急にバイクに乗りたくなってきたので色々見て欲しいバイクを決めてきた
まさかバイクに興味を持とうとは。
自分には一生縁が無い世界かと思っていたのに、急にバイクという乗り物に乗ってみたくなって色々と実車を見てきたので、後で自分で読み返すメモを兼ねて今の感想を記録しておこうと思う。
きっかけ
前提として、僕は乗り物を自分で操縦するのはとても好きな人間で、普段の生活でも公共交通機関ではなく積極的に自分の車に乗って移動している。乗り物の加減速や旋回が自分の意思と関係なくやってくるのが苦手で、乗り物の挙動が自分の操作と連動していないとなんとなく心地が悪く感じてしまう。
乗り始めて7年半になる四輪の趣味車のロータスエリーゼは軽自動車並みの軽量な車体をマニュアルトランスミッションとノンパワステのステアリングで路面の質感を両手で感じながら走る趣味性の高いスパルタンなスポーツカーで、バイクに近い乗り物とも言われているらしい(バイクに乗った事が無いのでその真意はよくわかっていない)。
そんな路面を舐めるように走るバイクのような趣味車で5万キロほど日本を駆け回っている人間なのでバイクにも興味が多少なりともあるんじゃないかと思われるかもしれないけども全くそういう事は無くて、正直なところあまりに興味が無さすぎて50ccの原付も1,000ccのスポーツバイクも全部同じに見えていて違いが分からなかった側の人間だった。
かろうじてバイク乗りの妻と結婚した事でバイクには色々な大きさがあって足つきとか変わってくるんだな〜ぐらいには認識していたけれども、それでもバイクの種類は全く分からないままだった。
乗り物が好きでも、バイクには一切興味が無かった。
春に妻が2台目のバイクにロイヤルエンフィールドを買う際にディーラーに付き添いで行った時も、全部同じバイクに見えて増車する理由がピンときていなかった。今思えば110ccに加えて350ccを増車するのは使い分けできて便利そうなのが分かるけど、見た時は「同じバイクじゃん!」という感じだった。
正直バイクに興味が無い一般人からしたら認識はこんなもんだろう。
バイクはどういう形状が格好良いか全く自分の中での基準が無かったので、全部同じ乗り物に見えていた。
そんな僕がバイクに急に興味を持ったのは、ふと思い立って昔のドラマを見たのがきっかけだった。
2012年に放送された「リッチマン、プアウーマン」は若くしてITベンチャーを大成長させた日向徹を小栗旬が演じるドラマで、当時情報系の大学生としてリアルタイムでITベンチャーに関わっていた身としては相当な憧れがあったし、小栗旬演じる社長のあまりの格好良さに痺れていたのは今でも覚えている。
そのドラマがふと懐かしくなってしまいFODで無料公開されていた第1話を見たところ、颯爽とバイクで現れて高層ビルにバイクで乗り付ける小栗旬がやけに格好良く見えてしまった。
リアタイで見ていた当時はバイクどころか車の車種もよく知らず、バイク以外にも色々な車を持っている設定の社長がなんかレクサスに乗ってるなぁ程度にしか思っていなかったので、小栗旬が乗っていたYZF-R1が全く印象に残っていなかったのも無理も無い(エリーゼには昔から憧れていたけどもエリーゼ以外の車には驚くほど興味が無かった)。
「なんか黒いかっこいいバイクに乗ってるなー」ぐらいにしか認識していなかったので調べてみたら、ヤマハのYZF-R1というバイクらしい。
R1はどうやらスーパースポーツというカテゴリで、バイクでありながら4気筒のエンジンを積んでいて、現行モデルは200馬力もあってめちゃくちゃ速いらしい。
バイクの加速が四輪とは比べものにならないほど速いのは知っていたけど、マクラーレン750Sのように0-100kmのタイムが3秒を切るスーパーカー並みの加速性能を備えているだけでも凄いのに、車両価格が215万円というのはもう異次元すぎる。
長らく四輪スポーツカーの世界に引きこもってきた住人からしたら軽自動車並みの価格でスーパーカー並みのパフォーマンスは詐欺を疑うどころではないのだけども、どうやら二輪はそれが可能らしい。
これは趣味の世界として面白そうだなと思ったけども、この時点ではまだ「小栗旬がR1に跨ったら格好良い」事ぐらいしか分からず、どんな形状が自分の好みに合うのか、格好良いと感じるのか、白紙の状態だった。
小栗旬補正が大きいのか、R1が自分の好みの形状なのか、よく分からなかったので手当たり次第に色々なバイクのメーカーのサイトを見てみる事にした。
どうやらバイクもイタリア車が好きらしい
色々とバイクを眺めていると、MVアグスタというメーカーが目に入った。イタリアのメーカーらしい。
独創的な3本出しマフラーはまるで楽器のようで、かなり刺さるスタイリングだった。
四輪もイタリアンデザインが好きで普段乗りの方の車をアルファロメオにしているので、どうやら二輪と四輪の壁を越えてイタリアのデザインは自分を魅了してくる事が分かった。
ラインナップを見てみると、ツーリングに特化した「Turismo Veloce」というモデルがあるらしいので見てみた。
どうやらこのような形状のバイクはカテゴリ的に「アドベンチャーバイク」と呼ぶらしい。バイクはクラシックなやつとスポーティなやつがあるぐらいにしか認知していなかったので、そういったカテゴリがあると知れただけでもちょっと面白かった。
余裕のあるパワーと長距離をサポートする充実した装備で、様々な路面でロングツーリングをこなすバイクらしい。四輪の車で言うSUVにGTカーの要素を乗せたような感じなのだろうか。
エリーゼでは友達と2000〜3000kmのロングツーリングばかりしていた身としては、大型のアドベンチャーバイクは魅力的だ。特に昨年北海道へ移住してきた事もあって、乗り物で駆け抜けられる道は無限に広がっている。
また、同じイタリアのバイクだと、より有名なドゥカティにも競合製品があるらしい。
ドゥカティの方は乗り降りの際は自動で車高が下がったり、レーダークルーズコントロールで前の車に追従して速度を合わせられたりと、より至れり尽くせりなようだ。
スタイリングではMVアグスタが好みだけども、製品の仕様を見るとなかなか惹かれるものがある。
どんな造形のバイクが格好良いと感じるかあまり理解していなかったけども、イタリアのバイクは好みに近いものが多いというのは分かった。
道の駅でZ125 PROのサイズ感に心を奪われる
北海道へ移住してきて、オロロンライン沿いの道の駅で知り合ったバイク乗りのおじさまたちとたまにお喋りしに休日の早朝に走りに行くようになったのだけど、たまたまバイクが気になり始めていた頃にいつものように道の駅へ足を運んでしばらく話していると、後から小さなバイクがやってきた。
カワサキのZ125 PROというバイクで、全長1700mmしかないらしい。このサイズ感に一目惚れしてしまった。
あいにくカワサキのこのカラーリングは好みではなかったのだけども、このカテゴリのバイクがめちゃくちゃ欲しくなってしまった。
国内だとホンダのグロムというモデルが近い車格らしい。独特な平面を接ぎ合わせたようなデザインの世界観は良いなと思ったものの、先述したイタリアン陣営のような魅惑とは異なるジャンルの乗り物だなと感じた。
イタリアにもあるらしい
Z125 PROのサイズ感に感じた愛着と、イタリアンなスタイリングを兼ね備えたバイクは無いのかなと調べてみたところ、どうやらあるらしい。
イタリアのベネリというメーカーが、TNT 125という同じ125ccクラスの小型バイクを出していた。
ベネリ良いじゃん……
コンパクトな車格でありながら、立派なトレリスフレーム(このバイクで知った用語)に2本出しのマフラー、一体型のテールライト。形状からして高剛性とスポーティな走りを彷彿とさせるデザインで、正直こういうのは大好物です、といった感じ。
コンパクトで高剛性な乗り物という点は自分のロータスと通ずる所があるし、エキゾーストやテールの造形に込められたスポーティさとエレガンスの絶妙な塩梅はアルファロメオに通ずるものを感じて、これはなかなか一台目としてぴったりの相棒なのかもしれない。
幸い札幌市内に取り扱っているディーラーがあったので、MVアグスタとドゥカティの目視も兼ねて見に行ってみた。ベネリのTNT 125もちゃんと実車があったので、跨らせてもらった。
これはドンピシャかもしれない。相棒になりそうな予感がした。
どうやら日本の代理店は公式サイトの画像更新をサボっていたようで、今の新車はトレリスフレームが赤から黒に変わっているらしい。剛性感を視覚的に感じられる要素が薄れたのは寂しいけど、これもこれで好き。
ホイールとボディのステッカーがちょっと運動靴っぽさが増しているので実車見つつカスタムしても良いかもとは思ったけど、これだけ小さい乗り物ならDIYでカスタムもしやすいだろうし許容範囲内だと感じた。カウルも外して家で簡単にラッピングできそう。
ただTNT 125はコンビブレーキになっているらしく、リアブレーキを使うとフロントも軽くかけてくれる仕様らしい。街乗り用の安全装備らしいけども、旋回ではフロントが巻き込んでしまって邪魔だそうだ。この点は評判を調べていて気になっていた。
ディーラーで聞いてみるとこのコンビブレーキはお店で対処できるとの事だったので、実際に乗ってみて気になったら工賃を払えば解消できる内容だと分かって一安心した。
こういった手中に収まるコンパクトなバイクの醍醐味は二輪の挙動を安全な速度域で経験できる所だと思うので、やっぱり買うからには前後それぞれのブレーキを操作したらどういった姿勢制御ができるのかを習得したい。コンビブレーキがその障壁になるようであれば取り払ってもらうのが良さそうだ。
というわけで唯一の懸念要素は対策できそうなので、一台目の相棒はベネリTNT 125になりそうだ。北海道では積雪で冬季には二輪免許が取れないので、春になったら免許を取りに行こうと思う。
ベネリと対になるバイクの候補
ベネリTNT 125は一台目として買うとして、非力で荷物も乗らないちっこいスポーツバイクは今までエリーゼでやっていたようなロングツーリングや長旅には向かなさそうなのはバイク素人の自分でも分かってきた(そもそもロータスで何千キロも走るのも中々に逸脱した行為ではあるのでベネリも行けるかもしれないけど)。
妻もバイク二台でキャンプやツーリングに行きたいと言っているので、今のうちにステップアップ先のバイクの候補を考えておいても損はなさそうだ。
四輪においても走りを味わう際たる車のエリーゼ・家族や友人を乗せて日常を豊かにできるジュリエッタの二台を使い分ける事でそれぞれの良さが上手く引き立っているなと日頃感じているので、対になる二台を考えるというのはバイクにおいても(というか四輪よりも車種の得意不得意がはっきりしているバイクでこそ)有用だろう。エリーゼとジュリエッタのコンビもかれこれ6年解消されずに続いているので、我ながら良い組み合わせをしたなと思う。
当初に見た目に惹かれて気になっていたMVアグスタのTurismo Veloceは色々なバイクを見ていてサイズ感的に大きすぎるジャンルの乗り物だなと思ったのと、札幌のディーラーで聞いたところ新車はもう取り扱いをやめてしまうので手に入らなさそうだ。
同ディーラーで見たドゥカティも同じ印象で、大型アドベンチャーバイクは乗れたとしても気持ち良く乗れるフェーズにはまだ居ない(普通二輪免許の教習に行っていないどころか原付も乗った事がないので当然)だと感じた。
そういえば友人の5メートル越えのアストンマーティンを一日運転させてもらった時は運転自体はすごく気持ち良いなと感じた一方で、今の生活には今の自分の車が一番気持ち良くフィットしていて、あのフィーリングの気持ち良さを引き出せるのは今ではないなと感じている。ちょうど今朝も妻を連れてジュリエッタで美味しいモーニングの店を札幌市内で開拓していて、この車の1800mm幅辺りがこの手の隠れ家的なお店を探るには上限だなと感じていたところだ。
そのジュリエッタも最初は車幅感覚がすごく掴みにくい車で、もっと早い段階で乗っていたら今ほど謳歌していなかっただろうなと思うし、入り組んだ狭い道の先の店を開拓する気にはならなかっただろう。乗り物にはそれを楽しめる最適なスタート地点というものがあるのだろうと思う。
バイクに話を戻すと、イタリア車に気を取られてあまり見ていなかったイギリス車のトライアンフが少し気になっていた。
サイトでデイトナ660という最近登場したバイクの画像を見て、この手のスポーツバイクで一番惹かれるなと思った。絶妙な色合いと綺麗な面の使い方で、好みのスタイリングだ。
アドベンチャーバイクのTIGER SPORTシリーズも少し気になってはいたものの、メインはデイトナ目当てでトライアンフのディーラーにも足を運んでみた。
しかし実際の車両を見てみると、デイトナ660は違うなと感じた。なんというか、すごくプラスチッキーに感じてしまう質感で、自分の趣向には合わなかった。
バイクは四輪の車よりも実物と画像のギャップが大きい。本当に印象が違うなと思った。
一方で、意外にも気に入ったのがSPEED TWIN 900だった。
妻はクラシカルな見た目のバイクが好きでロイヤルエンフィールドのメテオというバイクに乗っているのだけども、それを日常的に見ていて物欲をそそられるものが無かったので意外だった。丸目のバイクは眼中に無いと思っていたのが、これの実物を見たら良いなと思ってしまった。
SPEED TWIN 900は質感が良く、本物のステンレスが演出する雰囲気が圧倒的に良かった。今まで何店舗か見てきたバイクの中でも異質の存在だった。四輪でこういったステンレスの質感を感じられる乗り物は少ない。デロリアンを頑張って維持している友人がいるけども、あのレベルまで行かないとステンレスの質感を身近に感じるのは四輪では難しい。
クラシカルな見た目に質感が加わるとこうも世界観を作り上げられるのかと、ちょっと感動してしまった。
今すぐ欲しいにはならなかったけども、バイクに対する価値観が変わった体験だった。
トライアンフを覗いてきたその足で、妻がロイヤルエンフィールドを買った店にも立ち寄ってみた。
そこで売られていたMuttというメーカーにも興味を惹かれた。
Muttはカスタムバイクの世界観を手の届く価格で作っているメーカーらしいけど、色々なバイクを見て回った後にこれを見るとすごい。質感から伝わってくる世界観のレベルがかなり高いなと感じた。高級感とはまた違うのだけども、世界観がすごい。
その日の朝まで丸目のバイクに全く興味が無かったのに、質感を伴った丸目のバイクの世界は本当に惹かれるものがあると感じた。面白い。
ロイヤルエンフィールドのアドベンチャーバイクであるヒマラヤ450もあったので、これにも跨らせてもらった。
全くノーマークの車種だったけども、これが思いの外良い感じだった。
ヒマラヤ450はその名前の通りヒマラヤ山脈の急勾配を登れる性能を幅広いライダーが乗れるサイズで実現しているというコンセプトの二台目モデルらしく、コンパクト高性能が大好きな自分に刺さる車種だった。
意外とメーターがハイテクで、円形モニターの中にGoogleマップのデータを用いたナビゲーションを表示できたり、備えられた充電端子もUSB type Cだったりとガジェット好きの心をくすぐられる装備を備えていた。
丸目というだけでこんなに素晴らしいコンセプトのバイクを見落としていたのは勿体無かったなと感じるバイクだった。
125ccのベネリが物足りなくなり、大型二輪の免許を取って大型バイクを増車する時が来たら是非検討したい一台だと感じた。
まとめ
1ミリも興味が無かったバイクも、些細なきっかけでこうして色々見ていくと何が好みなのかが少しずつ明らかになって面白い。
札幌は雪の降り始めの季節でこれから本格的な冬を迎えるけども、既に雪が溶けて春にバイクに乗れるのが楽しみすぎる(冬は冬で楽しい四駆の乗り物が欲しくなるし、それはそれで遅かれ早かれ手を出しそう)。
こうやって文字に書き出して振り返ってみると、最初に小栗旬が乗るR1に感じた漠然としたバイクの格好良さから、イタリア車のスタイリング、イギリス車の質感を見て回って、最終的に自分が具体的に買いたいと思うバイクにまで落とし込めたのは中々に面白い体験だった。先輩バイク乗りとして色々なお店を案内してくれた妻と、親切に実車を見せていただいた各店舗スタッフの方々には感謝している。
TNT 125、早く乗りたいなぁ。
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