「次なる100年」読書メモ
かなりの大著で辞書ばりの分厚さでした。図書館で借りました。
返却期限もあり、ところどころを読み飛ばしましたが、トータルでは非常になるほどー!と思える内容でした。
ものすごいざっくりいうと、中世までは多くの人にとって現世が辛い日々の繰り返しで、天国に向けて現世を耐えるという生き方で、中世から近代は、神に代わって資本主義が台頭してくる。禁止されていた利子を取るのが認められたところを資本主義のスタートとしています。
それによって今を耐えれば、未来の生活は良くなる、という構造になり(今お金を使わず貯金すれば利子がちゃんとつく)それが現代まで続いてきました。
日本でも、戦後から明日はもっと豊かに、という中で高度経済成長などを成し遂げてきました。
それが、ゼロ金利になると、今の生活を未来に先送りしても、将来は豊かにならないという時代になった、と。(今を楽しむのを我慢して貯金をしても、ゼロ金利なので10年後にもお金は増えない)
金利がゼロになるというのは13世紀ぐらいから続いてきた資本主義の大転換期であり、もう豊かさのゴールに達成した日本やドイツなど(ゼロ金利国家)は今を犠牲にするのではなく、今を楽しむような暮らしにすべき、という内容だと感じています。
無限のお金集めという時代は終わって、これからは芸術や、今を楽しむような生き方に変わってくる、と。
山口周氏の「ビジネスの未来」でも、ビジネスの役割は終わったと言っていますし、見田宗介氏の「現代社会はどこへ向かうか」でも高原社会に到達したと言っており、資本主義によって日本など一部の先進国ではそのゴールに達したと言っていますし、非常に共感します。
ただ、その先のビジョンが日本にはないため、経済成長が全てを救うという掛け声のもとで、引き続き経済成長至上主義を掲げ、格差拡大などのひずみが増えているようにも感じます。
一方で個人的には株式投資もしており、こういった資本主義のパワーの恩恵も受けているので、その受け取った恩恵をどう使っていくのか、ということや、自分なりのルールなどもより決めていきたいなと思います。
個人的には、個別株で軍事系や環境に悪そうな企業の株は買わないということや、増えたお金の一部は寄付する(あしなが育英会やプランインターナショナルなど)というルールで自分なりの正当性を作ってます。
こういった経済本や大局観のある本が好きな人には非常に楽しい本だと思いますので、おすすめです。以下は気になった文章の抜粋です。
経済的に豊かになったら効用よりも善を選ぶだろうというケインズの予想はまだ当たっておらず、まだ貪欲の追求がメインな気がしてます、が、そろそろ変わるタイミングにも感じます。
そんなことを考えずに、もっともっと欲しいと思う人が蒐集家だ、と批判的に言っていますね。カイジにでてくる兵藤会長がその行き着く先のイメージですかね。
リーマンショックもバブルの生成と崩壊もそうですね、 お金は腐らないし、劣化もしないので、いくらあっても良いというのがこういったバブルの生成と崩壊を繰り返させ、その皺寄せは社会的な弱者に行くというのが、基本構造ですよね、、、
最近の株価の変動や一部のありえないぐらいの高値になったハイテク株などはもう投機ですよね、市場の心理の予想ゲームになっている感がすごいです。
物質的にはもう豊かさに届いた日本としては、この心の豊かさで世界をリードできれば良さそうですが、政治を見る限り無理そうです。
この精神的な豊かさ、心の豊かさについては考えていきたいですね。
よりゆっくり、より寛容に、よりくつろいだ生活を送るためにはどうしたら良いのか、考えたいですね。
個人的には、資本主義のこのパワーをできるだけ活用して、お金を増やし、飲み込まれないようにしながら、心の豊かさ、精神的豊かさを追求し、いずれ資本主義から離れても大丈夫な状態にして、くつろぐ。ということを目指していきたいです。