見出し画像

アプリ「KIOKU」だけで東京大学駒場祭の謎解きキャンパスラリーを作った話


アプリ「KIOKU」とは?

前の記事をご覧ください!

東京大学駒場祭とは?

駒場祭は、毎年11月末の3日間に東京大学駒場キャンパスで開催される学園祭です。
例年3日間で12万人もの来場者が訪れる日本最大級の規模を誇ります。
今年の第74回駒場祭は11月24日(金)~26日(日)に開催されました。
今年は、コロナ禍を経て4年ぶりに入構制限完全撤廃の対面開催となり、かつてのにぎわいを取り戻しました。
(第74回駒場祭公式ウェブサイトのURL:https://www.komabasai.net/74/visitor/

出展企画「スマホで謎解きキャンパスラリー」の概要

形式

「その場所に行かないと投稿を閲覧できない」というKIOKUの機能を活用して、「指定した場所に行かないと謎が表示されない」というかたちの周遊型謎解き企画を作り上げました。
キオクを開ける(謎を表示する)ために合言葉の入力が必要となる設定を行い、1つ前の謎の答えがその合言葉となるという構造によって、ラリー形式を組み立てました。

ボディコピー

持ち物はスマホ1台。
オリジナルアプリが指し示す場所に行くとアプリ画面に謎が出現。
キャンパスを巡り歩き、クリアを目指せ。

参加者の体験の流れ

  1. 受付に来てアプリをインストール

  2. スタッフからアプリ・手順の説明

  3. 例題のキオクを開くための合言葉をスタッフが口頭で伝え、それを入力

  4. 例題のキオクが開き、例題の画像が見られるようになる

  5. その場で例題を解く

  6. 1問目のキオクの場所に行き、例題の答えを合言葉として入力

  7. 1問目のキオクが開き、1問目の画像が見られるようになる

  8. 1問目の謎を解く

  9. 2問目のキオクの場所に行き、1問目の答えを合言葉として入力

  10. 「謎を解いて次の謎の場所に行き合言葉を入力」を5問目まで繰り返す

  11. 「ゴール」のキオクの場所に行き、5問目の答えを合言葉として入力

  12. クリア画面とエンディング画像が表示し終了

参加者のアプリ画面操作①(説明資料から抜粋)
参加者のアプリ画面操作②(説明資料から抜粋)
参加者の動き(説明資料から抜粋)

企画の必要だったモノ・人

  • アプリ「KIOKU」内の謎解きセット用キオクリスト

  • 事前準備の人員2人

  • 受付運営スタッフ6人(上の2人を含む)(2~3人シフト体制)

  • 手順説明資料(A4印刷8枚+ポケットファイル)2セット

  • 掲示用チラシ40枚(A4)

  • wi-fiモバイルルーター(※3日目のみ一時的使用)

以上

企画者の前日までの準備

下見・謎を埋め込むスポットの選定

駒場キャンパスを歩き、謎のキオクを埋め込む場所(つまり来場者が謎を解く場所)を決定しました。
混雑する当日でも参加者が落ち着いて謎を解けるように、広場や建物の裏側など来場者が殺到・滞留しないことが予想されるスポットを選びました。

作問

例題1問とラリーコースの5問をオリジナルで作成しました。

小学生でも楽しく解けるように、難しい知識の要らない問題にしました。
また、この企画の本来の目的は謎を解いてもらうことではなく、アプリにたくさん触れてもらうこと・この企画により新たな体験を生み出すことなので、
謎解きそのもので断念されないよう、各問の難易度を低めに設定したりヒント画像を用意したりと工夫をこらしました。

ラリーコースの1問目~3問目については、その場所に行かないと解けないというこの企画の特徴を活かそうと、その場所にあるオブジェクト(看板や建物のロゴ等。駒場祭には全く関係のないもの。)を参照することで解けるという問題形式にしました。

1問目。
そのスポットに立っている木の看板(次の写真)を頼りに答えを導く。

4問目・5問目については、“過去の謎を利用して解く”という謎解きセットの常套手段を使うことで、謎解き全体のクオリティを上げるだけでなく、アプリの中で過去のキオクを振り返るというユーザ体験の誘導を狙いました。

4問目。
これを解くには1~3問目の謎の画像を見る必要があり、アプリの中で振り返る。

問題・ヒント・クリアの画像の制作

画像制作ソフトを用いデザインを行いました。
駒場祭当時のアプリの仕様ではキオク内の画像の拡大や保存ができなかったため、そのままの表示サイズで問題なく読める文字の大きさ・量を心がけました。

キオクの作成・キオクリストの作成

制作した画像を使って各スポットのキオクを作成し、それらをまとめたキオクリストを作成しました。

  • キオク一覧(カギカッコ内はキオクのタイトル)

    • 「例題」:合言葉は受付でスタッフが伝える単語。@受付

    • 「1問目」:合言葉は例題の答え。@図書館前広場

    • 「2問目」:合言葉は1問目の答え。@駒場池前

    • 「3問目」:合言葉は2問目の答え。@21KOMCEE前

    • 「4問目」:合言葉は3問目の答え。@野球場前

    • 「5問目」:合言葉は4問目の答え。@テニスコート前

    • 「ゴール」:合言葉は5問目の答え。クリア画面とエンディング画面。@受付

これでもう企画自体は実行可能になります。

説明資料・チラシの制作

受付場所で参加者に手順を説明するときのための資料と、建物の壁に貼るためのチラシを制作し印刷しました。
枚数としては全体で70枚程度です(うちチラシが40枚)。

説明資料のうちの1枚。
当日はA4でプリントアウトし、ポケットファイルに入れて使用。

企画者の当日運営

企画開始前

設営としては、受付のある建物の壁にチラシを貼ったのみです。
謎が埋まっているスポットに何かを設置することもなく、ペンやスタンプや回答用紙の仕入れも要りません。
念のため実際に使うキオクリストでテストプレイを行い、問題なくクリアまで進めることを確認しました。

企画実行時間

受付に来た参加者に、アプリをインストールしてもらい、手順を説明し、送り出すのみです。
各スポットの人員配置は全く要りません。

企画終了後の撤収

壁に貼ったチラシをはがして捨て、説明資料を持って帰るのみです。
ラリースポットに何も置いていないので順番に回って撤収することもありません。

結果

数字と考察

  • 3日間での獲得ユーザ数 236

  • 謎解きの最終クリア数 98

獲得ユーザ数は236ですが、これは企画の参加者が236名であるということではありません。参加者グループの全員がインストールするわけではなく、誰かのスマホを一緒に見るという方法を取る場合が多数を占めるためです。

また、単純計算でいえばクリア率は98/236で「41%」となりますが、「グループで参加しそのうちの1人のみのスマホでクリアを確認する」という状況も十分に考えられるため、実質的にはもう少し高い割合であることが予想されます。

反省

  • 受付場所のインターネット環境がひどく、アプリのインストールを断念する来場者がかなりいました。wi-fiのモバイルルーターを準備し対策を行いましたが効果は部分的でした。激しい混雑が予想される建物を受付場所とする場合には相応の対策が必要です。

  • AndroidOSのバージョンが古いスマホにインストールできないという事態が数十人で発生しました。古いバージョンに対応できるよう初日の時点で急いでアップデートを行い、その申請が反映された2日目の午後からはそのような事態は激減しました。

  • 参加者の感想・フィードバックをヒアリングする機会を十分に取れませんでした。本来の想定では、受付場所をゴールとすることで企画を終えた参加者が帰って来て、そこでコミュニケーションを取れるという想定をしていました。しかし、受付場所の建物内の通信環境の悪さゆえに距離制限を広めに設定したところ、受付場所に帰って来ずともクリアできる状態となり、その結果企画を終えた参加者と接する機会が少なくなりました。

参加者の声

  • 「アプリよくできてました!めちゃくちゃ楽しかったです」

  • 「アプリがバージョン外でインストールできなかったところを急ぎ修正してもいただき、土曜日中にプレイできて良かったです」

  • 「そもそも先にオリジナルアプリ作っててそれを活かせる企画を作ってるのが凄いし、謎解きの答えにも駒場祭に込めた願いの意味を持たせてたのも高評価です!」

※駒場祭委員会実施の参加者アンケートのコメントから抜粋


まとめ -KIOKUを使ったラリーイベント企画-

特長① スマホ1台で完結

すべてがスマホ1台で完結します。
ラリーイベント・謎解きイベントにありがちな、配布物(ラリー台紙や謎解きキット)や筆記用具などの参加者の携帯も必要なく、またラリースポットの台やスタンプ・張り紙も必要ありません。
参加者にとっては手荷物が増えることも紛失の心配もなく、企画者にとっては仕入れのコストも在庫管理も設置撤収の手間もありません。

特長② 「何もない場所」もラリースポットに

一般的なラリーイベントでは、名所や目印やラリー台などの「特別な何かがある場所」をめぐることになりがちです。
しかし、KIOKUを使ったこのラリーではその「特別な何か」はスマホに表示されるので、スポット自体が「何もない場所」でも問題ありません。ただの道でも空き地でも問題ありません。
さらに言えば、KIOKUは「何もない場所」を「特別な何かがある場所」に変える、価値創造力があります
そしてその「何もない場所」を「特別な何かがある場所」と感じることができるのは、KIOKUのイベントの参加者のみです。この特別感は、ただのラリーイベントでは味わえません。


いいなと思ったら応援しよう!