資産査定3級・2級問題(貸出条件緩和債権)

問題1

貸出条件緩和債権の判定において、基準金利と比較される適用金利とは、次のうちどれか?

  1. 当該債務者に適用されている直近の金利

  2. 市場の平均金利

  3. 当該債務者と同等な信用リスクを有する債務者に対して通常適用される新規貸出実行金利

  4. 当該債務者の過去の平均金利

問題2

貸出条件緩和債権の判定において、「経済合理性に従って設定されるべき」とされている基準金利について、より実態に即した設定方法とするために、何が重視されるようになったか?

  1. 理論値よりも市場金利を優先すること

  2. 過去の平均金利を基にすること

  3. 新規貸出約定平均金利を基準とすること

  4. 担保価値を優先すること

問題3

「信用リスク等に見合ったリターンが確保されている旨を合理的・客観的に証明できる方法により求めた金利」とは、理論的にはどのような要素から算出されるか?

  1. 調達レートと経費率のみ

  2. [(倒産確率×倒産時損失率)/(1-倒産確率×倒産時損失率)]に調達レートと経費率を加えたもの

  3. 過去の平均回収率のみ

  4. 市場の平均金利

問題4

貸出条件緩和債権の判定において、「債務者の経営再建又は支援を図ることを目的として」いるかどうかを判断する際に、重視されない要素は次のうちどれか?

  1. 金利減免の有無

  2. 元本返済猶予の有無

  3. 他の金融機関との競争上の観点

  4. 債務者に有利となる取決めの有無

問題5

貸出条件緩和債権の判定において、「担保・保証等による信用リスクの減少」を考慮する場合、どのような方法で判断する必要があるか?

  1. 担保・保証の額面金額のみで判断する

  2. 担保物件の価値や保証者の信用力等を考慮して判断する

  3. 担保物件の種類のみで判断する

  4. 過去の担保回収実績のみで判断する

問題6

「実現可能性の高い抜本的な経営再建計画」に基づく貸出金が貸出条件緩和債権に該当しないと判断されるためには、どのような要件を満たす必要があるか?

  1. 計画の策定のみ

  2. 計画の開始のみ

  3. 計画に基づいた金融支援の実施

  4. 計画の期間のみ

問題7

貸出条件緩和債権の卒業基準のうち、「当該貸出金に対して基準金利が適用される場合と実質的に同等の利回りが確保されていると見込まれる場合」とは、具体的にどのような状態を指すか?

  1. 基準金利が適用される場合よりも高い利回りが確保されている場合

  2. 担保価値が十分に回復した場合

  3. 信用リスクに見合ったリターンが確保されていると判断できる場合

  4. 債務者が黒字転換した場合

問題8

「抜本的な」経営再建計画の要件の一つである、「概ね3年後の当該債務者の債務者区分が正常先となること」について、中小企業の場合、どのような特例が認められているか?

  1. 期間延長は認められない

  2. 金融検査マニュアル別冊「中小企業融資編」を参照できる

  3. 期間を短縮する必要がある

  4. 大企業と同じ基準を適用する

問題9

貸出条件緩和債権について、他行が保有していた債権を買い取った場合、買い取り後に新たに条件緩和措置を採っていない限り、どのような状態と判断されるか?

  1. 必ず貸出条件緩和債権と判断される

  2. 買い取った金融機関の基準によって判断される

  3. 原則として貸出条件緩和債権に該当しないと判断される

  4. 債務者の状況によって判断される

問題10

コベナンツの変更・猶予を行った場合、貸出条件緩和債権に該当するかどうかを判断する上で、特に留意すべき点は何か?

  1. コベナンツの変更・猶予そのもののみをもって判断する

  2. コベナンツの変更・猶予が単独で行われたかどうか

  3. 取引の総合的な採算に影響が及んでいるかどうか

  4. 債務者の経営状況のみで判断する


【総論】

問題11
監督指針において、貸出条件緩和債権の規定が明確化された主な目的として、最も適切なものは次のうちどれか?

  1. 金融機関の収益向上

  2. 貸出債権の実態をより正確に把握し、金融システムの安定を図る

  3. 債務者の負担軽減

  4. 貸出審査の簡略化

問題12
中小・地域金融機関における貸出条件緩和債権の取り扱いについて、主要行等と比較した場合、異なる対応が必要となる可能性として、最も適切なものはどれか?

  1. 基準金利の設定方法

  2. 開示基準

  3. 法令の適用範囲は同一だが、地域特性や顧客層を踏まえた実務的な判断

  4. 債務者区分の区分基準

【各論:基準金利】

問題13
「基準金利は経済合理性に従って設定されるべきである」という規定において、経済合理性の解釈として、最も重視されるべき点は次のうちどれか?

  1. 理論値の正確さ

  2. 恣意的でなく、信用リスクに見合ったリターンが確保されていることを合理的に説明できること

  3. 過去の平均金利との整合性

  4. 市場の金利水準との比較

問題14
基準金利を新規貸出約定平均金利とすることの主旨として、最も適切なものは次のうちどれか?

  1. 元本回収リスクを考慮しない

  2. 個別債権のリスクを考慮しない

  3. 実態と乖離した基準金利の設定を修正し、より実態に即した金利を基準とする

  4. 恣意的な金利設定を助長する

問題15
同一金融機関内で、信用リスクに基づく区分ごとに基準金利の設定が「新規貸出約定平均金利」と「他の方法」を混在させることについて、最も適切な説明は次のうちどれか?

  1. 常に認められる

  2. 原則認められない

  3. 原則として同一の算出方法とする必要があるが、一定の条件を満たす場合は理論値の使用も認められる

  4. データの蓄積状況によって認められる

問題16
連結ベースでリスク管理債権を開示する場合、基準金利の設定は、どのように行うのが適切か?

  1. 連結ベースで統一的に設定する

  2. 個々の金融機関の状況に応じて設定する

  3. グループ内で最も高い金利を適用する

  4. グループ内で最も低い金利を適用する

問題17
金融機関が未だに信用格付けを実施しておらず、「基準金利」を算出していない場合、貸出条件緩和債権の判定は、どのように行うことが適切か?

  1. 基準金利を算出するまで判定を保留する

  2. 債務者の実態に基づいて判断する

  3. 過去の類似事例を参考にする

  4. 一律に貸出条件緩和債権と判断する

【各論:総合採算】

問題18
「当該債務者に対する取引の総合的な採算」を勘案する際に、含めるべき要素として、最も適切なものは次のうちどれか?

  1. 担保の額面金額のみ

  2. 将来見込まれる継続的な収益や、一時的だが合理的に配分可能な収益、それらから費用を控除した利益

  3. 他の金融機関との競争上の状況のみ

  4. 債務者の感情的な価値観のみ

問題19
担保・保証等による信用リスクの増減を総合的な採算に勘案する際、根担保や根保証を設定している場合には、どのように考慮するのが適切か?

  1. 個別の債権ごとに判断する

  2. 被担保等債権全体に均等に勘案する

  3. 根担保や根保証の対象となっている債権のみを考慮する

  4. 担保の種類を考慮する

問題20
「競争上の観点」からの金利設定が貸出条件緩和債権に該当しないと判断されるのは、どのような場合か?

  1. 金融機関の都合による場合

  2. 他行よりも高い金利を設定した場合

  3. 中長期的にリスクに見合ったリターンが確保される見込みがある場合

  4. 一時的な金利引き下げの場合

【各論:経営再建・支援目的】

問題21
「債務者の経営再建又は支援を図ることを目的として」いないと判断されるケースとして、最も適切なものは次のうちどれか?

  1. 金利減免を行った場合

  2. 元本返済猶予を行った場合

  3. 他の金融機関との競争上の観点から条件変更を行った場合

  4. 債務者の資金繰りが改善した場合

問題22
「経営支援先に対する債権」について、追加的支援の蓋然性が高いと判断されるための要件として、最も適切なものは次のうちどれか?

  1. 形式的に支援決定の方針を固めていること

  2. 再建計画に基づき金融支援が開始され、今後も追加的支援が必要になる可能性があること

  3. 過去の支援実績があること

  4. 債権放棄の実施のみ

問題23
「一部債権放棄を実施した債権」の開示について、最も適切なものは次のうちどれか?

  1. 債権放棄額のみを開示する

  2. 債権放棄後の残債のみを開示する

  3. 債権放棄後の残債を債権単位で開示する

  4. 債権放棄前の債権額を開示する

【各論:卒業基準、その他】

問題24
貸出条件緩和債権の卒業基準の一つである、「当該債務者の債務者区分が正常先となった場合」とは、具体的にどのような状態を指すか?

  1. 経営状態が大幅に改善した場合

  2. 担保が十分になった場合

  3. 金融機関が債務者のリスクを正常先と判断できるようになった場合

  4. 債務者が新たな融資を必要としなくなった場合

問題25
「実現可能性の高い抜本的な経営再建計画」の要件のうち、「計画の実現に必要な関係者との同意が得られていること」について、具体的にどのようなことを指すか?

  1. 関係者が計画の内容を知っていること

  2. 関係者が計画に協力する意思を書面等で明確に示していること

  3. 関係者が計画に反対しないこと

  4. 関係者が計画を理解していること

問題26
「抜本的な」経営再建計画の要件の一つである、債務者区分が正常先となるまでの期間について、中小企業の場合、どのような特例が認められているか?

  1. 期間を短縮する必要がある

  2. 大企業に比べて、柔軟な期間設定が認められる

  3. 期間延長は一切認められない

  4. 一律に3年以内とする必要がある

問題27
条件変更の時点では経営再建計画が策定されていなかったが、その後「実現可能性の高い抜本的な経営再建計画」を策定した場合、貸出条件緩和債権の卒業を判断する時期はいつか?

  1. 条件変更時点

  2. 計画策定時

  3. 自己査定の時点

  4. 計画完了時

問題28
金融機関が保有していた貸出条件緩和債権を他行に譲渡した場合、譲渡後の債権は、原則としてどのような扱いになるか?

  1. 必ず貸出条件緩和債権と判断される

  2. 譲渡先の金融機関の判断によって変わる

  3. 譲渡後に新たに条件緩和措置がなければ、貸出条件緩和債権とはみなされない

  4. 譲渡前の状態を維持する

問題29
コベナンツの変更・猶予を行った場合において、貸出条件緩和債権に該当するか否かを判断する上で、最も重要な考慮事項は何か?

  1. コベナンツの変更理由

  2. コベナンツの変更回数

  3. 取引全体の総合的な採算に影響を与えているかどうか

  4. 債務者の規模

問題30
日本政策投資銀行と協働して既存債務の条件緩和を行う場合、貸出条件緩和債権に該当するか否かを判断する上で、最も重要な考慮事項は何か?

  1. 日本政策投資銀行の関与の有無のみ

  2. 債務者の規模

  3. 実現可能性の高い抜本的な経営再建計画に沿った金融支援の実施の有無

  4. 過去の債務状況

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