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光る燈鬼(とうき)が欲しい
奈良の人だったら写真を見て興福寺の燈鬼かって分かりますかね。多分、マイナーな木像なのでそんなに有名じゃありませんが、お寺や仏像に興味がある方は目にしたことがあるかも知れません。私はこの龍燈鬼(左)と天燈鬼(右)の二体が好きなのです。
燈鬼という名前からも、写真からも想像がつく通り燈篭(とうろう)が印象的な鬼の木像です。四天王とか八部衆の仏像をよく観察するとわかるのですが、仏像には台座があり、その台座にも色々な装飾があります。その装飾の一部で邪鬼という小さな鬼が踏みつけられていることがあります。その邪鬼に燈籠を掲げる役目を与えたものが燈鬼です。
踏みつけられている邪鬼も可愛いのですが、燈籠を持たされている龍塔鬼と天塔鬼が愛らしくて堪りません。「なんで、こんな灯籠もたなあかんねん」と言いつつも、役目をもらえたことを嬉しく思う悪ガキが、一生懸命、期待に応えているように私には映っていて愛らしいのです。
天燈鬼は、いわゆる私たちのよく知っている2本の角を持つ鬼で、口を大きく開き、阿吽の阿。龍燈鬼は、龍を身体に巻きつけ、口をつぐみ、阿吽の吽。阿吽は「あ」から「ん」まで、物事の始まりと終わりを示すと言われています。東大寺の仁王像も同じですね。阿吽で対の仏像です。最初から最後まで全て守り抜く、全て照らす、そんな気概を感じられます。
色は分かりにくいのですが、龍塔鬼が青で点灯鬼が赤、こちらも対を成しているのです。ちなみに、先ほど話に出てきた仁王像を作成した運慶快慶の運慶の三男、法橋康弁が造った仏像とされています。
マイナーな木像ですが、私は昔、興福寺で見て一目惚れし、一昨年にポストカードを買いました。フィギアもあるので欲しいのですが、本当に灯りの灯る燈篭を持った燈鬼が、手頃な値段であれば欲しいと思っています。
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