2日目のカレー
一人暮らしを始めて約1年と5ヶ月。
初めてカレーを作った。
初めての料理の代表といえば、卵焼きかカレーライス
一人暮らしももちろんそれに該当するかと思いきや、意外にもカレーは手間がかかると知り、避けてきた。
カレーライスといえば、国語の教科書にも乗っていた、重松清のカレーライス
断片的にしか覚えていないけど、2日目のカレーをその時に知った記憶がある。
子供ながらに、カレーを作ると次の日まで夕飯がカレーになるという日本の常識にもなりつつある現実を教えてもらった。
我が家のカレーライス
カレーライスの材料といえば、お肉、玉ねぎ、にんじん、じゃがいも…それぞれの家庭でのアレンジがあるだろうが、我が家のカレーはちょっと変。
玉ねぎは絶対に入っていません。
なぜなら父が玉ねぎを嫌っているから。
父は玉ねぎだけでなく、ニラ、長ネギなどのねぎ類が苦手で、餃子もニラ無し、シチュー、カレーは玉ねぎ無し、ハンバーグにも玉ねぎ無し。
その反動でか、私と母は飴色に炒めた玉ねぎがだーいすき。
料理を覚えたての小学生の頃に、私は玉ねぎを入れたハンバーグを作ってしまった。
褒めてもらう気満々で父の前に出された楕円形のハンバーグは、綺麗な楕円形のまま冷めていく。
手をつけて貰えなかったハンバーグ。
小学生には十分すぎるほど残酷な思い出の1つ、、
それから、どうしても玉ねぎが食べたい私と、
玉ねぎの姿も見たくない父との戦いが始まる。
玉ねぎを買う機会はほとんど無かったが、たまに事情を知らない人からおすそ分けで頂いたりすると、
カレーやハンバーグは、まず玉ねぎ無しの父の分を作る。
父に出したあとで、私と母の分の玉ねぎを別で炒めて、後から玉ねぎ無しの料理と一緒に食べるのが、我が家の特殊な玉ねぎメニューである。
我が家ではそれが普通だったが、やっぱり給食や人の家で食べるものと美味しさが全然違う。
その違いを知れば知るほど、私は玉ねぎが大好きになっていった。
一人暮らし。思う存分、ネギもニラも玉ねぎも使える。
一人暮らしになり、初めて玉ねぎが目に染みる感覚がちゃんと分かった。
大好きな玉ねぎを自由に食べることが出来るが、
少し父を思い出して、寂しくなる。
明日のカレーは2日目のカレー。
美味しくいただきます。