに包丁を入れてくれた
それはまるでお誕生日のケーキにも、結婚式のファーストミートにも似ていて、子供なりにも
ビエネッタを貰える自分が少し大人になったような気分にさせてくれた。
ビエネッタは青い箱の中にケーキの様な長方形の宝石が入っていて、傷つけないようにそうっと箱から出すのも、パリパリのチョコを大事に切るのも全部わくわくした。
おかわりはダメだったけど、1切れの大きさは決めさせてくれていた気がする。
「お母さんには言わなくていいからね」
「残りはまた食べにおいで」
と言いながら、口いっぱいにほおばる私を
にこにこしながら見つめていたばあちゃんを思い出す。
気づくとミニサイズビエネッタがかごに入っていた
私のnoteは、ふわっと思い出した、けど大声で言うようなことではないなぐらいのお話がメインなのだけど、こんなにもばあちゃんの話でいっぱいで
呆れたばあちゃんがまた、照れて笑っていそうだ
そんな事を思いながらお風呂に浸かって
そんなことを思いながらビエネッタをひとくち。
狭い台所と四角い小さなスプーン
大きなビエネッタは、今の私には手が出せない値段で、でもばあちゃんちにはいつもあった。
いつ行っても前と大きさは変わっていなくて
私のためのビエネッタだった。
いつか大きなビエネッタを、自分のために
迷いなくかごに入れることが出来るくらい
大人になれたら
またあの日の台所を思い出すだろう