「鬼滅の刃」からEQを学ぶ
昨年2021年は124年ぶりに2月2日が節分だった年です。そして2020年は鬼滅の刃が社会現象化した年でした。このコロナ禍においてなんだか「鬼は外」が鍵になっている感じがします。
さて、本題に移りますが、アニメは日本文化の象徴とも言えます。また、「鬼」の文化も悪魔と異なり日本独自の文化と言えるでしょう。こうした点も踏まえ大ヒットした「鬼滅の刃」からEQを学べないかと思ってみたところ、丁度いいシーンを見つけました!!
ということで、今回は「鬼滅の刃」からシーンを取り上げて「心の知能指数=EQ」の学びを考えてみたいと思います。
本作品の主人公である竈門炭治郎は、作品の最初から逆境や苦難に立ち向かう非常に高い力(=レジリエンス)を発揮していましたので、EQの高いチャラクターだなぁと思っていました。そして決定的にEQの高さが感じされられたシーンは、まさに大ヒット映画となった「無限列車編」の直前となる蝶屋敷でのシーンに有りました。
竈門炭治郎、嘴平伊之助、我妻善逸が蝶屋敷での静養を終え、次の任務に向かおうとする直前のことです。
炭治郎がカナヲにお礼と別れを告げるシーンの会話から炭治郎の言葉を借りてEQとの関係に触れたいと思います。
「カナヲは、心の声が小さいんだろうな」
この時のカナヲは幼少期の経験から「全部どうでもいいから」という心の持ち方になり、心の声がとても小さくなっていました。心の声が小さいと感情の起伏が小さくなり感情が表に出ず希薄な印象を与えます。相手によっては感情が掴めず得体の知れない印象を与えるかも知れません。
「指示に従うのも大切なことだけど」
これは現代においても大切なことを伝えています。日本企業の多くではヒエラルキーの中で上司の指示命令は絶対であり、指示に従いマニュアル通りに仕事をすることが正しいとされてきました。その結果ビジネスパーソンの多くは自分の声を聞くことが減りEQが低くなっています(詳しいエビデンスは→ https://6seconds.co.jp/eq-articles/magazine-180507)。
従業員が指示に従うことしか出来ないと主体性が育たないために、リモートワークで仕事が出来ない人が増え、これからの時代において生産性を高めることが難しくなります。
炭治郎は指示に従うだけでは不十分で、自分の心のままに生きることも大切だと伝えています。
「カナヲがこれから 自分の心の声をよく聞くこと」
EQの能力開発は、心の声を聞くことから始まります。言い換えると自分の感情に意識を向けるということです。
心の声を聞く(感情に意識が向く)ようになると自分が
「何を好むのか?」「何を大切にしているか?」
「何にワクワクするのか?」「何が不安なのか?」
が鮮明になり、その場の判断ができるようになるでしょう。
また、例えば「悔しい」という感情は逆境を跳ね返す強い行動力を与えてくれます。苦しいトレーニングを続け、より強くなったり、勉強を頑張ったりと行動のためのエネルギーを与えることができるようになります。
「自分の心の声をよく聞くこと」は、感情知能を高め、感情を活用し、より強い行動力を手に入れる第一歩なのです。
「人は心が原動力だから 心はどこまでも強くなれる」
そう「人は心が原動力」なのです。私たちTHdesignが所属するEQグローバルコミュニティのシックスセカンズにも「Emotion drive People」(感情が人を動かす)と同じことを伝えています。
そして「心はどこまでも強くなれる」のです。EQも後天的に開発が可能な能力だと定義づけられていて、実際にEQを開発することは、レジリエンスを高めたり、心を落ち着かせる方法を得たり、心を強くすることに繋がっています。
一方で、鬼滅の刃で描かれたように切れ味鋭い刀は、鬼の首を切る強い側面を持ちながら、横から叩かれると簡単に折れてしまいます。人の心も同様に鍛え抜かれた強い刃であっても非常に脆くデリケートな側面を持っています。そこで、傷ついた剣士が藤の家紋の家や蝶屋敷といった安心安全が確保された場所で十分な静養を取っていたように、私たちの心を強くするためには同様に十分な休息や安心安全な場の確保も大切です。
「人は心が原動力だから」=「Emotion drive People」 人は思考で行動を起こすのではなく、感情で行動を起こすことを私たち日本人は知っていて、西洋の科学もそれを証明しています。
「裏が出ても表が出るまで 何度でも投げ続けようと思ってたから」
炭治郎らしい実に楽観的な捉え方だと思います。「何度失敗してもやり続ければいつか上手くいくよ」という楽観性が発揮されたメッセージのように感じました。
一回で表が出せたことから「強く願えば願いは叶う。結果が得られる」というメッセージがあるように思いました。そして、先に述べたように「何度失敗してもいつか上手くいく」こうした心の持ちようをEQでは「楽観性」と言います。その楽観性が発揮されていると運すらも引き寄せる。そんなメッセージがここに現れていたように思います。
炭治郎は、同期のカナヲを気にかけ、僅かな時間ですが強い心のエネルギー(=感情の力)でカナヲの心を開かせ、心を強くする第一歩を踏み出させたのです。
カナヲが心を原動力にできるようになったことは、無限城における童磨との闘いに現れています。
では、今回は2020年後半に社会現象化した「鬼滅の刃」から「EQ」を学ぶことをテーマに書いてみました。こうしたEQと日本文化の融合も氣究(KiQ®︎)で伝えていきたいことです。
*画像はわざとボカシています。気になる方はマンガやアニメをご覧ください。
ちなみに、サロベイとメイヤーの二人の博士によってEQ理論がはじめて論文に纏められたとき、東洋思想を取り入れたとされ、中でも「武士道」が参考にされました。明治初期の剣士たちを描いた「鬼滅の刃」とEQの世界観は重なる部分が多いのかもしれませんね。