銀行資産査定解説2~一般貸倒引当金
一般貸倒引当金の算定方法
1. 予想損失額の計算式
予想損失額 = 債権額 × 予想損失率
2. 予想損失率の算出方法
予想損失率は以下の2つの方法で算出されます:
貸倒実績率による方法
過去の貸倒償却等の損失データを基に計算: 貸倒実績率 = 貸倒償却等毀損額 ÷ 債権額
(貸倒償却等毀損額には直接償却額、間接償却額、債権放棄額、債権売却損額を含む)貸倒実績率の算定手法:
過去3算定期間の平均値を基に損失率を求め、これに将来見込など必要な修正を加えて算定します。
倒産確率による方法
倒産確率と回収見込率を使用して計算: 予想損失率 = 倒産確率 × (1-回収見込率)
※ 回収見込率は無担保比率や平均毀損割合を考慮して補正可能。
3. 検証ポイント
貸倒実績率を使用する場合
損失額(貸倒償却額、債権放棄額、売却損額など)が全て計算に反映されていることを確認。
倒産確率を使用する場合
倒産件数に実質破綻先および破綻先を含め、破綻懸念先の件数も合理的に反映する必要があります。
4. 追加の検証項目
貸倒実績率と倒産確率を比較し、算出結果が信用リスクに見合っているか確認。
信用格付や債務者区分ごとの遷移分析を実施し、その合理性を確認。
5. 検証の目的
予測の妥当性:
過去の実績に基づき将来の損失リスクを正確に反映。金融機関の健全性:
リスクに応じた貸倒引当金を計上し、不測の損失に備える。規制対応:
金融当局の指針に従い、業務の透明性を保つ。
1-3年ルールとは
1-3年ルールは、債務者区分ごとに予想損失額を見積もる期間を次のように設定する考え方です:
正常先および要注意先: 今後1年間の損失見込み額を算出。
要管理先: 今後3年間の損失見込み額を算出。
このルールにより、各区分のリスク特性に応じた貸倒引当金の計上が可能になります。
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