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R-1グランプリ2025準決勝観戦記
2月2日、R-1グランプリ2025準決勝が開催された。場所はM-1準決勝と同じ竹橋ニューピアホール。
東京を今年一番の寒気が包む中、「こんな寒さで笑えるんかい」という不安に駆られるが、客席はぎっちり埋まっている。さすが準決勝、と思う反面、当日直前まで空席があった準々決勝もちゃんと行ったれよ、という気持ちにもなる。
司会ははりけーんずと濱田祐太郎。濱田のボケに二人がツッコむスタイル。「この準決勝は、配信も行われてます!配信の皆さん、楽しんでますか~!」の前田の呼びかけを受けて、濱田がフジテレビの会見よろしく「この配信も、やっぱり10分のディレイなんですかね」とナイスボケ。
審査員として、なだぎ武と街裏ぴんくが紹介され、壇上に登場。意外と珍しい「R-1王者3人の並び」、街裏ぴんくが醸す緊張感に、なだぎ武の「だから去年、吉住を優勝させとけばよかったのに!」とツッコミがさく裂し、開場を温める。そして、本選がスタート。
以下、ネタバレ抜きのちょっとした感想です。
・Aグループ
〇どんぐりたけし ←皮肉にもオープニングアクトとして、どんぐりたけし以上にふさわしいピン芸人はいないとおもう。ピン芸とは、羞恥心を棄てどこまで一人でボケを連打し続けるか――それが基本だということを観客に教えてくれる存在。
〇中野なかるてぃん←個人的には一番落選が腑に落ちなかった。新しいアイデア、新しい語感、新しいボケで会場の期待を一気に高めた、今回の準決勝一番の功労者だと思う。
〇紺野ぶるま←見ていて気持ちがよくなるネタ。もともとは「落語」のRから来ているR-1に対して、「落語との決別」を叫ぶような、そんな4分間。
〇かが屋 加賀←二人とも準決勝に進出したかが屋。準々決勝と同じテイストだが、並列的ではなく、準々決勝が受け身のネタなら、準決勝は動きのネタ。動き+語感で、聴いているうちに心地よくなる。どれかひとネタだけもう一回見るなら?と言われればこのネタを選ぶと思う。
友田オレ←決勝進出者なので言及ナシとします。
吉住←決勝進出者なので言及ナシとします……が、間違いなく一番ウケていました。放送作家の飯塚さんが提示した「吉住さん面白すぎ問題」を回想しました。
kento fukaya←準々決勝と同じネタで、クオリティも高いのに、会場がデカくなったぶんだけ、モニター芸はすこし見劣りがしたかもしれない。設置に時間がかかったこともマイナスだったかも…。
・Bグループ
苺ちゃん←ある意味伝統的な「この言葉をこういう風に言うと…」というタイプのネタ。大阪で準決勝が行われていたら、全然違う結果だった気もする。
ヒューマン中村←磨き抜かれたフリップ芸。文字が書かれただけなのに、おそらく観客全員の頭の中に同じ画が浮かんでいると思う。それぐらい、研ぎ澄まされた言葉に感服。でもやっぱり、会場が大きいとフリップ芸って難しいのかな……。
金澤TKCファクトリー←最初はお客さんが緊張すらする入りの「漫談」なんだけど、とてもシンプルな物語の運びに、次第に観客も安心して身をゆだねる。ちょっとうそつきの友人の話を聞いているような懐かしささえ覚える。失礼な物言いになるかもしれないが、みんなが「金澤TKCファクトリーってこういう人」とわかるようになれば、もっとウケるようになると思う。
カシ←最初に設定バレしたところでちょっと飽きられてもおかしくないところ、様々な角度からのボケを繰り出すことで、中毒性さえ出てくる。最後のドラマティックな展開もよかった。
ルシファー吉岡 ←決勝進出なので言及ナシ。準々決勝と違うネタ。7年連続決勝進出は偉業というほかない。
今井らいぱち←見ていて「もどかしさ」を感じるネタで、そのもどかしさがおもしろいんだけど、最終的にもどかしさが「もどかしい…!」で終わってしまった感じ。ちゃんと説明できないのがもっともどかしい。
ヤナギブソン←フリップネタからのモニターネタからのフリップネタ……という文字で書いても何のことかわからないが、唐沢なをきの実験漫画を読んでいるような楽しさがあった。
真輝志←見たこともないモニター芸。4分をどう使うのかが一番気になるネタだったけど、その不安と期待を見事に超えてきて、その瞬間はこの日最も拍手が送られた。正直、決勝でもよかったと思う。
ふかわりょう←爆発的なウケはなかったんだけど、これまで見てきた「ふかわりょう」の功績を思いながら、ピン芸の「伝統芸」を堪能した気分に。いやほんと、この芸歴で出場して、準決勝まで来るのがすごい。
ハギノリザードマン←決勝進出者なので言及ナシ
ソマオ・ミートボール←ソマオらしいかわいらしさとポップさに満ちたネタだったんだけど、準々決勝のネタのインパクトが強すぎて、正直、そちらをやっていれば結果が違ったような気がするんだけど…。
岡野陽一←岡野教ともいっていいぐらい、彼の理論(教義)に魅せられている人は多いはず。今回も「狂気の教義」をぶつけてくるネタだったが、ぶっちゃけ観客の「もうちょっとほしい…!」の期待値が高すぎた気がする。
ヒロ・オクムラ←決勝進出者なので言及ナシ
田津原理音←決勝進出者なので言及ナシ
・Dグループ
キンタロー。←もっともR-1を楽しみ、もっともR-1をふざけ倒していた。ネタ中に出てくる人名が古すぎて、それがあえてなのか好みなのかがわからずちょっと喉に骨が刺さったような感覚があって、それを早く解消してくれれば…。
ヒコロヒー←テレビでの活躍が目立つ中で、今年も参戦。その心意気だけで観客みんな拍手を送っていたと思う。キンタロー。のインパクトが強すぎて、少しおとなしく見えてしまったかも。どうか可能な限りR-1に出続けてほしい。
こたけ正義感←専門知識×笑いという、ある意味R-1の理想形ともいえる「弁芸」。本人が落選にショックを受けるのもわかるぐらい笑いがあったし、引き込まれてもいた。もしも落選の原因を求めるなら、年末年始に公開された「弁論」がすごすぎて、お客さんのハードルが上がりすぎたんじゃなかろうか。
ウエストランド 井口←最高の悪口芸。たしかに、観ている側もなぜ落ちたのか理解が難しい。大会としてもM-1王者が出た方が盛り上がると思うんだけど…。審査員による選考の様子を見られるのなら、この理由だけ知りたい。
チャンス大城←決勝進出者なので言及ナシ。
マツモトクラブ ←決勝進出者なので言及ナシ
ホロッコこまり←痒い所に手を伸ばしてくる歌ネタ。R-1という舞台だけでなく、ネタ番組でもウケそうなので、ガンガン進出してほしい。
・Eグループ
さや香 新山←決勝進出者なので言及ナシ。しかし準々決勝からネタを変えて、とんでもない爆笑をかっさらうとは…。
須藤ジム←その設定でどこまで間を持たせるんだろう…?と思いながらも、気づけばアッという間に4分経ってて、しかも物語としての完成度も担保されているというすごいネタ。ちょっと見ている側が想像できてしまうところもあったのかもしれない。
ななまがり 初瀬←出てくるだけで高まる期待感。ななまがりが劇場にくるお笑いファンにいかに愛されているかがわかる。「これで4分持つのか?」という観客の若干の不安をも即座に笑いに変えるのは、もうベテラン芸の域。
トンツカタン お抹茶←去年のかりんとうの車に並ぶレベルのネタだと思うんだけど、準々決勝のときと同じく、音・声が聞き取りづらくて、それがノイズになってしまった感がある。アイデアはもう天才。
かが屋 賀屋←準々決勝の時と同じネタで、準々決勝の時の方がウケていたということは、やっぱり準決勝に来る人は、準々決勝も見ているんだろうか…?お抹茶のキラキラ華やかなネタの後に見ると、余計にネタの切なさが際立って、面白切なかった。
ZAZY←大トリのZAZYに、観客も「今年は何をしてくれるんだろうか…?!」という期待を抱いてしまう。その期待を超えられるかどうかが、ZAZYの決勝進出のハードル。今年は強力な出場者が多すぎたか。
大会場、寒気という例年との違いがあったにもかかわらず、間違いなく過去一番盛り上がった25年のR-1準決勝。決勝進出者を見ると「めっちゃピン芸人」「めっちゃガチ審査」「めっちゃ東京(関西予選組の決勝進出者ゼロ)」。3月8日の決勝が楽しみです!